『葬送のフリーレン』なぜ大人気漫画に? 斬新な設定の中に光る、王道の面白さを考察

 7月16日に発売された5巻で、フリーレンらは北側諸国最大の魔法都市「オイサースト」に到着する。この地での目的はオレオールに繋がる土地を通行するために必要とされる、一級魔法使いの資格を得ること。

 数多くの魔法使いが集結する選抜試験において、一級魔法使いになれるのはほんの一握り。試験に参加するキャラクターたちも、これまで作中でフリーレンが出会ってきた人物とは一味違った個性が垣間見える。

 幻影魔法を扱う魔法使いであり、他人は信じないと話す「ラント」。試験官を殺害し失格処分になった過去があり、殺し合いを楽しんでいるようにも見える「ユーベル」。必要な殺しは全部やってきたと話し、女性や子どもを駆り出す戦争を目にしてきた「ヴィアベル」。

 人間を知るために旅を始め、様々な人たちとの出会いや勇者ヒンメルたちと過ごしてきた過去を想起してきたフリーレン。彼女はこれまで人を知ろうとすることの難しさや、存在しているか定かではない女神や天国を信じることの価値など、多くの気づきを得てきた。今回の試験では人間のより深いところ、生臭さが匂う人間味に触れることとなるのだろう。

 例年通りであれば第三次試験まであるとされる選抜試験の様子は、1話完結のエピソードが多かった本作において過去最高の長編となることが予想される。故に本作を読み始めるのであれば、5巻が発売されたばかりの今がチャンスなのかもしれない。本稿が『葬送のフリーレン』に興味を抱きつつもまだ読んでいなかったあなたにとって、本作に触れるきっかけとなれば幸いだ。

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