GALNERYUSが到達したヘヴィメタルの新たな地平 中国・中南米ツアーの成功、『A CRY FROM THE SKY ABOVE』を語り尽くす

GALNERYUS、ヘヴィメタルの新たな地平

 日本での活動に加え、アジアや中南米でもライブを展開し、グローバルに活躍の場を広げているGALNERYUS。そんな彼らが、約2年ぶりに新アルバム『A CRY FROM THE SKY ABOVE』をリリースした。全9曲というラインナップながら、収録分数は60分越えというボリューム感を誇る同作では、混沌とした時代と向き合いながらも、未来へ向けて力強く進むバンドの意志が高らかに歌われている。リアルサウンドでは、SYU(Gt)とMasatoshi “SHO” Ono(Vo)の2名にインタビュー。『A CRY FROM THE SKY ABOVE』の制作エピソードのほか、近年行っている海外活動の手応え、常に新しい表現を追求するGALNERYUSの現在について話を聞いた。(編集部)

「自分たちどこのスターですか?」ーー中国・中南米で起きた怒号のような歓声

GALNERYUS

ーー前作『THE STARS WILL LIGHT THE WAY』はコロナ禍から明けたこともあり、「明るく輝かしい未来へ向けて進もう」というようなポジティブさに満ち溢れた作品でしたが、続く2年ぶりの新作『A CRY FROM THE SKY ABOVE』ではどういう内容にしようと考えましたか?

SYU:最近は中国とかチリとかメキシコとか、海外でもいろいろライブをさせていただいたので、そこで得た経験をうまく作品に落とし込めたらなと思っていました。音楽性的には前作から特に大きな変化はないんですけど、個人的には作曲面でより研ぎ澄ませることができた部分があったりして、そういったところでは成長を出せたアルバムじゃないかなと思っています。

ーーおっしゃるように、昨年末から今年にかけて海外公演が続きましたが、アジア圏と南米とではまたお客さんの反応も違ったのではないでしょうか。

SYU:本当にそのとおりで。中国ももちろんそうだったんですけど、特にチリとメキシコでは「え、自分たちどこのスターですか? 僕で合ってますか?」みたいな歓声だったので、ちょっとびっくりしました。今でもよく覚えていますが、チリでは結構大きなハコでライブをしたんですけど、2階席までパンパンに埋まっていて。しかも、メンバーがひとりずつステージに出ていくと怒号のような歓声が湧いてきたので、「こんなにも自分たちのことを待っていてくれていたんだ」と改めて衝撃を受けました。

 特に、Onoさんや我々は『HUNTER×HUNTER』のテーマソングを担当している(Onoは小野正利名義でオープニングテーマ「departure!」、GALNERYUSはエンディングテーマ「HUNTING FOR YOUR DREAM」を担当)ので、そういうジャパニーズ・アニメーションの恩恵が入り口として非常に大きいと思いますし、そこから「ANGEL OF SALVATION」や「RAISE MY SWORD」「DESTINY」あたりを聴いてより深く好きになってもらえたのかなと、今回の海外公演を通じて強く実感しました。

Masatoshi “SHO” Ono(以下、Ono):僕はフロントマンなので、本来なら僕が現地の言葉を使ってお客さんとコミュニケーションを取らなくちゃいけないのですが、どの国に行っても日本語がわかるお客さんが一定数いて。そのおかげで、日本語で話しても意外と理解してもらえることが多くて、非常に助けられました。それこそメキシコなんて、最前列に日本語が結構わかる人がいたので、通訳してもらいましたしね(笑)。 

