Zeebra×STUTS×MaRI鼎談 「男だけの世界じゃなくなった」“女性ラッパー”を取り巻くHIPHOPシーンの現状と課題

 Zeebraがプロジェクトオーガナイザーを務めるフィメール(女性)ラッパーオーディション『GOLDEN MIC -Female Rapper Audition-』が、日本テレビで8月27日から放送開始。6月20日までエントリー募集を受付中だ(エントリーサイトURL:https://goldenmic.jp/)。

 同オーディションでは、課題となるトラック監修(=ミュージックキュレーター)をプロデューサー・STUTSが担当。彼のほかChaki Zulu、KMというビートメーカーが作曲した課題曲が応募ホームページに掲載されている。また、プロジェクトクルーとしてCharlu、MaRIらフィメールラッパーが出演。“GOLDEN MIC”を勝ち取ったラッパーには、その後のアーティスト活動の資金提供から地上波・ 配信メディアでの露出まで、新設レーベルによるサポート体制も準備しているという。

 リアルサウンドでは、『GOLDEN MIC』の開催に伴い、Zeebra、STUTS、MaRIの鼎談を企画。本オーディションを行うに至った経緯、ヒップホップシーンにおけるフィメールラッパーの現状とはーー現状のシーンの動きを踏まえた上で、三者三様の視点から『GOLDEN MIC』開催の意義を語ってもらった。(編集部)

なぜ“女性”が対象?ーーフィメールラッパーを取り巻くシーンの変化

Zeebra

ーー新番組のローンチ、おめでとうございます。まずは『GOLDEN MIC』立ち上げの経緯を教えてください。

Zeebra:こういうプロジェクトって、規模感も含めて、やりたくてもやれるものではないし、何でもいい、と言うわけじゃない。「どうやったらそれを着地できるか?」っていうディテールを詰めていって。そのすり合わせをずっと進めていって、やっと「これは着地できそうだね!」と言うところまできた、と。

ーーヒップホップ然としたストリート的な雰囲気とマスメディアの地上波エンタメ的な雰囲気と、バランスの調整が求められるのかな、と思うのですが、そのあたりはいかがですか?

Zeebra:昔の『ダンジョン』(『フリースタイルダンジョン』/テレビ朝日系)の時も、スタートのときはまあまあハードっていうか、(ラッパーが)山車の上に乗って旗を振りながら入場して行くとか、試行錯誤もあって。でも、やっていくうちにだんだんポイントが分かってくるというか、結局はMCバトルがクローズアップされる形になっていった。だから一つ一つ、「これはどうしようか?」ってトライアンドエラーでやっていったんです。

 『GOLDEN MIC』に関しては、日本のヒップホップシーンと地続きになるようなものにしたいし、いろんなタイプの子が応募してくれて、明るい未来が作れるようなものにしたいなと。そうなると、やっぱりここはできるだけがっちり固めて、不安みたいなものが入る隙間みたいなものをなくしたいなと思いながら準備をしてるんだよね。我々がレギュラーとなる出演者を選んで終わる話じゃなくて、ここに人生を賭けてくる子たちがいっぱい来るわけでしょ。やっぱり、シュアな(確かな)ものにしないといけない、という気持ちが強くて。出演者や関わる人たちのバランスも、すごく重要かなと思っています。そうなると、STUTSっていう人選もかなりバランスがいいんじゃないかなって。

STUTS

STUTS:最初、Zeebraさんから直接お電話をいただいてお話を伺った時に、規模感とかも含めて大きな話だなって思って。その時に、Zeebraさんの「ちゃんと格好いいものにしたいんだよね」という強い思いを感じたんです。そうやって考えられた結果、僕にオファーをいただけたっていうのも光栄だなと。自分にできることがあるのなら、全力でやらせてもらいたいなと思って参加を決めました。

ーー今回、STUTSさんはビートを提供するだけではなくてミュージックキュレーターという役割での参加ですよね。

Zeebra:音楽監督みたいなイメージで。オーディションを受けに来る子も、みんな同じタイプではないだろうし、いろんなタイプのプロデューサーがいた方がいいと思う。そこにおけるバランスも、STUTSなら間違いないだろう、と。

女性ラッパーの悩みーー「男だけの世界じゃなくなった」(MaRI)

MaRI

ーー女性が主役のオーディションということで、MaRIさんとCharluさんにも白羽の矢が立っています。

MaRI:「MaRIが呼ばれて大丈夫なの!?」って思いましたね、最初は。見た目は私が一番ラッパーっぽいと思うんですけど(笑)。

Zeebra:今の日本のヒップホップシーンにおいても男性の立場と女性の立場って、色々と違うと思う。このオーディションでも、「どういうアーティストを育てていきたいと思っているのか」というところをちゃんと見せていかなきゃと思うし、「日本のヒップホップシーンにはこんなにかっこいい人がいるんだよ」っていうところもアピールしていきたい。MaRIやCharluたち日本のフィメールラッパーたちにとっても、いいプロモーションの場になればと思うし、この番組をきっかけにして大きなメディアに出ていってもらいたいなとも思ってる。

MaRI:本当にその通りですね。私もラッパーとして活動してきてそろそろ5年になるんですけど、本当にあっという間で。次々と新しい子たちが出てくるから、自分も「もっともっと行かないと!」って気持ちになる。この番組を通して、すでに自分も「頑張らないと」って気持ちになってます。

ーーMaRIさんも実際に、女性ラッパーたちの盛り上がりを感じてますか?

MaRI それこそ「Bad Bitch 美学」(2023)の頃から、「めっちゃ盛り上がってきてる!」と感じていて。(活動が)しやすくなりましたね。あの曲のおかげで新しい女の子のラッパーたちも「こういう風になりたい」ってイメージを描くことができたと思うし、めっちゃいい機会でした。マジでシーンの空気が「ちょっと変わった」って感じ。「男だけの世界じゃなくなったな」って。

ーー反対に女性だからこそ感じる大変な時ってありますか?

MaRI:(撮影現場の男性たちが)お尻とおっぱいが盛れる角度を分かってないなって感じる時はありますね。そういう時は、わたしたちで角度を全部指定するんですよ。だから、現場に女の子が増えたら最高ですね。ヘアメイクや衣装もそう。そういうところにもお金が掛かるなんて、最初は思ってもいなかったし、そういう場面でも女の子は大変だなって思う。衣装にしても、男性は同じジーンズを二回履けるかもしれないけど、こっちはそうはいかなくて。やっぱり、毎回替えたいじゃないですか。男性マネージャーにはそういったことを全部説明しなきゃいけないし、そういう役割にももっと女性が増えたらいいなって思います。

関連記事