ミーマイナーが鳴らす“自由”と“弱さ” メジャー1st EP『部屋とガラクタと私』に刻まれた4人の居場所

2024年9月に結成されたロックバンド・ミーマイナー。Vo/Gtの美咲、Baのさすけを中心に始動し、この春からはサポートメンバーとして参加していたGtのわたさん、Drの葵が正式加入した。4人体制でメジャーデビューを果たす彼らは、“自分のマイナーな弱い部分”を、単音では成り立たないコードのように掻き鳴らす。そんな意味を込めて名付けられたバンドである。
忘れられない恋、言えなかった本音、誰もが抱えている小さな後悔。それらをポップに、時に毒っぽく、そしてリアルに表現する楽曲が共感を呼び、二度のワンマンライブはいずれもチケット即完。5月13日には、TVアニメ『ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話』(TOKYO MXほか)EDテーマを含むメジャー1st EP『部屋とガラクタと私』をリリースした。本作には表題曲「部屋とガラクタと私」をはじめ、「レモンガール」、「純文学」など全6曲を収録。美咲が描く生活の細部から立ち上がる喪失感、さすけが構築する文学性と初期衝動、わたさんの衝動的かつ職人的なギター、葵の歌心と推進力を備えたドラムが交差し、バンドの現在地を刻み込んだ作品となった。
「自由なバンド」「音楽を楽しいと思える居場所」ーー4人の語る“ミーマイナー像”は、いわゆるバンドの成功物語とは少し異なるベクトルにあるのが面白い。大きな夢に自分たちを縛るのではなく、今この瞬間に4人で鳴らす音を信じること。そこにこそ、このバンドの強度がある。そこで、メンバー同士の関係性、『部屋とガラクタと私』の制作背景、そして“目標を持たないことが目標”という独自のバンド哲学について、じっくりと話を聞いた。(ふくりゅう)
音楽を楽しいと思える、何物にも囚われない居場所
――まず、自分たちとしては、ミーマイナーをどんなバンドだと思っていますか。
美咲:一言で言えば“自由なバンド”ですね。「これを絶対に叶えなきゃ」っていう夢に縛られずに、自分たちが純粋に楽しい、カッコいいと思うことを続けて、積み重ねてきた結果だと思っているので。ライブも自由ですし、リーダーとふたりでプロモーション用のティッシュを配りながら大学を練り歩いたり、あまり他のバンドがやらないようなことまで「楽しいからやろうぜ」って。そういう、何かに囚われていないのが“らしさ”だと思っています。
――さすけさんにとって、ミーマイナーはどんな存在ですか?
さすけ:自分が趣味で作っている音楽を、ただやっている場所という感じです。美咲と僕がそれぞれ作りたい曲を作り、そこにわたさんと葵ちゃんのふたりに入ってもらってライブをやる。シンプルですね。僕は父親が親父バンドをやっていたんですけど、それと同じだと思っています。とにかく「楽しくやっています」というのがひとつ。
もうひとつは、僕は今までいろんな仲間との別れだったり、音楽を辞めていった仲間もたくさん見てきたので、そういった仲間たちの気持ちも背負って、可能性を示せる存在になれたらいいなと思っています。1stワンマンライブ『ふたりよがり』でも、かつての仲間であるマンモーニ拓磨の「終わりの条件反射」をカバーしたんですけど、そういった大切な曲を披露したりとか、自由に好きなことをやっていけたらいいなと思っています。

