なぜ草彅剛は韓国で愛され続けているのか? 前人未到の挑戦――“チョ・ナンカン”として育んだ国境を越えた絆

 草彅剛がYouTubeチャンネル「ユーチューバー 草彅チャンネル」にて公開した、韓国・釜山での“初の海外ロケ動画”。そのコメント欄には、「韓国人にいちばん愛された日本の芸能人第1位」「今でもあなたのことを覚えていて、好きでいる韓国人がたくさんいます。いつも応援しています」といった言葉が、韓国の視聴者から相次いで寄せられている。

草彅が行ってみたかった韓国釜山 念願グルメ&ひとり旅。グルーヴ全快!
草彅が行ってみたかった韓国釜山 ビンテージ巡り&海鮮グルメひとり旅。

 韓国観光公社からの依頼で釜山の魅力を伝えるべく、絶品グルメに舌鼓を打ち、大好きな古着ショップを巡り、レジャースポットを満喫した草彅の様子を6月18日に前編、6月25日に後編と、2本に分けて公開された今回の動画。もちろん、街を歩く草彅自身にも声援が直接届いており、後編動画では市場を歩く草彅に「チョナン・カンですね!」と声をかける男性の姿が映し出された。すると、草彅はハイタッチをしながら「응원해 주세요」(応援してください)と返答。さらに男性が「頑張って」と返すと、草彅も「힘내봅시다」(頑張りましょう)と応じる。韓国人の男性が日本語で、日本人の草彅が韓国語で思いを返す姿に、互いへの敬意と親しみがにじむ穏やかなシーンだった。

 「すごいね、チョナン・カン」と、かつての自身の活躍を振り返り、しみじみとする草彅。「昨日もごはん食べて帰るとき、『あ、チョナン・カン! チョナン・カン!』って。男性なんだけど」と振り返る。どうやら、今回の韓国ロケでは男性から声をかけられることが多かったようだ。それは、草彅がかつて韓国で見せてきた姿が、遠い国から訪れた“日本のスター”というよりも、新たな挑戦に飛び込んだ“ひとりの男性”として、彼らの記憶に残っているからかもしれない。

 草彅が“チョナン・カン”としてバラエティ番組『チョナン・カン』(フジテレビ系)をスタートさせたのは、2001年のことだった。当時の韓国では、日本の大衆文化が段階的に開放されていたものの、日本では国民的アイドルだったSMAPといえども、韓国での知名度はまだ高くなかった。もちろん、日本から見ても韓国は、“近くて遠い国”という印象がまだ根強くあった頃だ。

 そんな状況で韓国・仁川空港にひとりで降り立ち、韓国語だけでロケを敢行。多忙なスケジュールの合間をぬって猛勉強した結果、1カ月後の韓国ロケでは日常会話をほぼマスターするという努力家な一面で、視聴者を驚かせた。

 2002年には、チョナン・カン名義でシングル『愛の唄 〜チョンマル サランヘヨ〜』をリリース。プロデュースをつんく♂が担当したこともあり、一度聴いたら耳から離れない、実にキャッチーな1曲となった。〈ケンチャナヨ ケンチャナヨ ケンチャナヨ〉というフレーズを口ずさめる人も多いのではないだろうか。同曲は韓国の音楽番組などでも披露され、多くの韓国の視聴者の記憶にも残った。

 少し濃いめのメイクでチャーミングな印象を醸し出しながら、キレのあるダンスとバク転を披露するギャップ。完璧なパフォーマンスを見せる韓国アーティストたちのなかで、「これが日本のアイドルスタイルだ」と言わんばかりに、客席の一人ひとりに目を配りながら届けた親近感のある笑顔も、大きな印象を残した。

 そんな草彅の姿を間近で見ていたのが、当時コーディネーターとしてチョナン・カンを支えた“キム先生”だ。『ななにー 地下ABEMA』#9(ABEMA)に、草彅が「会いたい人」として名前を挙げる形でゲスト出演した際には、「トップスターの草彅さんが韓国に来て、韓国語を勉強しながら番組をやるということは、とんでもない話だった」と振り返っていた。また、「スタッフは車に乗ったら寝るが、草彅さんは寝ない」「今だから言うけれど、同じ車に乗りたくなかった。次々と質問がくるから」とも。こうしたエピソードからも、草彅の勉強熱心な姿勢、そして挑戦するからにはやりきるという気概が伝わってくる。キム先生は今回の韓国ロケ動画にも登場しており、時を経ても恩人への敬意を変わらず示す草彅の姿からも、その人柄が伝わってきた。

 周りの人が自分が何者なのかを知らない場所でも、その言葉や表現が通じるという手応え。愛を持って接すれば、思いは伝わるという自信。草彅にとって韓国は、そんな原体験を得た場所なのだろう。だからこそ、初心に戻ることができ、元気をもらえる。そんな“第二の故郷”と言い切れるのではないだろうか。

 そして今、そんなチョナン・カンの顔が、6月27日に公開された新しい地図の新作映画『バナ穴 BANA_ANA』(正式表記はアンダーバーは穴の絵文字)にも登場している。およそ誕生から25年が経っても色褪せないチョナン・カンの存在感。それは、草彅が愛してやまないスーパーヴィンテージのように、歴史と時間があってこそにじみ出てくる味わいのようでもある。誰にも取って代わることのできないストーリーがあること。彼の言葉を借りるなら、そんなところがあらためて「たまらないなあ」と思うのだ。

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