Masato Hayashi、『RAPSTAR』を通して気づいた「ラップとは何か?」 苦悩の日々、充実の今、シーンへの危機感を語る

Masato Hayashi、『RAPSTAR』で得たもの

 『RAPSTAR 2025』で(「SELECTION CYPHER」以降)最年長ながら、おそらく最も強烈なインパクトを残し、以降の活動でも音楽シーンで存在感を大きくし続けているラッパー Masato Hayashi。彼のこれまでの道のりが平坦でなかったことは多くのリスナーが理解しているだろう。Pablo BlastaからYomi、現在のMasato Hayashiまで、名義を変え、空白期間を作りながらも、ラッパーの道を諦めることなく進んできた。ついに大きなチャンスをものにした彼は今、何を思うのだろう。

 取材時現在、最新アルバムを制作中で、ワンマンライブや『SUMMER SONIC 2026』への出演も控えている彼に、最新リリースの「暴走東京」「In The Moment」について、ブレイクの起点となった『RAPSTAR 2025』について、じっくりと語ってもらった。(高久大輝)(高久大輝)

「『RAPSTAR』に出るラッパー、ねえな」からの変化

Masato Hayashi

――『RAPSTAR 2025』に挑戦する前は、どのような状況だったんですか?

Masato Hayashi:うだつの上がらない感じですよね。ちょうど先日、『RAPSTAR 2025』に出る前の自分の映像を見返してたんですけど、完全に別人みたいな顔つきをしていて。売れるのが全てじゃないけど、「どうすれば売れるんだろう?」って考えている時期だったと思います。当時は32、33歳とかで、「趣味でラップをやってる」と自分にも言い聞かせていたし、周りにも言っていたけど、自分も周りも売れないなかでラップをし続けるのが「しょうもないな」って感じてしまっていて。「いい年こいて何やってんの?」みたいな。本当は全然気にしなくていいはずだけど、ラップってものがそうさせると思うんです。たとえば「ちょっと趣味でレゲエのダブバンドをやってんだよね」とかなら、見え方的には「いいね。大人の趣味だね」となると思うけど、「趣味でラッパーやってんだよね」と言っても様にならないというか。ラップはユースカルチャーだし、ラッパーって若くてチャラチャラしたイメージもあると思うから。ただ、それでもやっぱり「ラップで金を稼ぎたい」と思っていろいろチャレンジしたんですけど、迷走していたかなって。

――迷走?

Masato Hayashi:作品を作るのは自分のフィールドなんですけど、売れるためのマーケティング的な部分が苦手だったんです。この前、売れようとしていろいろやってた時期の動画をマネージャーと見返してたんですけど、マジで見てらんないです(笑)。俺がライブしてるときに、当時いっしょにワイワイしてた友達がステージに上がってきて、俺が歌ってる途中に酒を渡してきて、それを飲んでるところを動画にするとか、意味わかんないことしてました。

――『RAPSTAR 2025』に挑戦するきっかけはどこにあったんでしょう?

Masato Hayashi:正直、もともとは「『RAPSTAR』に出るラッパー、ねえな」と思ってたんです。純粋に賞レースとかで上がっていく感じがラッパーっぽくないなって。日本に限らず、海外のラッパーのオーディション番組を観ていても「違うな」と思ってましたね。でも、ちょっと知名度のある人と曲をいっしょにやったり、TikTokをやってみたり、ライブで何かしてみるとか、もう本当に売れるためにやれること全部やって、全部無理で。「曲をリリースします」っていうメールをいろんなメディアに投げても、どんどん取り上げてくれなくなっていって。そんな状態だったから、「もう『RAPSTAR』しかないな」って。この年齢で、このキャリアで、挑戦して早々に落ちたらダサいし、大打撃になることもわかっていたんで、これで無理だったら本当に辞めようと思ってました。

Masato Hayashi

――背水の陣でもあったわけですね。周囲の仲間の反応はどうだったんですか?

Masato Hayashi:最終的にめっちゃ応援してくれたんですけど、最初は違っていて。俺の周りの、本当に支えてくれる友達や仲間は、すでに何か成し遂げてる奴が多くて、俺だけ何も成し遂げてない。そんな状況だったから、俺が「じゃあもう『RAPSTAR』出るわ」って言っても、「いやそれは違うでしょ。お前、迷走しすぎだよ」みたいな感じだったんですよね。でも、俺は結果さえ出ちゃえばみんな絶対わかってくれると思ったんです。結果よりも過程が大事ってよく言うけど、俺はどっちも大事だと思っていたから。

Masato Hayashi【地元密着・新曲披露】RAPSTAR 2025【HOOD STAGE】

――なるほど。『RAPSTAR 2025』では「SELECTION CYPHER」以降、最年長で審査を受けることになりました。『RAPSTAR 2025』を通して、どのような刺激を受けましたか?

Masato Hayashi:めちゃくちゃ刺激はあったし、影響も受けていて。たとえば俺はリリックで抽象的なこと、感覚的なことや、普遍的なことを多く書いてきたタイプなんですけど、今はもっと具体的なことがリスナーに刺さるとか。あと「ラップとは何か?」ってことが『RAPSTAR 2025』を通してわかった気がしていて。これまでもラップをやり続けて、めっちゃ近くでラップってものを見ていたから、全体像が見えていなかったんだと思うんです。それがちょっと客観的に見れるようになって。ラップって本当に“路上の立ち話”なんだな、みたいな。昨日こんなことがあってさ、あいつがあんなこと言ってさとか、俺はこう思って、みたいな普段する立ち話をスキルやテクニックで面白おかしく話すのがラップなんだなって。今までの自分のラップがダメという話ではなく、本来のラップの形ってこれだなって気づけた。それはかなり今後の作品作りにも良い影響を与えてくれそうです。

――番組内でSEEDAさんが「半径1km以内のことをラップした方がいい」(※1)とアドバイスしていたこととも繋がりますね。

Masato Hayashi:そうそう。でも最初に言われたときは全然気づいてなくて。今だったら「なんで意味わかんないの?」って思うんですけど、「RAPSTAR CAMP」ぐらいでSEEDAさんともう一回会ってそれを言われたときに、「あ、そういう意味か」って。ちょうどその頃に、自分でも「ラップって路上の立ち話だよな」って思ってたんで、ガチってリンクしたんです。

Masato Hayashi 新曲制作&パフォーマンス【Pxrge Trxxxper vs Masato Hayashi】|RAPSTAR 2025【RAPSTAR CAMP】

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