BUCK∞TICK 星野英彦の60歳を祝福した特別なステージ 「ヒデが還暦だってよ、あっちゃん!」――重なり合った“5人”の想い

BUCK∞TICK 星野英彦の還暦祝福ライブレポ

 BUCK∞TICKが6月16日、『Ruby Horizon 60』と題して星野英彦の60才を祝うライブを行った。会場となったSGCホール有明の入り口にはファン有志からの赤い花が並んで来客を迎え、頭上のパネルには「Ruby Horizon 60」の文字が踊る。1回限りのライブなだけに通常とは違った高揚感が会場内に漂っていた。

 オープニングSEに続き、真紅の緞帳で飾られたステージに現れたメンバーはシックなコスチュームながら、星野は鮮やかな真紅のブラウスを着用。その姿にファンがどよめいた。すると聴き慣れたギターフレーズが鳴り響き大きな歓声が起こった。オープニングナンバーは「スピード」。今井寿が歌詞の通りに人差し指を頭に突き立て歌い出す。この曲は今井が書いているからレコーディング前の仮歌は彼が歌っていたはずだ。歌詞はその後に櫻井敦司が書いたにしても、どんな風に今井は歌っていたのだろうと今更ながら想像したくなる。などと思っていると星野が歌を受け継ぎ、今井はステージ前方で腕をなびかせるオーディエンスにアピールしている。タイトル通りスピード感のある曲が一気に場内を熱くさせた流れに乗って、最新シングル曲「渋谷ハリアッパ!」が続いた。

BUCK∞TICK ライブ写真
星野英彦

 今井が「Ruby Horizon! Celebration!」と煽って繋いだ次の曲で意表を突かれた。星野が歌う「CREAM SODA」だ。この曲は星野が『天使のリボルバー』(2007年)に書いた曲だから彼が歌うのもよくわかるが、まさか3曲目にこれがくるとは! ビートに合わせて体を揺らしながら軽い調子で〈ねえねえ 君って〉と歌う様子はサマになっていて、ボーカリスト 星野英彦の新たな一面を見た思い。星野の還暦を祝うライブなのだから彼の曲が多くなるだろうことは予想していたが、星野が書いた代表曲といえば「ドレス」「JUPITER」といった優しいバラードや、「MONSTER」「さよならシェルター」などの疾走感やスケール感のある曲。このライブは彼の多様な作家性を紐解くものでもあるようだと気づいた。

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今井寿

 樋口豊がベースから手を離してハンドクラップを促した「夢遊猫 SLEEP WALK」、そう思っていると「スブロサ SUBROSA」「From Now On」「雷神 風神 - レゾナンス #rising」と最新作『スブロサ SUBROSA』の曲が続いた。その間に入った、今井と星野の掛け合いで進む「DADA DISCO – G J T H B K H T D -」は今のBUCK∞TICKで定番になってもいい曲だろう。「From Now On」は、現体制になって最初に詞曲ともに星野が手がけた曲。緊張感のあるアレンジが空気を引き締めた。中盤のハイライトは、シングル『21st Cherry Boy』のカップリングで星野作曲の「薔薇色の日々」。「SANE」は『COSMOS』収録曲だったが、のちにシングル『エリーゼのために』のカップリング用にリメイクされて「SANE -typeII-」となった曲だ。ここでの演奏は少しばかり後者を連想させるものでもあった。

BUCK∞TICK ライブ写真
樋口豊

 新体制でのBUCK∞TICKのライブはステージ中央に今井と星野が使うシンセが向き合う形でセットされ、2人がそれに向かって演奏する曲が多くあるのだが、この日はほとんどシンセに触ることがなかった。それよりもギターを持ったままステージを左右に動き回り、オーディエンスとの応酬を楽しんでいるようだった。考えてみれば星野にとってもメンバーにとっても、もちろんオーディエンスにとってもこれは一生に一度の貴重な時間なのだ。今井が何度も「楽しもうぜ!」と呼びかけていたのも当然だろう。「人生には優先順位があって……冥王星で死ぬのは何番目?」と曲のタイトルに無理矢理つなげた「冥王星で死ね」では2人の掛け合いでソリッドに盛り上げ、「THE FALLING DOWN」ではパワフルにバンドの存在感を示した。それから「ガブリエルのラッパ」へと続き、本編最後を飾った「BOY septem peccata mortalia」がオーディエンスの体と心を揺らした。7つの大罪をあげながら〈I Wanna be your Boy〉と叫ぶ欲望の吐露は人間の性を歌ったものであり、櫻井が築いてきたバンドの大切な一面でもある。ここまでの2時間近くオーディエンスの腕がずっとステージに向けてあげられていたことに気づいて、その熱量に改めて感服した。

BUCK∞TICK ライブ写真
ヤガミ・トール

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