EXILE TAKAHIRO、ファンへの感謝に溢れた祝祭の一夜 20周年の軌跡と揺るぎない絆を確かめた“聖地”武道館公演

EXILEのボーカルTAKAHIROが、9月25日、日本武道館にて『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2026 "JUBILEE"~20th Anniversary~』を開催した。TAKAHIROにとって日本武道館とは、2006年9月22日に開催された『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』の最終審査の場であり、EXILE加入が決まった、まさに“聖地”と言うべき場所。ソロデビュー10周年を記念して開催した『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2023 "EXPLORE"』以来、4年連続で9月に武道館に立っているものの、今回はEXILE加入20周年を記念したアニバーサリーライブということで、例年以上にお祝いムードが漂っていた。
"JUBILEE"(祝祭)と名付けられた本公演は、さまざまな時代のアーティスト写真を繋いだ映像からスタート。その流れで、のちの相方・ATSUSHIが『EXILE VOCAL BATTLE AUDITION 2006 ~ASIAN DREAM~』のファイナリストだったTAKAHIROの名前を叫び、「第二章、開幕!」と宣言する名シーンが映し出されると、20年前の記憶と大歓声がドッと押し寄せた。そこにシックな装いで登場したTAKAHIROは、当時のオーディション課題曲であり、EXILEの一員として初めて日本武道館公演を行った際にもパフォーマンスした「Choo Choo TRAIN」を歌唱。冒頭のロールダンスから激しく踊り続けるEXILEバージョンの「Choo Choo TRAIN」と異なり、TAKAHIRO単独のステージでは、お馴染みのバンドメンバーと生み出す心地よいグルーヴが、ゆったりと観客のフラッグを揺らしていた。

「この曲で盛り上がっていきましょう、『Everything』!」そう呼びかけて始まったのは、TAKAHIROが加入した2006年に、EXILE第二章として初めてリリースしたシングル曲「Everything」。実はEXILE加入以降、7年にわたってスランプに陥っていたという過去を持つ彼だが、この日のステージには、さまざまな苦悩を乗り越えて、清々しい笑顔で〈生きてることで すべてはOKさ!〉と歌うTAKAHIROの姿があった。とはいえ、客席から届けられた大合唱を全身に浴びながら感謝を伝える表情は、あの頃と変わらない。20年経ってもなお輝き続ける……むしろ、年々輝きを増す“初代プリンス”の笑顔を、観客たちは愛おしそうに見つめていた。続いてスタンドマイクを握ると、ソロアーティストとしても俳優としても大きな一歩を踏み出した、ドラマ『戦力外捜査官』(日本テレビ系/2014年放送)の主題歌「Love Story」を披露。自ら綴った誠実な愛の言葉に、バンドマスター木島靖夫の歌うようなギターソロが寄り添う。そんな二人の関係性も、長い年月の中で培われたものだろう。この曲でも観客の歌声が溢れ出し、TAKAHIROは「頭からすごい盛り上がりで! みなさん、ありがとうございます!」と声を弾ませた。
MCでは、バラエティで磨かれたトーク力が冴えわたる。各所から投げかけられる「おめでとう!」の声には、「嬉しいです。みなさん、隙あらば“おめでとう”って……。届いてましたよ!」とニッコリ。「みなさんにお祝いしてもらおうという気持ちは、さらさらなく。みなさんへの感謝の想いを精一杯伝えられたら……。そんな気持ちを音楽に乗せて最後まで届けていきたいなと思っています」と真剣に語った直後、「“さらさらない”は嘘ですね。“ふんだんに”祝っていただけたら(笑)」と笑いを誘う。さらに「20年間、みなさんの支えがあって。時には心が折れそうな時もありましたし、負けそうな時もあったんですけど、どうにか立ち上がって、ここまで頼りない足で歩んでこられたのは、みなさんの応援と笑顔とパワーのお陰です」と感謝を伝えた。

