ガラクタが冷笑時代にラブソングを歌い続ける理由 Zepp Nagoyaで味わった悔しさーー結成4年で見つめるバンドの現在地

今回、名古屋発4人組バンド・ガラクタのメンバー全員に、結成以降の4年間の軌跡を振り返ってもらった。2025年12月のユニバーサルシグマからのメジャーデビューをはじめ、この4年間の中で、バンドにとっての大きなターニングポイントはいくつもあるが、その一方で、4人は決して現状に満足していない。今回4人が赤裸々に語ってくれたリアルな言葉からは、彼らが胸に抱く飽くなき野心や向上心がありありと伝わってくるはず。
インタビューの後半では、9月16日リリースの新曲「恋するなんて」と、9月22日に開催を控えているSpotify O-EAST公演『Treasure in JUNK 4th Anniversary ONEMAN LIVE』についても語ってもらった。ガラクタの過去の軌跡、現在の心境、そして、未来の変化の予感を感じ取ってもらえるインタビューになったと思う。(松本侃士)【ライブ写真:『Toy BOX TOUR 2026』Zepp Nagoya公演】
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ソールドアウトできなかったZepp Nagoyaーー“悔しさ”をガソリンに進んできた道のり

ーーはじめに、結成以降の4年間の歩みを振り返って思うことについて聞かせてください。まずは、はるさん、いかがですか?
はる:嬉しかったことは、わりと初期の話になっちゃうんですけど、「アイラブユーが足りないの」を配信した時に、少しだけSNSで反応があって、音源を聴いてもらう機会も増えて。そこで、リスナーに届いた実感が得られたというか、みんながいいと思ってくれる曲をちゃんと書けば、実際に反応があるんだって知れたのは、けっこう大きなターニングポイントだったと思います。
ライブについて自分はそもそも強気じゃないので、最初にバンドを組んだ時には、まさか4年後にワンマンライブをしている未来が来るとは思っていなかったんですけど、実際どんどんライブを重ねるにつれて、もっと上に行きたいっていう気持ちが強まっていて。最近は、自分より若い年代のバンドがどんどん増えていく中で、どう差別化をして自分たちの音楽を届けるか、ガラクタだからこそできるライブは何か、みたいなことをさらに強く考えるようになりました。
ちゅうじょう:バンドを始めた時、自分とひろとは高校2年生、3年生とかで、やっぱり、どちらかというと、お客さんに対してライブをするというよりかは、自分たちも幼かったんで、自分たちのためにライブするみたいなメンタリティが強かったです。そんな中で「アイラブユーが足りないの」が多くの方に届いたことで、お客さんを楽しませたいなっていう気持ちが芽生え始めていったことはよく覚えています。あと、やっぱり、メジャーデビューできたっていうことが一番嬉しかったです。


ーーメジャーデビューをしたことによって、新たに掴むことができた挑戦の機会も多かったと思います。
こた:そうですね。バンドを始めた頃に、大きな会場でライブしたい、大きなフェスに出たい、みたいな目標をメンバーの中で立てていたんですけど、実際にそういうところに立たせていただく機会が何回かあって。自分の中でもそれが自信に繋がったというか。すごく心から楽しんでライブをできるようになったなっていうのは、今から振り返るとすごい思います。さっき、ちゅうじょうの話にもあったんですけど、初ライブの頃は、自分たちの演奏でいっぱいいっぱいになったり、お客さんの顔を見る余裕、楽しませる余裕がなかったりしていたと思うんですけど、大きいステージに立たせていただくことが増えて、お客さんを楽しませることを第一にライブできるようになって、それはすごく大きな変化だと思います。


