JUVENILE×Restria 対談:リアル×バーチャルが拓く次世代サウンド トータルプロデュースの設計図、制作秘話に迫る

JUVENILE×Restria 特別対談

 “リアル×バーチャル”を掲げ、アバターと実体の両軸で活動する新進気鋭のグループ・Restria。そのサウンドを全面的に担うのは、クリエイター・JUVENILEだ。本稿では、自身のユニット・OOPARTZの経験を投影した近未来的なエレクトロサウンドの設計思想を語るJUVENILE単独インタビューと、2ndシングル『NEO CITY』をリリースしたRestriaの3人を交えた座談会を二本立てで公開。日本語・中国語の二カ国語展開やメンバーによる訳詞、独自のグローバル戦略、レコーディングでの試練から7月の初単独イベントへの決意まで、Restriaの飽くなき挑戦の全貌をお届けする。(編集部)

音楽プロデューサー JUVENILE 単独インタビュー

スタートアップからの挑戦:JUVENILEがRestriaに懸ける想い

――JUVENILEさんはこれまでにもクリエイター/サウンドプロデューサーとして幅広く活動してきたわけですが、Restriaにはどのような経緯で関わることになったのでしょうか。

JUVENILE:そもそも、僕はアーティストやアイドルグループに楽曲提供させていただくことがよくあるのですが、それは1曲単位で、すでに動いているプロジェクトの中にジョインする形が多くて。なので、スタートアップからサウンド面でトータルプロデュースを行う関わり方をいつかやってみたいと考えていたんです。なんなら自分で何か立ち上げようかと思っていた時に、同じ事務所のホリプロインターナショナルの中で新しいグループの企画が動いていると聞いて。Restriaのプロデューサーとは、以前に別のアーティストの楽曲提供で仕事をしたことがあったのですが、それもあって自分に声をかけていただいて、僕としてはやりたいことでもあったので二つ返事でご一緒することになりました。

JUVENILE(撮影=池村隆司)
JUVENILE

――Restriaは“リアル×バーチャル”をコンセプトに掲げ、アバターと実体の両軸で活動を行っています。メンバーは仮想空間を起点に誕生した“音の戦士”で、人々の心に生まれる“ノイズ”を浄化するためにバーチャル空間と現実世界を行き来しながら活動する、というユニークなものですね。

JUVENILE:最初にお話を聞いた時に、ちょっとSFチックで面白いなと思いました。バーチャルのキャラクターと“中の人”がリンクしていて、普段はバーチャル配信をメインに活動しているけど、リアルイベントやライブの時には中の人が出てくる。その意味ではVTuberともまた違う活動形態ですし、今までにいなかったんじゃないかなと思って。バーチャルもリアルも、その両方を無理なく両立させている世界観が斬新で、きっと興味を持ってくれる人は多いんじゃないかなと思います。

――そのコンセプトを聞いた時、音楽面での見せ方やイメージは膨らみましたか?

JUVENILE:「これは自分が一番得意な音楽を活かせるな」と思いました。僕は以前、OOPARTZという2人組ユニットをやっていて、僕が曲を作ってストリートダンサーの相方(RYUICHI)が歌って踊る活動をしていたのですが、その時にやっていたのが近未来感のあるエレクトロだったんです。当時参考にしていたのはDaft Punkやその周辺の音楽。ポップスがEDM全盛の時期だったので、相方のダンスが映えるようなエレクトロサウンドを作っていました。今は活動休止中で、やれることはやり切ったと思っていたのですが、それから5年くらい経って「もう一回できることがあるかも」と思っていた時に、Restriaのお話をいただいて。世界観が僕の得意なジャンルと合致したので、いろんなカードを出すことができるなと思いましたね。

Restria – Teaser

――“リアル×バーチャル”の世界観に紐づく形で、音楽の方向性も定まっていったと。

JUVENILE:そうですね。あえて言葉にするなら電脳世界っぽい雰囲気で、日の光が当たらない夜のイメージ。アートワークにするなら、ダークな紫や青紫、黒。『トロン』や『ブレードランナー』『レディ・プレイヤー1』のようなイメージですね。

――これまでのサウンドプロデュースの経験を活かせると思ったポイント、あるいは新しい挑戦はありますか?

JUVENILE:普段の楽曲提供は大体1曲単位で終わるわけですが、Restriaは今後も僕が一貫してサウンドプロデュースしていくので、もちろん1曲1曲は大事にしつつ、その先も想定した曲作りを出来るのが大きな違いです。提供のお仕事の場合、「次があるかわからないからこの1曲に全部を詰め込みたい」となりがちなんですよね。逆に今回は、プロデューサーから「この世界観も入れたい」と提案があった時に、「今回はここまで伝えて、その部分は次回以降の曲で伝えましょう」といったように、今後の展開も見通して制作する考え方ができています。

――具体的に楽曲制作を進めるにあたって、それらのビジョンをどのように落とし込んでいきましたか?

