Dios、『Mirrored』で獲得した新たな表現 新曲「火星より愛をこめて」とともに描いた物語と体温のすべて

村上春樹とのリンク、「火星より愛をこめて」で挑む新境地……終演後に3人で語り合う!
――今夜、8月26日にリリースされる新曲「火星より愛をこめて」を披露されました。まだ誰も音源を聴いていない曲を実際に披露してみた手応えを教えてください。
たなか:今回のライブは、大きな月が吊るされているという形で2時間進行して、いちばん最後にその幕を剥がすと、実はそれは地球だった――という構成にしました。つまり、僕たちは今火星にいて、火星から地球を見て歌っている。だから「火星より愛をこめて」というタイトルなんです。そのストーリーを含めての曲なので、そこが伝わっていたらいいな、って。絵としての面白さは結構出せたかなと思うんですけど、この曲自体が皆さんの心に届いてくれたら、もっと嬉しいですね。
Ichika Nito(以下、Ichika):この曲は、Diosにとって初めてメジャーキーで作った曲なんです。しかも自分にとって思い出深かったのが、その作り方で。Diosの結成初期の頃にやっていたみたいに、僕がギターフレーズをまず弾いて、そこを元にみんなで広げていくというやり方をしたんです。これまではずっとマイナーキーでそれをやってきたんですけど、今回はメジャーキーで広げていって、バラードのアンセムのような形になりました。それを今日初めてお客さんの前で披露して、聴き入ってもらえた。ゆくゆくはライブを重ねて、みんなで歌えるようなあったかい曲になればいいなと思います。そうなる予感をすごく感じたライブでした。
ササノマリイ(以下、ササノ):新曲をやる時って、大半の人は反応のしようがないと思うんです。どんなにいい曲であっても、初めて聴く曲ですから。それでも「順応しよう!」「楽しもう!」と思ってくれているのが、演奏していてすごく伝わってきました。きてくれる人たち、聴いてくれる人たちに恵まれているなと思いましたね。
――この曲は「火星から、地球にいる君へ、届くはずのない手紙を書く」という設定の曲で、歌詞ではSF的な言葉と生々しい感情が同居しているのが印象的でした。こうした歌詞の世界観は、どんな発想から生まれてきたものなのでしょうか。
たなか:この曲のために、ライブのシナリオを書いて。実は、初期設定としてあったのは、「デカい月が実は地球だったんだ」「実は別のモノだったんだ」という叙述トリックみたいなことをやりたいという発想でした。そこから、月じゃなくて火星になっていって。調べていくうちに、火星にはフォボスとダイモスという月がふたつあることを知りました。僕、村上春樹がすごく好きなんですけど、『1Q84』(新潮社)という作品では、主人公たちが月がふたつある世界に行ってしまうんですよね。それが今回インスパイアされているわけではないんですけど、自分のなかでちょっと嬉しいリンク感がありました。
ただ、火星といういかにもSF的なものだけを入れても、お客さんはあんまりノレないというか、ガワだけやりましたという感じになってしまう。だから、歌詞については、あくまで体温の宿るものにしようと考えました。

――そのあたりは、今日のお客さんに伝わった感触はありましたか。
たなか:正直、まったくわからないです(笑)。今は「伝わっていてほしいな」という祈りでしかない。お客さんを信じるしかないですね。いちばん最後のアウトロで、フォボスとダイモスの話をしているのですが、そこは物語と密接に関わっている部分なので、伝わってくれると嬉しいなと思ってます。
ササノ:好きなポイントはめっちゃたくさんあるんですけど、なかでも曲の締め方がすごく好きですね。〈「どっちがフォボスだっけ?」〉のあとの〈君を見たかったなあ〉というところとか。たなかと同じポイントですね。
Ichika:最初に歌詞を見た時に絵として、『星の王子さま』を想起しました。
たなか:ああ、なるほどね!
Ichika:「この人はひとりでその惑星にいるんだな」と思ったんです。でも、それは絶望とかではなくて、ここで過ごしながら君を思っているということで。それが伝わってくるのがすごく好きだし、いいなと思っています。

