【独占】ONE OK ROCKは今何と向き合っているのか? 14年間育んだ絆の地、ツアー『DETOX』台北公演に潜入

「NASTY」では一面にヘッドバンギングが広がり、「Renegades」ではイントロが鳴った瞬間に客席で自然発生的に大合唱が起き、その合唱は続いてToruのエモーショナルなギターリフから突入した「Party’s Over」でも引き続きドームを揺らす。「みんな、両手を挙げて!」「歌って!」――ステージの中央で言葉や身振りでオーディエンスを巻き込んでいくTaka。それに応えるように、あるいはそれ以上に、オーディエンスがライブを作っていく。その後「ちょっとスローな曲を」と言って披露された「Tiny Pieces」のあと、とりわけ印象的な時間が訪れた。

曲終わりで静まった客席から「I love you」の声が飛ぶ。それを耳に留めたTakaが「誰が言った?」と客席に声をかけ、ステージの上に招き入れたのだ。そして「時々、すごく静かな時にそういう言葉を投げかけてくれる大事なファンがいるんだけど……せっかく『愛してる』って言ってくれたから、みなさんに日頃感じてる愛の気持ちを、彼女を通して届けられたらなと思います」と、そのファンと並んでステージのへりに座り、Toruのつまびくギターに合わせて「Wherever you are」を歌い始めたのだ。ふたりを包み込むようにあたたかなシンガロングが広がる。Takaはサビの多くの部分をステージに上げた女の子を含めたオーディエンスたちに任せ、穏やかな表情で、その歌声に聴き惚れるように体を揺らしていた。ライブの“主役”がステージに立つバンドと彼らが鳴らす音であることは間違いないが、ほかにもたくさんの“主役”がここにはいる――この日の「Wherever you are」が描き出した景色は、そのことを証明しているようだった。
「Wherever you are」を終えると、メンバー3人によるMCの時間。Ryotaは「台北のファンがいちばん声が大きいと聞いたけど、それって本当か?」と問いかけて大歓声を引き出し、Toruは「見えてますよ!」と会場の隅から隅まで指さしながら一緒に盛り上がる。Tomoyaはすべて中国語で愛と感謝を伝え、「準備好了嗎?」(準備はいいか?)と叫ぶと、「Make It Out Alive」のビートを叩き始めた。ここからのライブの後半、台北ドームはその高い天井を吹き飛ばすような勢いでボルテージを高め続けていくのだった。Toruのラップパートも飛び出した「C.U.R.I.O.S.I.T.Y.」に、オーディエンスがスウェイする手が巨大な波を生み出した「Dystopia」(曲の終わりにはTakaのかめはめ波ポーズも飛び出した)、「Delusion:All」に「Stand Out Fit In」、「キミシダイ列車」と新旧さまざまな楽曲でことごとく大合唱を生み出し、Takaは「上出来です!」と、心から嬉しそうな笑顔を見せる。そして、「Tropical Therapy」へ。ステージと客席がコール&レスポンスで一体になったこの曲を終えると、Takaは感極まった様子で「やられちまったな」と英語で話し出した。

「歳取るっていうのはこういうことなんだろうな。エモーショナルな曲を歌っていると泣けてくる」。冗談めかしてTakaは言っていたが、その言葉には、この日ボロボロになりながらライブをするなかで去来したさまざまな思いや、今回のツアーで感じた悔しさも重なっていたのだと思う。Takaは日本語で話を続けた。「20年間突っ走ってきてこんな素晴らしい景色を見れてすごく幸せなんだけど、でもこの景色を手に入れた暁には、またいろいろな絶望も待っていたりするものなんです。声も出なくて、足も壊して、みんなが待ってくれているのにステージの上でいいパフォーマンスができなかったりしたら、『お前は一体何のために歌を歌っているんだ?』と自分を責める時もたくさんあります。でも、僕はこのバンドをやると決めてから、このメンバーとともに、そしてスタッフとともに、絶対に世界をまわれるすごいロックバンドになるって決めて、今日もこのステージで歌ってます」。そして、「日本語で喋ってごめんね」と言いながら、「でも、これは僕の心のなかから湧き出てくる言語やカルチャーを超えた“愛”という名の大切な、大切な日本語のひとつなんです」と。

そう、『DETOX』はアンバランスで混沌とした世界とそこで生まれる数々の絶望をシビアに見せつけると同時に、「それを乗り越える希望となり得るものは愛なんだ」と歌うアルバムだ。そんな世界の縮図がこの日のライブであり、そのステージでTakaが語った言葉だった。バンドで、チームで、そしてこの会場に集まったオーディエンスとのあいだで、この数時間で何が生まれ、それはこの世界で生きていくうえでどんな意味を持つのか。4人の全力の演奏はそれを雄弁に物語っていたし、Takaのパフォーマンスや言葉はそれを補強して、さらにたしかなものにしてくれていた。
ライブの最後、アンコールを台北ドーム一体の「We are」で終えると、Takaはドラム台に座り込んだ。再び立ち上がってオーディエンスに挨拶をする彼の背中を、Tomoyaがポンポンと叩く。Ryotaも彼の体を笑顔で抱き抱える。その様子を、Toruはクールな笑顔で見守っている。その光景は、このONE OK ROCKというロックバンドの美しさとかっこよさを象徴するようだった。そして、台湾のファンが作った大量のバナーとともに記念撮影。バナーには「20周年おめでとう」や「ありがとう」といった言葉がきれいな日本語で書かれている。それは彼らが14年間をかけてこの地で築き上げてきた関係性そのものだと思った。

※1:https://www.instagram.com/p/DXj08CskrZy/


























