BUCK∞TICK 星野英彦の60歳を祝福した特別なステージ 「ヒデが還暦だってよ、あっちゃん!」――重なり合った“5人”の想い

BUCK∞TICK 星野英彦の還暦祝福ライブレポ

 もちろんここで終わりではない。ヤガミ・トールのドラムソロで始まったアンコールで、星野は赤いサテンのスーツで登場し、ランウェイを歩いているようにポーズを決めてオーディエンスを喜ばせた。そして「今日はありがとう」と謝辞を述べ「年齢に関係なく新しいことに挑戦して」と自分にも皆にも向けた言葉をかけた後で始めた曲は、彼のソロユニット dropzの「I spy」。2007年に発表した『SWEET OBLIVION』ではボーカルがケリー・アリだったから、ステージで星野自身が歌うのはこれが初だろう。続いた「ミウ」は、やはり星野の曲で1999年にシングルとしてリリースされたがオリジナルアルバムに収録されなかった。しかし星野の面目躍如と言っていい美しいバラードはファンの間で人気が高く、この時もオーディエンスはしばし腕を下ろして聴き入っていた。そして一転してダンサブルな「ダンス天国」が続いてオーディエンスが湧く、星野ワールドが凝縮されて花開いた1stアンコールだった。

BUCK∞TICK ライブ写真

 2ndアンコールでは還暦お約束の赤い帽子にちゃんちゃんこ、「60」の形のメガネ着用で星野は登場。「これが見たかったんでしょ」と照れていたが、「一緒にやりたかった」とスペシャルゲストのLUNA SEA・Jを呼び込むと、彼から60本の赤いバラの花束が贈られた。そして昨年11月の『LUNATIC FEST. 2025』でも共演した「TIKI TIKI BOOM」で星野、今井、Jが入り乱れての大騒ぎに。そのまま「ICONOCLASM」へとなだれ込みオーディエンスを興奮のるつぼに叩き込んだ。「暑い」と言ってレザージャケットを脱ぐほど暴れたJがステージを降りると、今井がステージ前方のモニターに足を乗せてブーツに手を触れながら「ヒデが還暦だってよ、あっちゃん!」と呼びかけた。今井が履いていたブーツは形見分けでもらった櫻井のもので、この日初めてステージで着用したそうだ。5人でこの記念すべきステージに立っている、という思いだったのだろう。

BUCK∞TICK ライブ写真
LUNA SEA・J

 そして、この日のラスト「Baby, I want you.」へ。別れを惜しみ刹那の喜びを求めるこの曲で締めるとは心憎いばかりである。振り返れば「Celebration!」と今井が言った通り、楽しい祝いとなるようなセットリストだった。星野自身が考えたそうだが、彼らしい軽やかさと柔軟さ、優しさを感じさせもする構成だ。メンバーが降りた後のステージにはバースデーケーキの映像が映され、5分間の撮影タイムが許された。一生に一度の記念すべき日をメンバーやオーディエンスとともに過ごせたこのライブを終えて、星野はとても満足そうだった。

BUCK∞TICK ライブ写真

櫻井敦司:神がかった歌声に秘められた“陰影の美学”、アンビバレントな魅力 「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」Vol.10

音楽ライター 今井智子氏による連載「今井智子 ロックスターと過ごした記憶」。約50年にわたるキャリアの中で、数々の日本のロックス…

BUCK∞TICK、原点回帰とともに深めた“新体制への自信” 『渋谷ハリアッパ!』クロスレビュー

BUCK∞TICKが新体制初シングル『雷神 風神 - レゾナンス』から1年を待たずして、次なるシングル『渋谷ハリアッパ!』を10…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる