祝ドラマ化! 4人の男子高校生の日常を描く異色の少女マンガ『恋に無駄口』が面白い
少女マンガの醍醐味はなんだろうかと考える。少女の細やかな心の機微や、日常で起こるささやかな出来事たちを丁寧に掬うのが、その魅力の一つだろう。
そんな作品が主流であるなか、ドラマ化を控える人気作『恋に無駄口』は、少女マンガではあるけれど、男子高校生たちを主人公に据えている。
『恋に無駄口』は、ありし日の自分の高校時代を想起させる。男の子たちが内緒話をしていた空間、男の子たちが何を話していたのかを、少女マンガのフィルターを通して垣間見ることができるのだ。
元女子高校に10人だけの男子高校生
本作の主人公は、少女マンガ好きの仁科、誰よりもモテに必死なマヤ、ハイテンションSNS担当の葵、可愛くて甘いものが大好きシロの4人だ。この4人は「無形文化遺産代行保存部」、通称「無駄部」の部員だ。ルックスがいいことをまったく生かさず、無駄口を叩いて、無駄な部活をしているので、無駄部と呼ばれている。
無駄部の部活動は「食パンを咥えて角でぶつかって恋に落ちるか」「下駄箱はどこまで有効利用できるか」「ツンデレはモテるか」「整理券待機をいかに楽しく乗り切るか」「ムキムキはモテるか」などの検証だ。
少女マンガ好きの仁科は「食パンを咥えて角でぶつかって恋に落ちるか」の検証において、同学年の叶絵麻と実際にぶつかってしまう。
仁科と叶はともに少女マンガ家の姫乃るんが好きで、ふたりは段々と、スロースピードで、距離を縮めていく。
登校8時
下校18時
約3万6千秒の無駄口の中
約1秒で恋に衝突
いっけん無駄に見える彼ら4人の生活は、青春という言葉で彩られている。仁科と叶の「好き」の行方も見守っていきたくなる。