川口大輔が生み出した22年越しのアルバム、JUJU・土岐麻子らとの絆 プロデューサーとして駆け抜けた25年を語る

裏方としての25年、これからの人生に向き合う覚悟
――アルバムタイトルを『Elsewhere』としたのはなぜですか?
川口:僕はここではないどこか、“Elsewhere”に逃げながら生きてきたようなところがあるんですけど、それと同時に、そう思いながらずっと自分を相対化してきたところもあって。ここに行ってみたらわかるかなとか、ここにイマジネーションを飛ばしてみたら相手の気持ちがわかるかなとか、今いる自分の場所じゃないところに気持ちを飛ばしながら、時には逃げ、時には自分を見つめてってことを繰り返してきた人生なのかなって思ったんです。曲作りも同じで、「プルメリア」もフィクションなんだけれど、ノンフィクションでもある。ここではないどこかに思いを飛ばして曲を作るっていうのが多分僕のライフワークだし、そんな自分を表すのに『Elsewhere』はピッタリだなと思ったんです。
――今後もコンスタントにアルバムは作っていくんですか?
川口:作り終わった時は「もう無理」って思ってましたけど(笑)、でも多分また作ると思います。作品作りって、僕が一方的に送りつけてる絵葉書みたいなものだと思っていて。頼まれてないけど、急に絵葉書届いたから返信してみようかなみたいな、そういうきっかけになるなと改めて思ったんですよね。このアルバムができたことで、今日これだけの話をさせてもらう機会にもなったし、今作を通して色んな人とお話をさせてもらいながら、「ちゃんと自分の気持ちを伝えたいし、ちゃんとありがとうを言いたい」と思うきっかけになりました。だからその火を絶やさぬように、また作りたいと思ってます。
――裏方としてのお話もお伺いしたいのですが、作家デビューしてからの25年を振り返って、今どのように思っていますか?
川口:本当にいい出会いしかなかったですね。色んな人に曲を提供させてもらって、色んな人のサポートをさせてもらって、ただただエキサイティングでした。昔よりは自分も嘘をつかずに、「これはこう思います」と言えるようにもなってきたし、自分の持っているプライドが邪魔をせずにきちんと思いを伝えるっていうことも、前よりはできるようになってきたと思います。ある意味では諦めることも覚えましたね。たとえば、由紀さおりさんみたいには歌えない、久保田利伸さんのようには歌えない、ToshIさんのようには歌えないっていう当たり前のことを、誰よりも近くで感じることができて、だったら自分はこういう声で歌いたいとか、こういう伝え方をしたいって思うようになったんです。改めて自分はこういう人間なんだなと思える時間でもありました。
――作家デビュー当時と今とでは作り方や考え方にも変化はありますか?
川口:当時はとにかく失敗できないと思ってたんで、人から突っ込まれないようにしようみたいな自意識で作っていました。自分で歌う曲は別なんですけど、提供曲となるともうガチガチに緊張してしまい、どうしよう、どうしようと思ってましたけど、今に関しては、突っ込まれないようにしようみたいな自意識からはだいぶ解放されましたね。素直に「これどう思いますか?」って昔よりは言えるようになった気がします。といってもまだ自意識が100%が抜け切れたわけではないんですけどね(笑)。
ーーこれだけのキャリアと実績があるにもかかわらず、今でも緊張するんですか?
川口:緊張感はずっとあります。喋ることについてはまったく緊張しないんですけど(笑)、作品作りに関しては絶対落胆させたくないし、落胆させて落ち込む自分を見たくないから。昔は1本勝負でやりすぎていてダメだったけれど、今はだいぶ楽になりましたね。
――この25年で音楽シーンの変化みたいなものは感じますか?
川口:音楽シーンは変わったと思いますね。でも、根幹は結局同じなのかなとも思います。フォーマットは本当に変わったし、今は生っぽく聴こえない方がみんなに届きやすいんだなとか、そういう意味での構造は昔とは全然違う気もするんですけれど、ただそれはあくまでも質感とかそういった部分であって、根本にあるキュンとしたい気持ちとか、切ない気持ちとか、人間のDNA的なものはそんなには変わってないんじゃないかな。だから質感の調整は時代に合わせてできる限り心掛けてはいますけど、その根幹にある部分は手放さなくてもいいのかなと思いながら作ってますね。
――最後に、今後の目標などあれば教えてください。
川口:今回ずっと胸に抱えていたものがしっかり形になって、今は本当に“ゼロ”の状態なんですけど、このゼロが怖くて僕はこれまでアルバム作りをやってなかったのかなと思って。だからこの後出てくるものにも恐れず、ビビらず向き合っていきたいです。そしてこのアルバムを出したことをきっかけに、より優しく、より素直に、より嘘をつかずに生きられる人生を歩めたらいいなと思ってます。
――次は22年もかからず出してくださいね。
川口:頑張ります(笑)。
■リリース情報
アルバム
『Elsewhere』
2026年9月2日(水)発売

品番:AICL-4916
価格:3,500円(税込)
CD購入:https://KawaguchiDaisuke.lnk.to/25thAL_CD
配信リンク: https://smar.lnk.to/lGzel2
<収録曲>
01. Summertime
02. Shuffle feat. JUJU
03. プルメリア feat. 土岐麻子
04. 雨が降る日には
05. Depois da Chuva
06. elsewhere
07. だりぃのは今日まで
08. 君のこと好き
09. Finally
10. A Place of My Own
11. good bye
■関連リンク
川口大輔
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