草彅剛&香取慎吾、脱線も暴走も“日常”だからこそ――ラジオを通してふたりのそばにいられる幸せ

 草彅剛と香取慎吾がパーソナリティを務めるラジオ『ShinTsuyo POWER SPLASH』(bayfm/以下、『パワスプ』)5月17日放送回は、香取がヘアカットをしながらの収録という前代未聞のオンエアとなった。

 「ねえ、髪切ってる場合じゃないよ。今、髪切ってますからね、あなた!」と草彅が思わずツッコむと、「え? どういうこと(笑)?」と、とぼけてみせる香取。何かの企画というわけではない。テレビに舞台にCMにと多忙なスケジュールをこなす香取が、髪を切る時間としてひねり出したのが、ラジオ収録の時間だったのだ。

 あまりにもイレギュラーな状況に、草彅は「今、もみあげみたいなのを切ってますけど。ちゃんと美容室の髪が(服に)つかない、ほっかぶりみたいなやつやってますけど。普通の会議室ですよ、ここ!」と、リスナーのために丁寧に状況説明をしていく。すると香取は、「会議室でラジオをやってるほうがおかしい」と反論。しかも「このラジオ、アイス食べながらやったりとか」と、もともと“普通のラジオ”ではなかったのだから、とでも言わんばかりだった。
 
 香取が口にした「アイスを食べながら」というのは、毎年夏頃に行われる恒例企画「しんつよonアイス」のこと。ふたりが、ただただアイスを食べながら話す――それだけの時間をスタッフもリスナーも愛しく見守る。だが、『パワスプ』では、そんな“それだけ”の時間が成立してしまうのだ。何か大きな出来事が起きるわけではない。それでもなぜか聴いてしまう。むしろ、企画らしい企画をしない時間そのものが、この番組らしさになっている。だからこそ、ヘアカットしながらの収録も、不思議と違和感がない。むしろ「今までやっていなかったのか」と思えてくるほどだ。

 さらに面白いのは、草彅がその状況を自然に受け入れていくところ。「髪の毛切ってるのはいいんだけど」と前置きしたうえで、「切ってる方がこのラジオを聴いてるのかどうか。そういうのが気になっちゃう」と話を展開していく。「そこ?」と思わずツッコミたくなる視点なのだが、そのズレ方こそが『パワスプ』らしいトークの流れだ。

 「聴いたことないのに、『慎吾くんと剛くん、こういうことやってんだ』って思いながらヘアカットされてるのかなって」と続ける草彅の意を汲み、「一応、じゃあ、聴いたことがあるかだけ」とヘアメイクに確認する香取。その結果は「大きく頷いてくれました」とのことで、この自由な空気感をヘアメイクとも共有できていることに、どこかホッとする。

 普通のラジオなら、脱線したとしても誰かが話を整理し、進行へ戻そうとする。しかし、草彅と香取のふたりにおいては、どちらかが常にツッコミ役というわけではない。その場の空気によって自然と立ち位置が変わっていく。今回は、香取が自由に振舞い、草彅がツッコミを入れたが、過去にはむしろ草彅の暴走モードを香取がいなすという展開のほうがよく見かける。

 たとえば、健康志向の草彅が魚を食べることについて熱弁したときのこと。「焼き魚とかうまいでしょ。干物とか」と盛り上がると、香取が「嫌いじゃないけど、あんまり食べないから、(話を)聞いててもだいぶ前から(魚に)飽きてる」と辟易してみせる。だが、草彅は止まらず魚焼き器の便利さを熱弁。もはや「ハンバーガー食べたい」とトークから離脱する香取に、「ハンバーガーめんどくさいでしょ、買ってきたりとか」と、冷凍庫に干物が入ってるほうが便利だと言って引かない。ついに、香取が「もう止めてもらっていいですか?」とさじを投げるということもあった。まるで正反対。だからこそ、お互いの違う部分を面白がって、どんな些細な話題も広がっていくのかもしれない。

 
 
 
 
 
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 2017年9月、新しい地図を広げて再出発した頃の放送では、香取が「あらためて、よくこのラジオやらさせてもらってるなと思った……。よく適当にやってきたね」としみじみ語っていたことがあった。それに対して草彅は「しゃべり手がいいんじゃない? 特に俺?」と草彅らしい軽やかな返しで笑いを誘った。さらに、香取から「このラジオ、あなたにとってなんだと思ってる?」と聞かれると、「大切な、憩いの場」とあまりにまっすぐな答えに、スタッフからも笑いが溢れた。

 香取はテレビで見せる姿に比べると、ラジオではむしろテンションが低め。「ぼそぼそやってると思う」と自身でも話していた。一方で、テレビではどちらかといえば物静かな印象を持たれがちな草彅が、ラジオでは自由にしゃべり続ける。そんな世間が持つイメージとは少し違う、“素”に近いふたりが『パワスプ』にはいる。

 だから、リスナーは「番組を聴いている」というより、「ふたりの日常のそばにいる」感覚になれるのだ。話が脱線しても、そのまま進んでいくのも日常ならよくあること。無理に面白くしようとか、盛り上げようとか、そんな焦りもない。「この時間をただ一緒に過ごしている」ような空気が心地好いのだ。

 放送30周年という大きな節目も、結局これといった大イベントもなく通り過ぎていった。ふたりは30周年記念の何かを「あきらめてない」と笑っていたが、その肩の力の抜け方もまた、この番組ならでは。特別なことをしなくてもいい。ただ、ふたりがそこにいて、話している。その日常が、リスナーにとっては特別になる。番組であることを忘れて、草彅と香取が生きている時間をともに楽しむ。根っからのエンターテイナーであるふたりだからこそ成り立つ番組。来週もまた、そんな彼らの日常がいつものように流れていくのだろう。

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