浜崎あゆみの自伝的小説『M 愛すべき人がいて』が描く、身を焦がすような情熱と孤独な人生

 社会学者・作家の古市憲寿は、自身のTwitterにて、「あゆの『SEASONS』を聞いている。ずっと、こんなにも時代の空気を表現した曲もないと思っていたけど、小松成美さんの『M』を読んで、とてもプライベートな曲だということを知った。ごく個人的な、切実な物語というのは、時にとんでもない普遍性を持ってしまうんだね。『M』で答え合わせができて嬉しい」とコメント。また、サイバーエージェント社長の藤田晋は、「やりたいことも夢もなかった一人の普通の女の子が、好きな人の期待に応えたい一心で信じられないほどの力を発揮する。恋心というものが生み出す偉大さに気付かされます」と、自らのブログ『渋谷ではたらく社長のアメブロ』に綴っている。

 女性の著名人からも、本書への共感の声が上がっている。作家の唯川恵は、「華やかな脚光を浴びる浜崎あゆみの隣に、膝を抱え途方に暮れる濱崎歩がいる。彼女の得たもの、失ったもの、守りたいもの、全てが詰まった一冊。胸に迫る」と讃え、女優の川栄李奈は、「忙しくて自分の時間もなく、歌手として仕事にささげてきた生き方は本当にカッコいいです」と自身のTwitterでリスペクトを表明している。

 『M 愛すべき人がいて』は、時代を動かすアーティストが生まれる背景には奇跡的な出会いがあり、登場人物それぞれに身を焦がすような情熱と、孤独な人生があることを教えてくれるのだ。

 2020年を間近に控え、東京オリンピックをはじめとした数々のトピックスに時代の移ろいを感じる一方で、言いようのない閉塞感が漂い、明るい未来が描きにくい昨今は、あの頃とどこか似ているようにも思える。濱崎歩と松浦勝人が、ミレニアムの狭間に二人三脚で作り上げたアーティスト“浜崎あゆみ”の物語が、20年余りの時を経たいま、再び注目されるのはきっと偶然ではないのだろう。

(文=松田広宣)

■書籍情報
『M 愛すべき人がいて』
小松成美 著
発売中
発売/発行:幻冬舎
価格:本体1,400円+税

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