特集:絓秀実、極限の文芸批評

『絓秀実コレクション』刊行記念

特集:絓秀実、極限の文芸批評

 思想や哲学、芸術など諸ジャンルを横断し、斬新な論考を多数発表してきた批評家、絓秀実。このたび、これまでの評論を総括的に纏めた新刊『絓秀実コレクション1 複製の廃墟──文学/批評/1930年代 』『絓秀実コレクション2 二重の闘争──差別/ナショナリズム/1968年』(発行:株式会社blueprint)が6月30日に発売された。
 三島由紀夫や花田清輝らに関する初期文学論から、1968年をめぐる社会運動・政治思想論、さらには映画、歌謡曲、B級グルメなどの風俗エッセイまで、これまで絓秀実は対象をつねに「いま」論じるべき意義から問いなおし、ポレミカルな批評=批判として表現してきた。
 天皇制、フェミニズム、大学問題など、現在も紛糾する諸問題のアポリアを剔抉(てっけつ)してきた絓秀実の批評こそ、「いま」読みなおすことが求められている。