中島健人にとってアイドルは運命であり、宿命だった ファンへの愛と人間味が生み出すエンターテインメントの極地
中島健人というアーティストは、破格の「アイドル力」を持つエンターテイナーだ。もはや出力過多と思えるほどのアイドル力だが、そんなところも含めてU:nity(中島健人のファンネーム)が愛していることもわかる。そもそも、中島はソロキャリアの初期ではアーティスト路線になるのかと思われたが、改めて「アイドル」へと振り切ってから、さらなる人気を獲得した。中島は、作詞作曲も手がける、れっきとしたシンガーソングライターだ。そんな彼が、より自身を表現しようとする流れのなかで、アイドルとしての自分と向き合い、強烈な魅力を誇るソロアイドル「中島健人」が生まれたのだろう。
2026年2月から『"IDOL1ST 中島健人" LIVE TOUR 2026』を開催している中島。2月にリリースした2ndアルバム『IDOL1ST』を携えての全10都市27公演にわたる全国ツアーだ。総動員数は78,500人に及ぶ。その東京公演が7月25日、26日に東京ガーデンシアターで開催された。ここでは26日の昼公演の模様をレポートする。
開演2分前からU:nityが「健人」コールを開始。そしてオープニング映像は、約3000年前の「IDOL1ST KENTY」の古代遺跡が発見されるというもの。そう、今回は「3000年前の前世でも中島健人がアイドルだったら……」というコンセプトなのだ。ファンが映像の石碑に向けてライトスティックを振ったり、コールをしたりしていると、中島が覚醒。仮面をつけ、古代をイメージした衣装を着た中島が登場すると、会場に大歓声が響いた。
ライブは、エレクトロにして激しいビートが響く「SOL1ST」でスタート。ダンサーたちも華を添える。ジャジーなテイストもある「IDOLIC」では、ダンサー2人を従えて、ソリッドなダンスを見せ、レーザーも会場を飛び交った。中島が肩を出すと、U:nityの悲鳴に近い大歓声が会場に響き渡る。「MONTAGE」では6人のダンサーとともに、マイクスタンドも扱いながらステージを展開。
MCでは、「本気で人生を賭けて立ってます、本気で俺の愛情を受け止めてくれるの?」「今が人生のクライマックスだ!」と呼びかけ、U:nityとコールアンドレスポンスを展開。「ここが日本の中心だ!」と宣言して、3000年前から中島がアイドルだったというコンセプトを紹介。「あくまでも3000年という設定だから」とときに笑わせつつも、「ただじゃ帰れないぜ?」とU:nityに呼びかけた。
アカペラで幕を開けたのは、中島が作詞作曲した「Celeste」。しなやかにして優しさを感じさせる見事な歌声だ。中島はステージ左右の端まで歩いていき、U:nityに歌声を届け、澄んだファルセットとともに締めくくった。ソウルフルなダンスチューンの「Can't Stop」では、4人のダンサーと激しいダンスを披露しながら、驚くほど安定したボーカルを聴かせる。
そして、ステージのスクリーンには、イチゴに扮した中島が登場。アイドルはやっぱりイチゴなのだ。一方で、カフェでの中島とのデート映像も連動して流され、「君は僕のSweet Teaだ」というセリフも。そして、中島が作詞作曲したミディアムナンバーの「My Sweet Tea」へ。その冒頭の中島は、映像と同じくテーブルの椅子に座っており、映像から飛び出したかのような趣向だった。そして、赤くきらめく衣装を着て、女性ダンサー2人と甘い世界を生み出していく。
強くエレクトロなビートの響く「LIGHTNING」では、U:nityとともにゲームをしながら歌うという演出もあり、会場の一体感を高めた。Sexy Zone時代から歌われてきた「カレカノ!!(ver2.0)」では、8人のダンサーが踊るなか、U:nityのコールも響き、幸福感に満ちた空間を生み出した。「SHE IS...LOVE(ver2.0)」もSexy Zone時代から歌われてきた、中島が作詞作曲した楽曲だ。中島はステージ脇からトロッコに乗り、アリーナを走ったが、東京ガーデンシアターでトロッコが走るのは見たことがなかった。しかも、指ハートも投げる中島を見つめるU:nityの目の輝きに照らされることで、中島のアイドルぶりがいっそう輝きを放つ。
中島が作詞作曲した「最初はキュン!」は、音楽的にはソウルミュージックの要素が濃く、さらに〈最初はキュン!〉から始まる歌詞も含めて、中島の破格のアイドル力を体感させる一曲だ。気がつけば、U:nityの歓声もさらに熱を帯びている。
MCでは、「俺のこと愛してますか!」とファンに呼びかけ、「すごい歓声、痛み入るぜ」「最初で最後のキュンは俺だけだぜ」「熱中症に気をつけてね、太陽じゃなくて俺に、でも俺がすぐ救ってあげるからね」などのパンチラインを次々と繰り出した。そして、突然公開記者会見を行うと宣言。主演映画『ラブ≠コメディ』などの告知映像が流れる間に準備が行われ、照明がつくと囲み取材が始まった。ステージには取材陣と司会者がおり、U:nityが「若君!」と叫ぶと、和装姿で中島が登場。中島は、セットの階段でポーズを決めていき、報道陣がフォトセッションをするなか、U:nityの歓声が響くという、他では見たことがない状況が発生。U:nityが見守るなか、ステージ上でレポーターと質疑応答をするというのも前代未聞だ。いわば、中島のアイドルぶりに、U:nityも報道陣も飲み込まれていたのだ。そして、中島はU:nityを東京ドームに連れていくと明言した。アジアツアーについても「僕が地球を回したいなと思います」と、パンチラインがまだまだ途切れない状態となった。