ーー一方、この4年間を振り返ってみて、悔しかったこと、まだまだ実現しきれていないことなどがあれば教えてください。
ちゅうじょう:たぶん、みんなそれぞれに、めちゃくちゃ悔しい思いがめっちゃあると思います。僕たち的に、一番最初に、もう泣けるぐらい悔しい思いをしたのがひとつあって。結成して1年も経ってないぐらいで、地元の名古屋のフェスへの出演を懸けたオーディションがあったんです。自分たちも、絶対出場してやるぞっていう感じでオーディションに挑んだんですけども、結果惨敗してしまって。で、今でもまだ、名古屋のフェスには出演してないんですけど、その悔しさはずっとあります。いつか名古屋のフェス、『FREEDOM(NAGOYA)』だったり、『MERRY ROCK(PARADE)』だったり、『TREASURE(05X)』だったりに立ちたいねっていうのはずっと思っています。
こた:今年の3月にZepp Nagoyaでツアーファイナルのワンマンをさせてもらったんですけど、悔しくもソールドアウトを達成できなくて。憧れのZepp Nagoyaに立ったっていうことはすごい嬉しかったんですけど、やっぱりそこを完売できなかったっていうのが直近けっこう悔しかったことなので、これからいい曲いっぱい出しても、いつかソールドアウトできるようにしたいです。
ーーやはり、皆さんにとって、数あるライブ会場の中でも、地元・名古屋のZepp Nagoya への思い入れは特に大きいものでしょうか。
ひろと:そうですね。ソールドはできなかったけど、Zepp Nagoyaっていうでかいところに立てたこと自体が嬉しいのと、そこに来てくれたお客さんがいるという事実が、すごく嬉しいです。
ーー名古屋以外から駆け付けてくれたお客さんもいたのだろうと想像します。
ひろと:けっこういましたね。
はる:やっぱり、Zepp Nagoyaは、バンドを始める前から何回か好きなバンドを観に行っていた場所なので。1番最初に行ったのはSaucy Dogのライブ、当時すでにSaucyはもっとでかめのホールなどでライブをしていたので、逆にSaucyをZeppで観れる、距離近いな、と思っていたけど、いざ自分がやってみたら、Zeppを埋めるってこんなに大変なんだって。そんな場所に立てたことはもちろん嬉しかったんですけど、やっぱり、名古屋のバンドの伝統、いや、個人的に勝手に思ってることなんですけど、今後、上京してさらに音楽活動を進めていくことを思った時に、やっぱり自分たちの中で目標にしてたZepp Nagoyaを埋めてからじゃないと上京できないなって、なんとなく思っていて。あそこに立てただけで満足せずに、ちゃんとパンパンのZepp Nagoyaの景色を見たいなと今も思います。
ーーちゅうじょうさんは、3月のZepp Nagoyaワンマンについて、印象深い出来事などはありますか?
ちゅうじょう:みんなで会場入りして、スタッフさんにおはようございますって挨拶したんですけど、その時にステージをパッて見たら、バックドロップがでかすぎて。みんなで震えました。
ーーそのバックドロップも、今後のためにとっておいていかないといけないですよね。
ちゅうじょう:はるさんの家にあります。
はる:広げたらリビングよりでかいです。
全員:(笑)
ちゅうじょう:ステージを見て、でかいなと思ったんですけど、来てくれるお客さん一人ひとりに向かってライブすることはどんなライブでも変わらないので、その人に向けてやろうっていう気持ちはありました。でもやっぱり、ソールドアウトできなかったことは、当日も悔しかったですけど、終わってからさらにどんどん悔しい思いが強くなっていって。ソールドアウトさせることが全てではないんですけども、いつかはリベンジして、絶対Zepp Nagoyaをソールドアウトさせて、Zeppツアーだったり、武道館だったり、目標をさらに上げていきたいなと思ってます。
「恋愛に対して冷笑したくなる人の気持ちも分かる」

ーー続いて、9月16日リリースの新曲「恋するなんて」について聞いていきたいと思います。
はる:この曲のテーマが、最近の言葉で言うと冷笑なんすけど、最近の冷笑文化をテーマに変えたらおもろいんじゃないかなと思った時に、このタイトルのワードが出てきて。
ーー皆さんの実感として、今の時代を生きる中で、冷笑の時代と感じる場面は多いですか。
はる:特に若い世代はその感覚がめっちゃ強いと思いますし、自分もめっちゃしちゃいますね。やっぱりSNSが普及したことによって、他の人の生活が全部見えるようになっちゃって、さらに、自分の生活と比べちゃうことが多くなったと思っていて。きっと、冷笑は、自分を守るためのものじゃないですけど、自分に対しての防御反応なんだと思う。
ーー「恋するなんて」は、最終的には、冷笑を超えていこうとする曲のように聴こえました。
はる:そうですね。そもそも自分も、こんなに恋愛の曲を書いてるのにあれなんですけど、わりと恋愛冷笑家で。
全員:(笑)
はる:恋愛を生活の主軸にしてる人、これも冷笑なんですけど、そういう人ってどうなん、みたいな。今だけじゃなくて、けっこう昔からそういうことを思う人間だったんですけど。
ちゅうじょう:僕は冷笑界隈じゃないので。そういう方もいらっしゃるんだなと思いつつも。
全員:(笑)
はる:恋愛に対して冷笑したくなる人の気持ちも分かるし、でも、その気持ちも分かった上で、恋愛って自分でコントロールできる感情じゃないところから始まるものだと思うので、その自分の感情に素直になることも大切だよっていうことを伝えたくてこの曲を書きました。

ーーこの曲のデモを受け取った時のファーストインプレッションについて、何か覚えていることがあれば教えてください。
こた:そうですね。デモの段階で、歌のメロディが、これまでのガラクタっぽくないと思ったんですけど、完成形を改めて聴いた時に、意外にこういうメロディもガラクタに合うんだなっていう発見がありました。
はる:この曲は、平成感を出そう、というテーマで書き始めたんですけど、自分が小学生の時に聴いてた曲を掘り返して、それらをリファレンスにしながら書いていきました。

ーー外連味が強い、というか。
はる:そうですね。それで、自分もそういう曲を書きたいなと思いついて。
ひろと:平成感っていうテーマを事前の話し合いの段階から喋っていたので、デモが来た段階で、頭の中でこういう感じにしたいんだろうなっていうのが、今まででたぶん一番伝わってきた曲なんじゃないかなと思ってて。自分もそれに沿えたのかなって思ったのと、完成して聞いた時に、やっぱ正解だったなという手応えが一番ありました。
ちゅうじょう:ドラムも、ちょっと平成寄り、というか、先ほどはるさんが言ったように展開を多めにしてみたり。いつもどおりの音源にならないようにしようっていうのは今回も心掛けていたんですけど、でも、完成したら、やっぱりいい意味でガラクタっぽさが出て、不思議だなって思いました。



