――今回のライブについて、事前のコメントで「これまでのDiosのライブにはなかった"作品としての強度"を獲得すべく邁進します」と書かれていました。ライブを終えた今、その強度は手に入ったと思いますか?
たなか:本当にお客さんのコメントがほしいところではあるんですけど……かなり新しい試みなので、表現の強度というよりは、フォーマットを獲得したなという気持ちがすごくありますね。オープニングとエンディングに映像があって、そのあいだはDiosのライブとして普通に進行しながら、少しずつ世界観が織り交ぜられていく。そういう形で今回ライブを作ったので、お客さんも最初のほうは「これはどういうことなんだろう?」という困惑があったと思うんです。でも、途中から音楽にノれるゾーンになったら、ちゃんと盛り上がってくれていましたし。そして、最後に説明と歌唱があって、エンディングの映像で終わる。映像でライブをサンドイッチするみたいな構造ですよね。そのフォーマットをひとつ作れたので、「この先どうなっていくんだろうな?」と思っているところですね。
――ステージ上では「2年後にアリーナ」というお話もされていましたね。
たなか:はい。2、3回は言っていましたよね(笑)。アリーナは絶対にやりたいです。
Ichika:ライブのたびに同じ話になってしまうんですけど、聴いてくれた人、観てくれた人がどう思うか――というところまでがライブだと僕は思っているんです。だから、今日も家に帰ったらXのタイムラインを追って、エゴサーチをして、Instagramでメンションされたストーリーを見て、それでやっと寝る(笑)。明日ぐらいに「このライブはよかったんだろうな」という実感が得られるんだと思います。
あと、今日は冒頭でハープを弾いたんですけど、僕もギタリストだけである必要はないなと最近は感じていて。もともと、いろんな楽器を使って曲を作ることが音楽家としての自分のいちばんの本質だと思っているんです。だから、表現方法がギターに限られる理由もないし、弾ける楽器もやりたい表現も、もっとある。そういう意味でも、いろいろとやっていきたいですね。
たなか:歌以外でね(笑)。
Ichika:うん(笑)。
たなか:歌だけは絶対に歌ってくれないので(笑)。今後はコンセプトについても、一緒に考えてほしいなあ。今回は全体に通底するテーマが存在する作り方でしたけど、曲ごとに「こういう演出をやりたい」というのがふたりのなかにもあるだろうし。
Ichika:そうだね。次は最初から会議の段階から入って、一緒に作っていきたいですね。
ササノ:今回のライブで言うと、自分のなかにあるひとつの理想――「シリアスに楽しんでもらう」という部分の取っかかりができたのかなと思っていて。ハッピーとかではなく、フェスのような楽しみ方でもなくて、作品としてマックスに楽しんでもらう。かといって、重く受け止めてもらうのとも違う。そのいいとこ取りができたかなと思うので、あとは鍛えるべき筋肉のメニューができたという感じです。
■セットリスト
01. 残像
02. 喪失のワルツ
03. 陽炎
04. 劇場
05. One Night Cruising
06. 逃避行
Instrumental Session(Gt/Key/Dr)
07. 鬼よ
08. B.U.G.
09. My Gasoline
10. Virtual Castle
11. 自由
12. 王
13. 醜形の女神
14. &疾走
Ichika Solo
15. ラブレス
16. 無理
17. また来世
18. 裏切りについて
19. 天国
20. 火星より愛をこめて
EN. 花霞
■リリース情報
Digital Single『火星より愛をこめて』
発売中
配信URL:https://orcd.co/fmwl
オフィシャルサイト:https://dios-web.com/
X:https://x.com/_d_i_o_s_info_
Instagram:https://www.instagram.com/d_i_o_s_official_/
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