GALNERYUSが到達したヘヴィメタルの新たな地平 中国・中南米ツアーの成功、『A CRY FROM THE SKY ABOVE』を語り尽くす

ポイントは“みんなで歌うってこと”ーー海外オーディエンスも意識した曲作り
ーーそういう長尺な楽曲が並ぶアルバムを、どれだけ緊張感を持って最後まで聴かせるか、どれだけ没入感の強い構成にするかも重要なポイントかと思います。特にGALNERYUSは現在まで10数枚のアルバムを制作してきましたが、そこにおいてマンネリ化を感じさせないところもすごいなと思います。もちろんGALNERYUSらしいフレーズやメロディというベースになるものは常にあるものの、毎回新鮮さが伝わる要素も用意されているんですよ。
SYU:僕は日常の中で新しいメロディを思いつくと、常々携帯のボイスメモに吹き込むことを続けていて。で、アルバム制作に入るとそれを活用するわけですが、作品を重ねれば重ねるほど「これ、ええな!」と思うメロディって過去に使っているものだったりするんです(笑)。その中で、まだ一度も使っていない「これ!」というものを掘り起こすのは、なかなか大変な作業ですよ。僕は自分ならではの個性って、9thコードを効果的に使ったメロディ運びだと思っているんですけど、そこにスポットを当てるとどうしても似通った部分が出てきてしまう。自分の好みだからこそ、過去の曲と同じメロディ運びになってしまうこともあるし、それに気づかないことすらあるんです。今作でもそれが理由でボツになった曲があるんですけど、リード曲の「THE LIGHT OF HOPE」に関しては数々の障壁を乗り越えて残ったメロディなわけです。
ーー「THE LIGHT OF HOPE」ですが、9分近くの大作ながらも長さをまったく感じさせない、爽快感の強い1曲です。
SYU:8分を超えるメロスピ(メロディック・スピードメタル)の楽曲って、下手するとドラマーにとって地獄になり得るんですけど、「LEAならできるだろう」と信じていろいろ作り込んでしまって(笑)。ラストのコーラスパートなんて、ずっとドコドコとツーバスを踏みっぱなしですけど、覚悟して叩き切ってくれましたし。でも、彼のドラムがこの曲をグイグイと引っ張ってくれているからこそ、時間を感じさせないほど最後まで楽しめる仕上がりになったのかなと思います。
この曲はイントロがあってAメロ〜Bメロ〜サビと続いて、またイントロに戻って2番に入り、そこから展開があってソロ回しがあって、最後にまたサビに戻っていくという、自分の中の定型文といいますか。毎回こういう構成の楽曲が必ずひとつはあるんですけど、そこは「これがGALNERYUSらしさだ」と必然的に生まれるものなのかなと。そんな中で、今回のはソロのあとにBメロに戻るというよくある形とは違って、サビのメロディを少し変形させてしっとりと歌ってもらう形を採るという新鮮さも用意されている。この曲、デモの段階では「キラキラメタル」という仮タイトルだったんですよ(笑)。キラキラした音がサビに入っているんですけど、「未来は明るいんだぞ」的な雰囲気を醸し出す上でこの音がかなり重要な要素なわけで。そこに終盤、泣きの要素が加わるわけですが、実は同じキラキラしたサビメロを使っているんですね。そういう変化を付けることで、8分超の曲の中でドラマを作っていくわけです。



ーーそこにラストのコーラスパートが加わることで、よりドラマチックさが際立つと。
SYU:このアルバムにおいて、特にみんなで歌うってことは大きなポイントなのかなと思っていて。そこは制作の直前に経験した、海外公演の影響が絶対にあると思います。英語で歌うっていうところも、まさにその影響ですよね。南米では「ANGEL OF SALVATION」とかで大合唱が起こったんですが、そういう場面で「このバンドは歌が主役なんだ」と再認識できましたし、その側面を強く打ち出したのがこのパートなのかなと。もちろん、日本のファン含めいろんな国籍の方がGALNERYUSを聴いていると思うので、できるだけ簡単な単語を並べることを意識しました。
ーーことヘヴィメタルというジャンルにおいては、各プレイヤーのテクニカルな部分にスポットが当たりがちですが、そんな中でGALNERYUSにはOnoさんという、『NHK紅白歌合戦』への出場経験を持つ不世出のシンガーが存在するわけですから、「歌が主役」という認識は非常に合点がいきます。Onoさん、この「THE LIGHT OF HOPE」とはどのように向き合いましたか?
Ono:この曲に限らず、常に丁寧に歌うことを一番に心がけていて。特にここ最近は、歌詞の内容をしっかり理解した上で歌唱したいと意識しているので、そういう気持ちの込め方に関してはより深まっているんじゃないかと思います。加えて、終盤のコーラスパートみたいに「ここは一緒に歌って楽しんでね」と提供している部分もあるので、そこではお客さんと一緒に歌っている場面をイメージしながらレコーディングに臨みました。
ーーそこからアルバムは「LET NO TIME DECAY」へ続くわけですが、低音が強調されたブルータルな1曲ですね。
SYU:インストの「CALL OF THE HORIZON」から歌モノの「THE LIGHT OF HOPE」へと繋げる冒頭は、言うたら定番の流れじゃないですか。そういういつもの流れを壊したくて、7弦ギターを使ったスラッシーなリフで空気を変えるという。でも、サビでは「ああ、やっぱりこの感じだよね」というGALNERYUSらしいメロディが飛び込んでくる、そういう構成を意識して作った曲です。
ーー「LET NO TIME DECAY」はメロディの高低差や動きが激しくて、非常に聴き応えがあります。
SYU:僕、歌録りのときもあまりそこに気づいてなかったんですよ。というのも、Onoさんがあまりにもスッと歌うから。難しそうに歌ってなかったんですよ。
Ono:いやいや、難しいです(笑)。僕、音楽的思考がちょっと薄いのか、毎回歌ってみてから「あれ、これ難しいメロディラインだな」と気づくんですよ。ただ、高低差や動きが激しいからといって変に意識することなく、丁寧に歌を届けることに注力した結果こういう仕上がりになりました。だからなのか、レコーディングのときよりもライブに向けて練習しているときのほうが「あれ、難しいぞ」と感じることが多いんです。
SYU:Onoさんの歌い方っていうのが、そもそも自分にできることではないから、どうやってあの高い声が出ているのか意味がわかっていないし、「Onoさんなら歌えるやろ」としか思っていないんです(笑)。だから、こういう難しいメロディも変に意識することなく生まれてくるんでしょうね。
Ono:GALNERYUSに加入したときから、SYUくんの書くメロディを聴いて「GALNERYUSのボーカリストとして、これをしっかり歌うんだ」という使命感……というほど強くないかもしれないけど、そこも必然性があってできていると思うので、毎回そういう意識で向き合ってますね。



