さて、ここからはEXPG STUDIO所属のキッズダンサーたちを迎えて、“夢”をテーマにした楽曲を届けていく。まずは、2007年に初めて自分で作詞を手がけた「Dream Catcher」。「LDHの社訓であるLove, Dream, Happiness。その“夢”の部分をみなさんと分かち合いたいなと思っております」と言い添え歌い始めると、頭上に、たくさんの夢の欠片を散りばめた“無限大の空”が広がった。目の前のステージでは、TAKAHIROの周りでキッズダンサーたちが踊り、ステージモニターにはEXILEのレジェンドメンバーと肩を並べて歌う、デビュー当初の“末っ子ボーカル”が映し出されている。第二章EXILEの第1弾シングル『Everything』に収録された「Giver」は、彼がオーディション時に歌っていた課題曲であり、TAKAHIRO自身も大好きだというEXILE第一章の名曲「DIAMOND」は『EXILE TAKAHIRO 武道館 LIVE 2024 "GLORY" ‾Dream‾』で初披露した“夢を実現する強さをくれる曲”だ。当時の自分のように夢を追って躍動するキッズダンサーたちの背中を、ステージ中央のスツールに腰かけ、見守りながら歌うTAKAHIRO――。20年前に「EXILEのボーカルになる」という大きな夢を掴んだ青年は、20年後、次なる世代の夢を後押しし、大勢の人々に「Yell」を贈るアーティストに進化していた。

EXILEに加入した後も「信じられないほどの、数えきれないほどのチャンスをいただいてきました」と語る、TAKAHIROの音楽人生。その中でも特に大きな転機となったのが、2013年6月26日に実現したソロデビューだという。そして、繊細なヴァイオリンの音色に誘われるように、ソロデビュー曲「一千一秒」からバラードブロックへ。TAKAHIROは胸元に片手を添えて、瞼を閉じたまま、降り積もっていく〈逢いたい〉気持ちを歌声に乗せる。オリジナルとしては初のソロ曲「PLACE」では、詩的な歌詞をなぞるようにオレンジ色のライトがステージを照らし、2011年にTAKAHIRO初のソロ曲として発表した「以心伝心」(19のカバー)では、EXILEの楽曲やオリジナルのソロ曲とも異なる温度感や言葉遣いが、セットリストに新たな光を差し込んだ。

「以心伝心」のアウトロで「いつまでもずっと、みなさんと以心伝心でいられるように、心から願っています」としっとり語りかけ、温かい拍手に包まれたのも束の間、ライトアップするやいなや「曲中じゃないと言えないようなクサい台詞を、思い切って言ってみました(笑)」と照れ笑い。その後のMCでも気合いが入りすぎた結果、大事なところで何度か噛んでいたが、こういうカッコつけきらないところが、TAKAHIROがたくさんの人に愛されている秘訣なのかもしれない。また、このMCタイムでは、最近、全国各地で行っているディナーショーの話題も。通常のディナーショーでは「個人的に尊敬する方々の曲をカバーさせていただいております」とのことだったが、武道館では、相方のATSUSHIに勧められたという井上陽水の「いっそセレナーデ」を初披露。ギター1本をバックに届けられた甘い歌声に、観客はうっとりと酔いしれた。だが本人は、「大人の味が足りないですね」「口づけがね、まだ軽いんですよ(笑)」と、歌の仕上がりに納得していない様子。「もっと人生経験を詰んで、大人の魅力をしっかり出して。尊敬する方々のカバー曲を歌う時にEXILE TAKAHIROの曲かと思ってもらえるくらい、迫力すらもお届けできるような歌を歌っていきたいと思いますので、温かく見守ってください」と呼びかけた。さらにTAKAHIROが作詞した「手紙」の歌唱中には、直筆の歌詞が映し出され、実際に手紙を読んでいるような演出に。同じく自ら作詞を手がけたEXILEの楽曲「命の花」は、ピアノが映える壮大なバラード。大サビで〈離れてても/会えなくても〉とアカペラで歌うTAKAHIROのもとに一斉にバンドサウンドが雪崩込むと、観客は歓声や拍手を一瞬忘れるほど、その迫力に飲み込まれた。
バンドメンバーたちがソロ演奏を展開しているところに、レザージャケットに着替えたTAKAHIROが合流すると、本編は早くも後半戦。豪快なドラムとエッジーなギターリフがリードして、「YOU are ROCK STAR」に突入した。ライブ序盤の上品な佇まいから一転、モニターに足をかけてハンドマイクで吼えるように歌う姿は、まさにロックスター。「FULL THROTTLE」ではジャケットを脱ぎ捨て、ビールを飲むジェスチャーを交えながら熱唱。2曲ともTAKAHIROが作詞作曲(作曲はギタリスト木島靖夫と共作)しており、彼のルーツの一つであるロックに振り切ったステージングが印象的だった。一方、青春時代からリスペクトしているというGLAYのTAKUROが書き下ろした「Irish Blue」は、ケルトミュージックを想起させるイントロが特徴の爽やかなロックチューン。この日はタイトルにちなんでブルーの星空がステージを照らしていたが、どんな時もどんな場所でも“世界中の幸せを願い歌う姿”は、GLAYとEXILEに共通するものだろう。


