『怪獣8号』衝撃の展開で物語はどこへ向かう? 人気沸騰の理由と今後の行末を考察

 今後、主人公・カフカはどうなってしまうのだろうか。他作品とも比較しつつ今後の展開を占ってもらった。

「カフカは今『呪術廻戦』の虎杖悠仁みたいなポジションになっていますよね。怪獣の力という暴力性を内に秘めているため、社会から疎まれる存在にならざるを得ない。今後、カフカが怪獣として防衛隊から追われる身になってしまうのか。それともカフカの能力を踏まえたうえで、その力を利用するという”進撃ルート”に舵を切るのか。個人的には、カフカが一度防衛隊を離れる展開の方が面白いなと思いますね(笑)。2021年の少年漫画のトレンドを考えると組織への”従属”ではなく、組織からの”離脱”の方が世相を反映している気がします。

 一方で、『怪獣8号』のカフカとレノの関係しかり、『鬼滅の刃』における煉獄杏二郎と竈門炭治郎、『呪術廻戦』における五条悟と虎杖もですけど、縦軸、つまり先輩後輩の関係が描かれていますよね。読者が“頼り甲斐のある先輩”を求めているのかもしれません。

 それを踏まえて面白いのが、カフカは最年長で才能のない劣等生でありながら、みんなから慕われる”おじさん”キャラとして描かれていることです。少年漫画に必須だった「友情・努力・勝利」、「若さゆえの勢いと生まれ持った才能で活躍する」とはかけ離れたおじさん主人公という設定が初期の面白さでしたね。

 それがカフカが防衛隊に入隊して以降は、少年漫画としては王道の路線を進んでいる印象です。そこに『シン・ゴジラ』以降の怪獣映画の潮流をうまく取り入れ、怪獣を台風や地震のような存在として表現することで、リアリティのある世界を構築していること、そして何より作者の圧倒的な画力。これらのファクターによって『怪獣8号』は、人気に火が点いたのだと思います」

 様々な人気漫画の要素を取り込みつつ、現代的かつ斬新な設定に注目が集まる『怪獣8号』。物語の序盤にして大きな山場を迎えた本作は、果たしてどんな展開を辿るのか。次回、カフカが日本防衛隊からどのような扱いを受けるのかが物語の分かれ道となりそうだ。

関連記事