【独占】ONE OK ROCKは今何と向き合っているのか? 14年間育んだ絆の地、ツアー『DETOX』台北公演に潜入

ONE OK ROCK、世界ツアー台北公演独占レポ

 2月のタイ・バンコク公演を皮切りにスタートしたONE OK ROCKのアジアツアー『ONE OK ROCK DETOX Asia Tour 2026』。ソウル、シンガポール、マニラとまわってきたツアーが、4月25日、26日、台北に上陸した。会場は、台北の観光スポット・国父紀念館のすぐ近くに位置する台北ドーム。2023年にオープンしたばかりの台湾初のドーム球場である。野球をはじめとするスポーツの試合はもちろん、コンサート会場としての利用も想定して作られたこのドームでは、これまで台湾出身の人気シンガー・周杰倫(ジェイ・チョウ)やG-DRAGONなどが公演を開催してきたが、日本のアーティストが立つのはもちろん初めて。2日間ソールドアウトとなったこの公演では、計6万6000人を動員、ONE OK ROCK自身にとっても、20年のキャリアのなかで最大規模の海外公演となった。

 筆者はその2日目、4月26日の公演を観ることができた。2024年、豪雨のなか行われた高雄国家体育場公演以来となるライブに現地のファンが大熱狂だったのは言うまでもないが、それに加えて『DETOX』というアルバムにONE OK ROCKが込めたメッセージ、現在の世界を取り巻く状況に対する思い、そしてここ台湾でバンドとファンが紡ぎ上げてきた絆……さまざまなものが重なって、とてつもなくエモーショナルな一夜となった。その模様をレポートするとともに、ONE OK ROCKが今何と向き合い、世界を舞台に音を鳴らし続けているのかを伝えたいと思う。

ONE OK ROCK(撮影=Masahiro Yamada)

 アルバム『DETOX』がリリースされたのは2025年2月21日。Taka(Vo)自ら「政治的で攻撃的」と公言するアルバムは、ロサンゼルス在住の彼が、国を二分するアメリカ大統領選挙などを間近で見るなかで感じた世界の混乱したありようと、そこから導かれる混沌とした未来に対する不安から生まれた。対立や争いの絶えない世界にあって、それを乗り越えていくにはどうすればいいのか、そこで日本人として、ロックバンドとして、何を歌うべきなのか――そんな切実な命題が、あのヘヴィで、シリアスで、しかし同時にとてもエモーショナルな作品を生んだのだ。

 そのアルバムを携えて、ONE OK ROCKは世界を巡る旅に出た。2025年4月、メキシコ・モンテレイからスタートしたツアーは、南米、北米をまわり、8月から9月にかけて行われたジャパンツアーを経てヨーロッパへと渡った。そして、その最後のパートとなるのが、このアジアツアーだ。なかでも最大の規模となるのが、この台北公演というわけである。台湾とONE OK ROCKの縁は深い。今から14年前、2012年に台北で行ったライブが、彼らにとって初めての海外公演だった。会場は、台北市内の老舗ライブハウス・Legacy Taipei。およそ1000人収容、日本で言えばリキッドルームくらいのキャパシティは、ライブハウスとしては大きめだが、当時の日本国内におけるONE OK ROCKのステータスからすればとても小さなものだった。この日、Takaはその当時を振り返り、英語でこんなことを話していた。

「14年前、ONE OK ROCKは台北で初めてライブをした。本当に小さなキャパの会場だった。Legacyっていうんだ、知ってるよね? 伝説的な場所だけど、今とは比べ物にならないくらいの(小さな)規模だった。それが今夜は2倍、3倍、それ以上。本当に素晴らしい景色です」

ONE OK ROCK(撮影=Masahiro Yamada)
Taka(Vo)

 ライブ中盤、スタジアムを埋め尽くした巨大なオーディエンスを前に、興奮気味に声を上げる彼は、こう続けた。「ONE OK ROCKをいつもサポートしてくれたみんなが今夜の景色を作ってくれました。本当に心から感謝しています。ここにいてくれて、ここにきてくれてありがとう!」。14年間かけて築き上げてきたこの地のファンとの関係性を誇るようなTakaの言葉に、当然オーディエンスは喜びの声と拍手を送る。最高に美しい光景だった。その言葉を証明するように、この日のライブは最初から最後まで、オーディエンスに支えられながら展開していったのだ。

ONE OK ROCK(撮影=Masahiro Yamada)
Toru(Gt)

 あえて書くが、この日のTakaは決して本調子ではなかった。Instagram(※1)で本人が投稿していたとおり、前日のライブで足を負傷していたことに加え、喉のコンディションもベストではなかったのだ。それでも強烈なパフォーマンスをやってのけるのがTakaだが、ライブの終盤では足を引きずりながらステージの上を歩く姿も見られるなど、文字通りの満身創痍であることは客席から見ていても感じられた。「足がまだ痛む」と正直に状態を告白しながら、彼は歌い続けた。「君たち一人ひとりに救われた」から。そして、どんな状態でもここに立つことが「自分の仕事」だから、と。「これ以上ライブをキャンセルしたくないから」――この言葉は、5月に開催予定だった香港と上海での公演が中止になったことを受けて発した言葉なのだろう。

ONE OK ROCK(撮影=Masahiro Yamada)
Ryota(Ba)

 「僕らはロックバンドですから、政治家ではありませんし、権力者でもありません。なので、そういった類のことに対して、自分たちの持論を歌詞やメッセージとして伝えることがあっても、本質として皆さんたちに伝えることはあってはならないことなのではないかと思ってます」。この日のライブ終盤、「Delusion:All」を演奏する直前。Takaはそう言っていた。そして、その言葉に続けて彼は「どんな時でも音楽でつながっていることが大事なんだ」とも語った。世のなかにはさまざまな現実があるが、それでも僕らは「ひとつの音楽と、ひとつの希望と、ひとつの勇気をこの空間でシェアできている」と。その言葉はすべて日本語だったが、そこに込められたものは、台北のオーディエンスにしっかりと届いているようだった。言葉の壁を超えて意思がつながり、ひとつの大きなエモーションを描き出す。それこそがそこにある“絆”を象徴しているようだった。

ONE OK ROCK(撮影=Masahiro Yamada)
Tomoya(Dr)

 そのようなシーンの一つひとつが、台北ドームでの時間と空間をスペシャルなものにしていた。アルバムのコンセプトを物語として伝えるオープニングから突入したライブ序盤。「Puppets Can’t Control You」を皮切りに「The Beginning」、「Save Yourself」と畳み掛ける展開のなか、Takaの「歌え!」という声に巨大なシンガロングが巻き起こる。雄叫びを上げるTomoya(Dr)のパワフルなビートに、楽曲を力強くドライブさせるRyota(Ba)のベースに、色彩豊かなToru(Gt)のギターリフに……ステージから放たれる一つひとつの音にビビッドに反応し、歓声を上げ、手を叩くオーディエンス。ライブはのっけから、会場全体を巻き込むダイナミックなショーとして大きな感情のうねりを生み出していった。

ONE OK ROCK(撮影=Masahiro Yamada)

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