イントロが舞い込んだ途端に歓声が上がったのは、2009年4月にEXILE第三章が開幕し、新体制として発表した第1弾楽曲「Someday」。サビは「みなさんで!」と呼びかけるまでもなく、大合唱が響き渡った。そして、近年のソロ活動を象徴する1曲として、2025年リリースの「COIN」を披露。ここまで20年間の道のりを振り返り、アーティスト人生の節目となる楽曲を一つひとつ拾い上げてきたTAKAHIRO。そんな彼が本編ラストにふと見上げた夜空には、新曲「一番星」が瞬いている。“一番星”――それはTAKAHIROにとってのファン一人ひとりであり、ファン一人ひとりにとってのTAKAHIROのこと。ライブ初披露となった同曲を通して、揺るぎない絆を今一度確かめ合うと、TAKAHIROは未来を見据えて歩みだしたのだった。

お待ちかねのアンコールは、まず、『EXILE RESPECT』シリーズから2曲をお届け。オーディションの課題曲にもなっていたEXILEの名曲「Lovers Again」と、20年前に最終審査の舞台・日本武道館で歌唱した“特別な楽曲”「運命のヒト」を歌い上げる。そのタイミングで「20年間。本当にありがとうございました。これからも感謝の気持ちを胸に、歌い続けていきます!!」という直筆メッセージが映し出されると、観客の視線は大画面に釘付けとなった。中には、少ししんみりした気持ちで見つめていた人もいたことだろう。だが、ここで嬉しいサプライズが。自身の誕生日である12月8日にオリジナルアルバム『Love&Raw』を発売することと、バースデー&クリスマスライブ『EXILE TAKAHIRO BIRTHDAY&CHRISTMAS LIVE 2026 “Knit”』の開催決定が発表された。アルバム『Love&Raw』には、先に披露した井上陽水の「いっそセレナーデ」カバーと「一番星」、アンコールでお披露目となった新曲「ORIGINALITY」などが収録される。ちなみに、初披露かつライブ撮影可という慣れない環境で「ORIGINALITY」を歌ったTAKAHIROは、ちゃんと盛り上がるか不安だったようで、「新曲『ORIGINALITY』、良い感じですよね?」「楽しんでくれてます……?」と恐る恐る問いかける。すると客席から温かな拍手が送られ、ようやくホッとした様子で笑みをこぼした。

ライブ冒頭から何度も、これまでの感謝や今後への意気込みを語っていたが、ここでも「20周年といえども、EXILEとしてはようやく成人を迎えたという、ひとつのターニングポイントだと思っているので、ここからまたより一層みなさんに楽しんでいただけるように、しっかりと頑張っていきたいなと思います」「まだまだ未熟者ではありますが、精一杯みなさんに歌を届けていきますので、応援のほどよろしくお願いします」と謙虚にコメントするTAKAHIRO。とはいえ、“初代プリンス”も今では40代の中堅世代である。自分と同じように20年の時を重ねたファンの足腰を気遣うと、観客は大爆笑!「30周年、40周年、50周年をみなさんと迎えられるように頑張りますので……みなさんも健康に、またお会いしましょう!」と呼びかけ、ラストナンバー「Feelings」へ。エモーショナルなロングトーンに呼応するように、金テープが宙を舞い、記念すべき一夜を華やかに締めくくった。

……と思いきや、「今日は『YOU are ROCK STAR』の歌詞、間違っちゃったんですよ」とニヤリ。2度目の「YOU are ROCK STAR」に突入すると、1万人の歌声が重なり、この日一番の熱狂が生まれた。最後にTAKAHIROは両手でハンドマイクを握りながら「Yeah~~~~!」とシャウト。今度こそカッコよく決まった! と思ったが、「さっき間違えたところは間違えなかったのに、いつも間違えないところで間違えた(笑)」とおどける。もうツッコミが追いつかない。それでも「また会いに来てくれますか!? 来年も日本武道館で集まろうぜ!」と叫ぶTAKAHIROの表情はじつに満足そうで、早くも来年の日本武道館が楽しみになるエンディングだった。

