――葵さんにとって、ミーマイナーはどんなバンドになってきましたか。
葵:音楽を楽しいと思える居場所です。「どんなバンドになりたい」という欲はないんですけど、この4人で音を鳴らしてカッコいいと思うものが正解であればいいなと。このまま続けていきたいというのが一番ですね。曲に関しても、明るいんだけど切ない、みたいな。どっちも共存しているからこそ、特定の界隈だけで聴かれるというより、どの世代でも刺さる人がいるんだろうなと思います。
――わたさんは、ミーマイナーをどんな場所だと感じていますか。
わたさん:自分的には“遊び場”的な感覚が近いですね。まず「楽しくやっている」という実感があります。
――バンド内の役割分担はあったりしますか?
さすけ:役割分担はないよね、意外と。インディーズ期間は基本的に僕がすべてをやって、美咲が特攻隊長として切り開く。そして、ふたりが乗っかってきてくれるという構図でした。
――2ndワンマンライブ『終わりと始まり』も最高でした。わたさんはサポートとして数多くのライブ経験があったと思いますが、ミーマイナーでの楽しさは格別ですか。
わたさん:そうですね。僕はギターを弾くのが楽しくて音楽を始めたんですけど、本当にその初期の感覚に戻してくれたというか。それを思い出させてくれたのが、このバンドかなと思うので。そんな意味でも、すごく特別な居場所だと思います。
――葵さんは、2ndワンマンを振り返ってみていかがでしたか。
葵:一瞬でしたね。全曲、みんなで何度も何度も演奏してきた曲ばかりで。本当に不安とかもまったくなく、舞台袖でも自信を持って、ただ「楽しもう、行くぞ!」という気持ちで最後まで駆け抜けました。そこからメンバー加入やメジャーデビュー発表、秋の3rdワンマンという大きな発表を控えている時も感慨深くて。2ndワンマンは、私の人生にとって忘れられない1日になりました。

「ついていかない理由がない」さすけというリーダーの説得力
――続いて、メンバー同士で他己紹介をしていただきたいのですが、美咲さんにとってさすけさんはどんな人ですか?
美咲:カリスマエリートですね。本当に、エリートなんですよ。音楽へのこだわりもすごいし、積み上げていく繊細さみたいなものも、ものすごくて。たとえば「純文学」なんかも、ひとりで全部の楽器を弾いたり、すべて家で完結してリリースした曲なんですけど、音色やフレーズとかもこだわり抜いているんです。さすけさんが積み上げてきたものがあるから完成した曲だと思っています。
音楽的な才能も、別に音大に行っているとかじゃないのに、自分で突き詰めてプロの作曲家になったのは、その繊細さがあったからこそだなと思うんです。あと、みんながついていきたいと思うようなカリスマ性がある。それを言語化すると、たぶん行動力とか、人としての信頼度みたいなところかなと思うんですけど。人のために自分の時間を使って頑張れる人って、あまりいないと思っているんですけど、さすけさんはなんの惜しみもなく、人のために動ける人。だからこそ、野良で始めたバンドがここまですごい景色を見ることができているんだなと思っています。
さすけ:嬉しいね……。
――葵さんとしては、さすけさんはどんな方ですか。
葵:ついていかない理由がない、説得力のあるリーダーですね。最初は「クセが強い方だ」と思ったんですよ。こだわりが本当に強い。でも、それがストイックさゆえだと知ってからは、どんどん尊敬に変わっていきました。
――わたさんにとって、さすけさんはどんな人ですか。
わたさん:リーダーですね。あと、結構きっちりしている。たとえば日程のスケジュールとかも、わかりやすくLINEグループに送ってくれるんですよ。すごく助かっていますね。

“情熱主人公”としての美咲、嘘がない人が覇権を取る
――美咲さんは、さすけさんにとってどんな人ですか。
さすけ:ひと昔前なら、全国天下統一していた戦国武将だったかもしれない(笑)。美咲は12歳からステージに立っていて、スタートが早かった。今、23歳にして11年目のベテランで、芸歴でいうと誰よりも先輩。しかも、12歳から辞めずにずっと続けてきて今があるというのが、唯一無二の、一朝一夕では真似できない部分なんです。
僕なんかは「ちょっとステージ立とう」と思ったり、「やっぱ裏方でいいや」とか、いろいろ紆余曲折して「上手いことどうにかなんねえかな」と思ってやってきた人間だったので。葵ちゃんと俺は、そういうところが似ているんですよね。手を変え、品を変え、みたいなところで数字を伸ばしてきた器用なタイプですけど、美咲は不器用に、ひとつのことを突き詰める熱いタイプ。そこから滲み出る、美咲だからこそ伝わる言葉があるのは、本物の生き方をしてきたからなのかなって。
それこそ以前所属していたグループで、ひとりだけ「武道館に立つんだ」と言い続けていたところを、自分は2019年から見続けていたんです。もう7年くらいになるけど、まったく変わらない。その感情と情熱はすごいなと。国民的ロックバンドになるボーカリストというのは、みんな人間性や生き様が素晴らしいと思っていて。嘘がない人が覇権を取ると思うんですけど、その資格を持っている、自分の周りにいるただひとりの人間という感じですね。
――葵さんとわたさんにとって、美咲さんはどんな方ですか。
葵:“情熱主人公”ですね。大人になると、ひとつの言葉にちょっと裏の気持ちが入っていることって絶対にあると思うんですけど、美咲ちゃんは嘘のない言葉を真っ直ぐに伝えてくれる。この人についていったら、たぶん私の人生が正しいと思えるんだろうなって、今もステージの後ろで見ながら思っています。この主人公についていったら楽しいんだろうなって、冒険するような気持ちです。こんなに情熱を持っている人、出会ったことがないですね。
わたさん:初めてこの4人でライブをした時、僕はいろんな人のサポートをしていた時期だったんですけど、こんなにも真ん中で歌っていて信頼できる存在だなと感じたのは初めてでした。「任せておけばいいや」って感覚になれたんですよ。やっぱり圧倒的な主人公感だったり、“バンドマン”って感じがあるなと思います。