和装姿はあくまでスチール用だとレポーターに回答したものの、U:nityに「若君に会いたいの?」と呼びかけると、しっかり和装姿に着替えたダンサー4人が登場。テレビアニメ『逃げ上手の若君』第二期オープニングテーマである「鬼事」が歌われた。楽曲の持つ和のテイストも「鬼事」を魅力的なものにしていた。
そしてステージ袖から、古代衣装のダンサーが何かを運んできた。蓋を開けると、中にあったのは、大きな赤いハート型のチョコレート。小さなハンマーで叩く趣向だが、前日はチョコレートが粉々に砕けてしまったという。そしてこの日は……真っ二つに割れてしまった。中から出てきた小さなハート型のチョコレートを中島が食べても何も起きなかったが、続いてダンサーが食べると、深遠な音楽が流れた。もう一度中島が食べると、今度は深遠な音楽が流れ、中島はU:nityに感謝。さらに、「俺は日本の歴史のどこにいてもアイドルだったと思う」「いつの時代に生まれても俺たちは出会えていたと思う」と語った。すると、ステージに流されだした映像には、アイドルではない世界線の中島が。ホスト、寿司職人、カメラマン、体操のお兄さんの中島が登場したが、すべてアイドルにスカウトされてしまう。つまり、中島にとってアイドルは運命、宿命だと描かれるのだ。
その映像が終わると、ピアノの調べとともに「Waraigusa」へ。キタニタツヤの提供曲だ。セットの2階に立つ中島からは、巨大な翼が広がった。中島が着用しているのは、きらめく黒の衣装だ。ダンサーたちも黒の衣装となっており、「Gods' Play feat.Naomi Watanabe」へ。スクリーンには渡辺直美の姿も映し出された。
そして、中島がMONJOEと共作した「XTC」へ。少年隊の「仮面舞踏会」もサンプリングされており、「Gods' Play feat.Naomi Watanabe」から「XTC」にかけては、この日のライブでもっともヒップホップ色が濃いコーナーだった。ダンサーたちのソロが「XTC」で披露されたのも必然である。
MCで中島は「俺のエクスタシー、感じた?」とU:nityに呼びかけた。さらに「中島健人としての人生も極端なんだけど、そっちのほうが面白くない?」「俺に心臓を揺らされてるんだろ? ドキドキしてるんだろ?」「俺がおまえをお姫様抱っこしないといけないんだから」とパンチラインを繰り出し続け、東京ドームについて「そう待たせやしないぜ」と宣言しつつも、「場所がどこでも俺は俺、U:nityはU:nity」と感謝した。さらに、学生時代から曲作りしてきたことに触れ、音符の先にはU:nityがいたと語り、中島とU:nityが一緒に歌う練習をしてから「Uni:verse」へ。U:nityへ届けるかのようにステージの左右の端まで歩き、中島の想いに応えるかのようにU:nityの大合唱が会場に満ちた。
本編は終わったが、U:nityの「健人」コールを受けて、中島はセットの2階の床から上昇して登場。アンコールは「JUST KENTY☆」とともに始まった。中島が着るスカイブルーの衣装は眩しいほどだ。
MCでは、「まだ俺と一緒にキラキラしたい感じ? ライトスティック、振って教えてよ? ……どの宝石より眩しいです」とU:nityを見渡した。そして、Sexy Zone時代からの「CANDY 〜Can U be my BABY〜 (remix)」へ。ライトスティックを手に踊る中島に、U:nityの大きなコールが捧げられた。
中島は、ダンサーのN's performerの8人とスタッフを紹介すると、紙吹雪が噴射されるなか、セットの2階から降下して去っていった。
終演アナウンスが流れてもU:nityは「ピカレスク」を大合唱。すると、Tシャツ姿の中島が再々登場し、その合唱に加わった。U:nityに感謝し、ハートマークを作り、おどけた顔も見せながら、ファンにシンガロングを促して、TEAM JAPANミラノ・コルティナ2026公式応援ソングの「結唱」へと続けた。歌う前に中島は、「結唱」は日本代表を応援する楽曲だったが、自分とU:nityを応援する曲に変化したと語った。「結唱」は、ボーカリストとしての中島の魅力がもっとも発揮される音域を駆使している一曲だ。「結唱」を歌い終えると、「愛してるよ」と伝えて中島はステージを去った。
今年、中島の取材の場に立ち会う機会があったが、彼の頭の回転の速さに圧倒されたものだ。その中島が、アイドルという天職を見つめ直したから生まれたのが、この『"IDOL1ST 中島健人" LIVE TOUR 2026』なのだろう。楽曲で攻めることも可能なのに、あえてMCや企画コーナーを多めにしていることにも、U:nityとのコミュニケーションを重視する姿勢を感じた。何より、軽妙なトークに、私も仕事を忘れて幾度となく笑ってしまった。中島ならではの音楽と人間味が生み出すエンターテインメントがたしかにあったのだ。
中島は東京ドーム公演を目標に掲げている。「そう待たせやしないぜ」という言葉どおり、中島が東京ドームに立つ日が訪れることを強く願った。『"IDOL1ST 中島健人" LIVE TOUR 2026』によって、私は完全に中島に魅了されてしまったのだ。