『映像研には手を出すな!』浅草氏のジェンダーレスな「個」の魅力 異色の“アニメ漫画”のキャラ設定に迫る

この3人組には「彼女たち」ではなく「彼ら」が相応しく感じる

 私自身、主人公浅草氏を含めたメインキャラクター3人の彼らに「男」「女」といったジェンダー的な認識はほとんど出てこない。自分でも途中まで気付かずに書いていたのだが、この3人組を表すときに私は「彼女たち」ではなく「彼ら」という言葉で3人組を認識している。英語で表すとThey。日本語のように「彼女たち」とジェンダーによって言葉を区別しない、「They」という意味で使った「彼ら」が3人組を表す際の三人称として、一番しっくりくるように感じられる。

 原作をすべて読んでいる私でも、彼らをジェンダーとしての「女性」とはほとんど認識していない。彼らは銭湯が好きでよく入っている。小さなコマではあるが裸も描かれている。それでも「女性」であるという認識は薄い。浅草氏は浅草氏であり、金森氏は金森氏である。物語を楽しむにはそれだけで十分であるし、むしろ「なぜ今まで物語にジェンダーが必要だったのか?」それがわからなくなってさえいる。

 性別としての認識は彼らには必要ない。「個」としての魅力だけでここまでキャラクターを成り立たせている。それだけのキャラクターを作り上げる作者はこれがデビュー作だと言う。末恐ろしい作家が登場したものだと、その才能の豊かさを嬉しく思う。

■水城みかん(みずき みかん)
経理・フィットネス・Amazon系を中心に各種Webメディアにて執筆。趣味は漫画・アニメ。AlexaとVODに依存したひきこもり生活を満喫中。

■書籍情報
『映像研には手を出すな! 1』
大童澄瞳 著
価格:本体552円+税
出版社:小学館
公式サイト

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