AKB48・村山彩希インタビュー 1st写真集『普通が好き』は「今だから出せた一冊」

 今年、デビュー11年目を迎えたAKB48のメンバー・村山彩希(むらやま・ゆいり)のファースト写真集『普通が好き』(宝島社)が9月に発売された。東京・秋葉原にあるAKB48劇場に1200回近くも立ち続けていることから、“劇場(シアター)の女神”と称される彼女。いつ他メンバーの代打に呼ばれてもいいよう、各チームの楽曲の振りやポジションを研究する努力家であり、その出演率は歴代1位を誇る。2020年リリースの51stシングル『ジャーバージャ』で初の選抜入りを果たして以降は、劇場で培ってきたパフォーマンス力と抜群の愛嬌で、さらに多くのファンを魅了している。 
 

 25歳にして初の写真集となった本作の舞台は、沖縄と東京。ステージ風の衣装から、セクシーなランジェリー、クールなジャケット姿など、あらゆる衣装で今までにない表情をたくさん披露している。また、AKB48劇場での貴重カットや、“ゆうなぁ”コンビで知られる仲良しメンバー・岡田奈々が撮影した超大接近カットも収録されるなど、見応えはたっぷりだ。 
 
 ページをめくるたびに広がる、独創的な世界観。笑顔に癒され、ふとした表情にドキリとする。そんなカットの連続に、どんどん彼女自身に引き込まれていく――。“らしく”ありながらも、意外な一面が見られる本作に込めたこだわりとは。本人に聞いた。(とり) 
 

“普通”ってなに?

――タイトル「普通が好き」に違和感を覚えるくらい、独特な雰囲気の一冊になりましたね(笑)。 
 
村山 あはは。個人的には、一癖ある方が好きというか。王道な写真集にはしたくなかったので、そう言っていただけて嬉しいです。 
 
――まず、ファースト写真集とはいえ、25歳の村山さんが制服を着ているカットから始まる構成には驚きました。その流れで、純白のビキニの足もとにはローファーを合わせていて。 
 
村山 冒頭のスタイリングは、スタイリストさんの提案なんです。私もビックリしました(笑)。「もう25歳なんだけどなぁ」と複雑な気持ちで制服を着ていましたが、意外にも、メンバーからはいちばん評判が良くて。 
 
――もちろん、お似合いでかわいいんですけど。ほかの衣装は、村山さんのオーダーで? 
 
村山 水着、ランジェリー以外は大体そうですね。特に気に入っているのは、裏表紙で着ている黒と白のワンピース。推しメンかつ大リスペクトしている元モーニング娘。の佐藤優樹さんが卒業コンサートで着ていた衣装を参考に、スタイリストさんに用意してもらったんです。 
 


――ピンク色のキャミソールワンピもそうですけど、確かにアイドルのステージ衣装っぽいですね。沖縄の自然豊かなロケーションの中で見ると不思議な感じがします。 
 
村山 ピンク色の衣装にいたっては、お風呂の湯船に布団を敷き詰めて、そこで寝るという(笑)。「何やってんだろう、この子!?」って思いますよね。でも、そういう“変な世界観”が私らしさな気がしているので、その不思議さを楽しんでもらえればと思います。 
 
――“普通が好き”と言いつつ、本音は“変な世界観”が好き? 
 
村山 第一に、人と違うことがしたかったんです。写真だけだと、童顔で真面目なキャラクターに見られがちなので、本作を手にとってくださった方には、「一体、どんな子なんだろう?」と思ってもらいたくて。 
 
――なるほど。最初に「独特な雰囲気の一冊」と言わせていただきましたが、村山さんからすれば、まさに求めていた反応だったと。 
 
村山 はい。大成功です! 
 
――では、タイトルにある“普通”というのは? 
 
村山 秋元先生が帯に書いてくださった「村山彩希は、“特別”を嫌う。日常で繰り返す“普通”にこそ、しあわせが存在することを知っているからだ。」という意味もあるんですけど、“普通が好き”と言っておきながら、王道を避けた私自身の“普通”を感じてもらいたいんです。「数ある言葉の中で、あえて“普通”を選ぶゆいりーが考える“普通”って何なの?」みたいな(笑)。 
 

――哲学的ですね。 
 
村山 もう少し付け加えると、“宝石”とか“女神”とか、自分を評価する言葉はなるべく使いたくありませんでした。その点、“普通”の基準は、どこか謎めいている。それくらいの方が自分らしい気がしたのも、このタイトルにした理由のひとつです。 
 

理想の女性に近づけた〇〇シーン


――本作は、ランジェリーカットも見どころです。下着ブランド「RAVIJOUR(ラヴィジュール)」のイメージモデルもされていますし、着こなしには慣れていたんじゃないですか? 
 
村山 いやいや、あり得ないくらい緊張していました! 妙な汗をたくさんかきましたよ。うん、やっぱり自分ではあまり直視できないです(笑)。ただ、ランジェリーカット含め、全体的に、自分すら見たことのない自分の表情がたくさん見られたのは新鮮でした。中でも、ジャケットと合わせた黒ビキニのシーンは憧れの女性像に近づけたというか。撮影中からテンションが上がっていましたね。 
 
――クールな雰囲気の女性に憧れがあるんですか? 
 
村山 本来、私が思い描いていた25歳は、自立した強い女性なんです。AKB48に入り、その理想とはかけ離れた25歳になってしまいましたけど(笑)。このシーンを撮影して、AKB48のメンバーにならない人生を歩んでいる自分が想像できた気がしました。 
 

――アイドル・村山彩希ではなく、ひとりの女性として自信が持てたと。 
 
村山 もちろん、アイドルとしての自信にも繋がりました。私は、基本的にカメラの前で表情を作るのが苦手なのですが、このシーンだけは、羞恥心なく世界観に入り込めた実感があったんです。世界観に合わせて表情を作るのって、こんなに楽しいんだなって。これまでは、モニターチェックをするにしても、自分がかわいく映っているかどうかを重点的に見ていたので、ものすごく視野が広がった気がします。11年目にしてようやく気付くなんて、遅すぎなんですけどね(笑)。

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