JUVENILE:まずは世界観が面白いので、それをしっかり伝えていければと考えています。キャラクターの背景や細かい設定を1曲に詰め込むのは無理ですし、最初の1曲で世界観のすべてを伝えることも当然できない。じゃあ「一発目に何を伝えたらいいか?」と考えた時に、先ほどお話した「色で表すなら青紫」くらいの、パッと見て世界観がわかるような音楽にしたいと思いました。それで最初に作ったのが1stシングルの「META VERSE LOVE.」になります。世界観を象徴するワンワードを前面に押し出すと同時に、音楽で全体的な雰囲気を伝える曲。まずはそういった名刺代わりの楽曲を提示して、さらに詳しい部分や深い魅力は今後順序だって出していければと思っています。

――サウンドプロデューサーの視点から見た、メンバーの特徴や魅力についてもお聞かせください。

JUVENILE:まず、3人ともすごく頑張り屋です。僕としては、その人ができる限界を少し上回るものを求めたくて、100点ではなく105点、110点でもいいから、曲を出すたびに今までできなかったことができるようになってほしい。Restriaのプロジェクトではプリプロダクションをしっかりと行って、事前に仮歌を録り、そこで細かく「ここはこう歌ってほしい」と伝えています。つまり本番のRecまでに課題を与えるのですが、3人とも、その課題をクリアするためにちゃんと努力してきたことが歌から伝わってくる。もちろん結果として素晴らしい時もあれば、まだまだと感じることもあるのですが、僕は「頑張ってきたこと」が大切だと思うので、そうやって成長してもらえたらと考えています。

JUVENILE(撮影=池村隆司)

――3人それぞれの歌声の個性については、どのように感じていますか?

JUVENILE:まず、現時点で歌唱面を一番リードできるのはLUNAさん。なので歌割り的にも一番ハードな箇所、音程の取り方が難しかったり早口で歌わなくてはいけないパートは彼女に割り振ることが多いです。LUNAさんが道しるべを作ってくれるおかげで、残りの2人はそこについていくことができる。ただ、リズム感はいいのですが、音の伸ばし方が安定しないところがあるので、プリプロでは(歌声の)波形を見せながら説明して、それをレコーディングまでに直してもらうことがあります。

 LIXIさんは、音程は安定しているのですが、声にパワーというか圧力が足りなくて、力強く表現しようとすると声が裏返ってしまったり、まだ自分の声をコントロールできていないところがあります。ただ、強く声を出すのは苦手な反面、繊細な表現は得意なので、バックの音が少なめで声の繊細さを活かせるパート、たとえばAメロの歌い出しやラスサビ前の落とす展開の歌を担ってもらうことが多いです。

 逆にNIJIさんは、タイミングが怪しい時もありますが、幅広い音域を安定して出すことができて、音の伸ばし方が曖昧だったり、音程が下がってしまうこともあまりない。なのでLUNAさんとLIXIさんの間を補うような形で全体のバランスを取ってもらっています。

――各々の個性に合わせて歌割りなども考えているわけですね。

JUVENILE:とはいえ、今のは現段階の話であって、今後その役割がずっと続かなくてもいいと思っています。だんだん慣れてきてコツを掴むこともあれば、成長曲線も人それぞれで違うと思うので、誰かがガーンと伸びて役割が変わってもいいし、曲単位で入れ替えるのも面白いかもしれない。そうやって長期的に見ていけるのが、一番面白いなと感じるところですね。みんな伸びしろしかないので。

――Restriaの今後の可能性についてはどのように感じていますか?

JUVENILE:ここまでお話ししてなかったことで言うと、楽曲を日本語版と中国語版の両方で制作しているのは大きなことで、今後の広がりとして面白いことができるんじゃないかと感じています。もちろん他にも両方の言語で制作している楽曲はありますが、最初から両方作ることが前提で動いているプロジェクトはあまりないと思うので、ロールモデルがない難しさを感じるぶん、パイオニアになれる可能性もあるのではないかなと。

――しかも中国語の歌詞は、中国出身のメンバーであるLIXIさんも訳詞に携わっているそうですね。

JUVENILE:そうなんですよ。メンバーの中に中国語ができる子がいるのはすごくいいなと思います。中国語がネイティブの人が聴いても「いいな」と思ってもらえるクオリティを目指しているので、ただ日本語の歌詞を直訳するのではなく、多少歌詞の意味や言い回しが変わったとしても、よりかっこいいものにしたいですし、レコーディングの時に発音チェックとかをお願いすることができるので(笑)。僕から一方的に指示するだけでなく、相互のクリエイティブがあったほうが、より良いものを作れると思うんですよね。

――確かに。そういうやり取りがあったほうが、アーティストとしての責任感や自律心にも繋がるでしょうし。

JUVENILE:それは持っていてほしいですね。僕は最終ジャッジを本人にさせることが多いんです。たとえば、レコーディングで何度か歌ってもらった後、本人に「どう?」と必ず聞く。そこで「もう一回歌いたい」と言われたら絶対に歌ってもらいます。最後は自分で「これでいきたいです」と判断させる。彼女たちのようなガールズユニットの場合、なかなかそこまでセルフジャッジする機会は少ないかもしれませんが、僕は彼女たちに、自分で判断できる感覚を持ってほしい。自分のことは自分で決めて責任を持てば、その先の行動も変わってくると思うので、そういうアーティストに育ってもらえればと思います。

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