浜崎あゆみとは何か? 自問の先に見えた“歌い続ける意味” 氣志團らのサプライズ演出も光った28周年ライブ

2026年4月8日、浜崎あゆみがデビュー28周年を迎えたこの日、全国ツアー『ayumi hamasaki JAPAN TOUR 2026 -Scapegoat-』が東京・有明アリーナで幕を明けた。本稿では、ツアー初日公演の模様をレポートする。ネタバレを避けたい方はご注意願いたい。
サブタイトルに“Scapegoat”と付けられたこのツアー。公式サイトやSNSでは、「“身代わり”なのか、“選ばれし存在”なのか」「“生き抜いた者の叙事詩”へと昇華していく物語」など、意味深なフレーズでツアーが紹介され、ファンの間でさまざまな憶測が飛び交い、考察が繰り広げられていた。
黒いローブに身を包んだ怪しげな集団が登場し、パイプオルガンによる荘厳なサウンドが轟いた会場。“Scapegoat”の由来となった、旧約聖書で描かれた儀式をなぞるようなかたちでライブがスタートすると、会場には「ラララ」と歌う浜崎の声だけが響いた。「あゆ〜!」と、彼女の名前を呼ぶファンの声がこだまする。そしてステージに現れた浜崎は、まるで罪人のように自由を奪われた衝撃的な姿だった。
生成AIを駆使して創り出された細密な映像が映し出され、会場はまるで中世ヨーロッパのような世界観に包まれた空間へと変貌する。彼女を閉じ込める檻を巧みに使った演出では、ドローンカメラに向かって手を伸ばしながら歌う様子がビジョンに映し出され、非常に立体的で見応えがあるものだった。かと思えば、パフォーマーとの息の合ったダンスパフォーマンスでも魅せる。世界観が統一された衣装は、パフォーマーもステージの一部といった印象。ステージからセンターステージへと延びる花道を、浜崎を中心としたその一団が練り歩く様子も実にかっこよく、クイーンの名にふさわしい華やかさだ。

「A Song for ××」など、ミディアム/バラードのゾーンは会場全体を舞台に見立て、パフォーマーも会場に散らばって物語を彩った。浜崎が膝をつき、泣き叫ぶように歌うその姿は実に尊くもあり、今にもどこか遠くへと消え入りそうな儚さがあふれていた。ビジョンに大きく映し出された彼女の表情には、涙を流した痕のようなものも見えた。わずか数メートルという目の前で繰り広げられる圧倒的なパフォーマンスに、ファンも圧倒されていた。
「もしみんなに、あなたに、生きられる選択肢があるなら、絶対生きてください。生きるのはしんどいけど、みんなが諦めずにいるなら、私はここで歌い続ける。だから生きることを続けてください」ライブ本編中盤ではそうした心からのメッセージが観客に向かって優しく語りかけられた。

また、「SAKURA」のパフォーマンスはまさに圧巻だった。ライブの冒頭から繰り広げられて来た、“浜崎あゆみとは何なのか”という自問自答。その葛藤の末に見いだされた、彼女が歌い続ける意味と覚悟。美しいドレス姿の彼女の回りに桜の花びらが舞い散るシーンは、この物語のひとつのクライマックスとなった。
ライブ終盤は、アクティブなダンスパフォーマンスとともに会場を熱狂させ、いわゆるライブとしての熱量で大団円を迎えた。歌詞に合わせて会場を指さしたり、膝を着いて目線を客席に合わせたり、遠くの席に向かって手を振るなどのファンサービスもたっぷり。ライブでステージと会場がひとつになることでお馴染みの「Bold & Delicious」では、「みんな一緒に!」と声をかけると、会場にはクラップが響き、ファンはペンライトを振りながらステージの彼女に向けて声援を送った。
アンコールはお祝いムード一色で、会場がひとつになってライブを楽しんだ。まず氣志團とかまいたちからのお祝いコメント映像がサプライズ披露され、「浜崎あゆみ総長!」と彼女を呼ぶ綾小路翔に「いやいや私、ヤンキーじゃないから!」と笑いながら返しつつ、『氣志團万博』へのお誘いにも嬉しそうに「ぜひ!」とコメント。さらに、芸人・みなみかわがMCを務めるかたちで、土佐兄弟、お見送り芸人しんいち、キンタロー。が次々と登場して、浜崎あゆみにちなんだネタで、28周年の記念日をお祝いした。キンタロー。の登場時には、「嫌な予感がする。絶対あの人いるよね? しかも、ちょっと似てるんだよな〜」と苦笑しながらも、キンタロー。の全力パフォーマンスに手を叩いて大笑いし、最後には並んでツーショット写真を収めた。

この他にもファンを喜ばせるサプライズが多数あり、会場全体での大合唱が響いた代表曲「Boys & Girls」では「ありがとう。みんなおめでとう!」と声をかけ、嬉しさを爆発させる場面もあった。また自分自身にだけでなく、支えてくれたスタッフやTA(Team Ayu)、このライブを見守ってくれたABEMAの視聴者、そして会場に集まった観客など、“浜崎あゆみのファン歴28周年”を迎えた人たちにも向けて、「28周年おめでとう」と言葉を贈ったことも印象的。このライブは、今日という日までともに生き抜いてきた、すべての人に向けた感謝と喜びの一夜であっただろう。
4月の5公演を完走した本ツアー。終演後には『ayumi hamasaki JAPAN TOUR 2026 A -Scapegoat-』の30公演を超える全日程が発表され、6月から11月にかけて全国を巡るロングツアーとなることが明かされた。28周年を経てなお加速する彼女の歩みに、今後も期待したい。

