ーー前作のインタビューで、コロナ禍真っ只中に制作されたスペシャルアルバム2作(『UNION GIVES STRENGTH』『BETWEEN DREAD AND VALOR』)は当時の苦しい記憶もそのままパッケージし、コロナが明けてから届ける『THE STARS WILL LIGHT THE WAY』では困難を乗り越えて明るい未来を作っていくポジティブさを表現したと、皆さんはおっしゃっていました。そこを踏まえて今作を聴くと、曲調や歌詞からは『THE STARS WILL LIGHT THE WAY』で表現していたことからさらに一歩踏み込んで、混沌とした現代の世相やそこで生きる我々の抱える闇の部分も描かれていて、そこから抜け出そうとする力強さが伝わってきました。

SYU:そこまで細かく聴いてくださって、ありがとうございます。僕が書いた歌詞に関しては、命の大切さを大きなテーマにしつつも、あとは聴いてくださった方ができるだけいろんな受け取り方ができるよう、あえて抽象的な書き方をしているところがあって。なので、そういう捉え方をしていただくのは、本当に嬉しい限りですね。できるだけその曲が持つ性格を具体的に表現しなくちゃいけないと思っているので、歌詞に関して近年はより重要なものだと考えるようになっていて。ただ言葉を書き連ねていくというよりは、それまでに学んで自分のモノにした語句を応用して、聴いた人がその言葉の1つひとつから情景を思い浮かべられる表現を意識しています。それこそパッと見て「これ、どういうことについて書いているんだろう?」と思うような歌詞って、より興味を惹かれることが多いじゃないですか。で、それをOnoさんが歌うことでより歌詞の世界が広がっていく。そこもこのバンドの面白いところじゃないかなと思っています。

ーーOnoさんはSYUさんから歌詞を受け取って、作品を経て変化した部分や、逆に変わらず一貫している部分などいろいろ感じることもあるのかなと思いますが。

Ono:例えば、SYUくんはリアルに今感じていることをそのままストレートに書くことに関してはずっと一貫しているので、「前回はこうだったけど、今はこうなんだ」って意味では変化している。ただ、それが英語であっても日本語であっても、メロディにすごくハマりのいい言葉が並んでいるので、常に気持ちよく歌うことができるんです。

SYU:でも、今回は1カ所だけ大変なところがありましたよね。大体、(キーの)高い部分で「お〜」とか「あ〜」とか歌い上げやすい言葉を選んでいるんですけど、今回は語尾を「ん〜」って伸ばす部分があって。あれは大変そうでしたけど。

Ono:そこはテクニックで乗り越えました(笑)。一方で、自分が書く歌詞に関しては……ちょっとカッコつけるわけじゃないですけど、少し時間が経って客観視すると、どこか他人事のように感じるんですよね。それは、僕がリアルに生々しく書きすぎると、どうも独りよがりになってしまうような気がしていて。でも、SYUくんはそこのリアルさをうまく落とし込める人なので、それぞれの違いをうまく出せているのかなと思います。

ーーなるほど。今作を聴く前、まずトラックリストに目を通したときに「今回は9曲なのか。意外とコンパクトなのかな?」と思ったのですが、実際には安定の60分オーバー。平均して1曲7分前後と長尺ながらも、聴いてみるとイントロからメロディ、ギターソロ、エンディングまで無駄のない構成になっている。その曲に必要な要素だけを詰め込んだ結果、この長さになるんだと改めて実感させられました。

Ono:本当にそうだと思います。僕はGALNERYUS加入前にひとりのリスナーとして聴いていたときから、それをうっすらと感じていましたし、メンバーになってからは「すべてに必然性があって、その結果10分を超えることもあるんだ」とより実感しましたからね。

SYU:すべてはその曲が求めていることを表現していった結果なわけで。長ければ長いほど途中で中弛みしてしまうこともあるかもしれないけど、自分の中ではそういう箇所がひとつもないようにすることはとても重要ですし、ちょっとでも自分の中で「ん?」と思う瞬間があったらその都度修正して、何度も何度も聴き返して整えていく。ちょっと気の遠くなる作業ですけど、その結果がおっしゃっていただいたような「その曲に必要な要素だけを詰め込んだ、無駄のない構成」につながっているわけです。

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