「2021年コミックBEST10」白石弓夏編 ヒロインをどれだけ愛せるかが推し作品のキーポイント

2021年コミック・ベスト10(白石弓夏)

1位  『山田くんとLv999の恋をする』ましろ(KADOKAWA)
2位  『プロミス・シンデレラ』橘オレコ(小学館)
3位  『なまいきざかり。』ミユキ蜜蜂(白泉社)
4位  『うるわしの宵の月』やまもり三香(講談社)
5位  『王の獣~掩蔽のアルカナ~』藤間麗(小学館)
6位  『星降る王国のニナ』リカチ(講談社)
7位  『結婚予定日』原作:西原衣都/漫画:ムノ(Amazia)
8位  『花野井くんと恋の病』森野萌(講談社)
9位  『転がる女と恋の沼』芥文絵(祥伝社)
10位『ヒロイン不在の悪役令嬢は婚約破棄してワンコ系従者と逃亡する』原作:柊一葉/漫画:じろあるば(小学館)

島田一志 編 『ルックバック 』という収穫
飯田一史編 1位は読み切りの少女マンガ!
ちゃんめい編 『フールナイト』が描く衝撃の世界観
関口裕一編 漫画家への感謝の念を抱く作品たち
若林理央編 漫画表現のさらなる可能性を感じた1年
立花もも編 このマンガを読んでこなかった自分が恥ずかしい!

コミックス発売まで待てず、最新話もチェックしている作品

 元々は少年漫画が好きだった筆者だが、2021年は少女漫画好きに拍車がかかった1年であった(特に2021年下半期)。今回の2021年コミックBEST10を書くにあたり、電子書籍の本棚を見返してみると、下半期で買った漫画は160作品にもなっていた。ヒェッ……(PayPay決済便利すぎ)。ここ最近は、「趣味が漫画に全振りしていて、二次元に住んでいる」みたいなことを言っていたが、某漫画サイトにいたっては、ある月は家賃分ほど支払っていたので、本当に住んでいるといっても過言ではなさそうだ。ハハッ(乾いた笑い)。

 さて、本題に入る。2021年に読んだ160以上の作品から推しの10作品を選ぶ……心を鬼にして。筆者が選んだ基準としては以下の通りだ。

・2021年に読み始めた少女漫画作品
・お気に入り登録をして、何度も読み返している作品
・コミックス発売まで待てず、月刊誌や漫画サイトで最新話もチェックしている作品

『山田くんとLv999の恋をする』ましろ

 ネトゲからはじまる恋。筆者のなかでは『Lv999の山田に全読者が恋をする』という認識である。山田はいわずもがな、年下で口数は少なくとも行動で示してくれる誠実さ、時折見せる可愛らしさ、無自覚に優しい一面、造形の美しさ……山田ああああああああ(尊い)。

 ヒロインである茜は、感情豊かでやや自爆体質ではあるが、自分の気持ちを隠さずに素直に正面からぶつかっていく。最初は、山田があれだけイケメンでかっこいいので、読者からすると茜へのジェラシーで狂ってしまうのでは?という気もしていたが、自然体な茜をみていると「かわいい~!いい子だ~好き!」となる。ここまで素直に読者から「もっとやれ」「幸せになってくれ」と思われるヒロインもなかなかいないのではないだろうか。

 作品を読みながら山田ああああああああと叫び、読者コメントで気持ちを分かち合い、次の更新まで頑張って生きようと思える、そして次回のタイトルの更新さえも逐一チェックしてしまう……本当にとんでもない作品だ。これが私のなかで2021年の1位であることは間違いないだろう。リアルサウンドブックでも鼻息を荒くしながら書評を書いたので、詳しくはこちらも覗いてみてほしい(「山田ああああああああ」と叫ばずにはいられない、ネトゲからはじまる恋 『山田くんとLv999の恋をする』が面白い)。

『プロミス・シンデレラ』橘オレコ

『プロミス・シンデレラ(14)』橘オレコ

 平穏な暮らしを送っていた専業主婦の早梅と、性格の悪そうな金持ち男子高校生の壱成との歳の差ラブストーリー。無一文、無職、宿無しの早梅が人生崖っぷちからの這い上がり、ドタバタ展開で先が読めず、久しぶりに食い入るように読んだ作品だ。2021年の夏にはドラマ化もされた。

 最初の頃の壱成はさまざまな家族の事情もあり、顔はイケメンだけどこじらせていて生意気、けっこうなクズっぷりが目立つ。だけど、話が進むにつれどんどん素直になっていき、目の前の問題にもきちんと向き合うようになっていく。そのきっかけとなったのは、間違いなく早梅の存在だ。清々しいくらいの正論を、痛いくらいに本質をついて、忖度なくぶつけてくる(ちょっと剛速球だが)。勢いまかせな危なっかしさもありながら、一貫した考えと行動には読者としてもスカッとする。なかなかできることではないけど、大人としてかっこいいなぁと思う。

 「10歳年下が相手の作品はもう無理だろ~」と思っていた筆者だが、ストーリー展開が面白く、気づいたら「年下男子かわいい」となっていた、チョロい。年下男子の沼にハマるきっかけとなった作品かもしれない。

『なまいきざかり。』ミユキ蜜蜂

『なまいきざかり。(22)』ミユキ蜜蜂

 バスケ部のマネージャーである由希が、生意気な後輩の成瀬に強引に振り回される青春ラブコメ。筆者は35歳になるが、こちらも「高校生同士の恋愛作品はもう無理だろ~」と思っていたときに出会った作品だ。

 それでも読んでみようとなったのは、筆者も高校のときに野球部のマネージャーをやっていたからだと思う。部活に対する由希の気持ちに共感することも多く、そこから入り込んでしまった。由希はクールで少し頑固なようにも見えるかもしれないが、バスケ部や部員のために自分にはなにができるのか、何が最善かと常に考えて行動するところはかっこいい。かといって、成瀬に対してはネガティブになってしまう、感情をあらわにしてしまうかわいい一面もある。

 作品が気になってコミックを買おうと思っている人へ、とても大事なことをいまから言う。15巻と20巻は番外編付き特装版を買うべし。大事なことだからもう一度言う、絶対に特装版を。……飛ぶぞ。そして、2021年12月20日発売の『花とゆめ』で、最終回を迎えた本作。筆者は成瀬ロスでしんどくなることが予想されるので、コミックスが出るまであえてためて読むことにする。

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