葵とわたさん、バンドの推進力を担うふたり
――葵さんについて、美咲さんから聞かせてください。
美咲:葵ちゃんはめちゃくちゃ真面目で、毎日スタジオに入ってドラムを練習するくらいストイック。私は超大雑把な人間なので……。毎日決まった時間に起きて、スタジオに入って練習するみたいなことを小さい頃からずっと続けているのはすごいなって。あとはムードメーカーというか、葵ちゃんがいると場の空気もみんな楽しくなっていくんです。人としてもめちゃくちゃ信頼しています。
――さすけさんから見た葵さんは?
さすけ:葵ちゃんは、ドラマーらしからぬドラマーというか。歌も歌うし、しゃべりも上手いし、あまりドラマーっぽくないなって(笑)。ポテンシャルがすごく高くて、いろんな引き出しがあるので、それを今後どう調理しようかなっていうのを日々考えています。バンドのドラマーというところに収まるにはもったいないほど、いろんな面を持っているので。
あと、ミーマイナーは声が重なる曲が多いんですけど、彼女はもともとドラムボーカルをやっていたので、女声のハモリなんかもその場でポンッと対応できる。本当になんでもござれなドラマーです。
――わたさんから見た葵さんについても聞かせてください。
わたさん:僕と同じでサポートから始まり、今は正式メンバーになったということもあって、似たような状況でもあり、よく話してます。場の空気をよくしてくれる印象がありますね。今まで僕が一緒に演奏してきたドラマーのなかでも、一緒に演奏しているとライブで前に出ていきたくなる存在。勢いをつけたくなるドラマーだなと思います。

――わたさんについて、美咲さんから聞かせてください。
美咲:ステージに立っている時のわたさんは、「人が違う」というくらいすごい。演者って、どう見られているかとか、こう見られたいという気持ちが先行している人が99%だと思っていて。私はそれよりも衝動的なものに惹かれるタイプなので、わたさんの「こいつは、これをしなきゃ死ぬんだろうな」っていうくらいの、内から滲み出るエネルギーをすごく信頼ができるんですよね。ステージ上のわたさんは本当に心強いし、尊敬しています。私もそういう表現者でありたいし、ミーマイナーは表現者のグループでありたいので……表現者として一流だなと思います。
さすけ:一番バンドマンらしいと思います。音楽の中に入って、自分を忘れられるタイプ。そういうバンドマンがカッコいいなと思って、ガラガラのライブハウスで僕もずっとやっていたんですけど、そのエッセンスをわたさんにも感じる。いろんなライブハウスの匂いがする、本当にかっこいいギタリストだなと思います。
葵:わたさんは、ギターを持った瞬間のスイッチの入り方がすごくて、一気に存在感が出る。ギターを持たせたら天下一品。ステージの外から見たこともあるんですけど、今まで見たギタリストのなかで一番かっこよくて。自分の目の前で演奏してくれている時も、「この人がバンドにいたら大丈夫だろう」って引っ張ってくれる人で、本当に頼りにしています。職人ギタリストですね。




















