春フェスで注目のアーティストは? OddRe:、名誉伝説、Nikoん……今勢いに乗る期待の5組を紹介

 2026年も全国各地で続々と春フェスが開催され、アーティストたちが百花繚乱の一日を作り上げていくことに期待が高まっている。音楽を愛する者たちが一堂に会するとなれば、出演ラインナップを眺めるだけでも、2026年の時流が見えてくるはず。そこで本稿では大型春フェスのひとつでもある『JAPAN JAM 2026』と『VIVA LA ROCK 2026』の両フェスに初出演を果たす全5組のアーティストをピックアップした。出自も経歴もジャンルも異なる5組に通底するのは、今この瞬間にも存在感を増し続けていること、そして彼らの勢いを感じ取ってほしい。

OddRe:

OddRe: - 東京ゴッドストリートボーイズ

 「踊れ」――ごくシンプルな願いをその名に掲げ、今年2月にOfficial髭男dismやKroiらを擁するレーベル・IRORI Recordsからメジャーデビューを果たした3人組がOddRe:だ。まず特筆すべきは、Chilli Beans.やVaundyを輩出した音楽塾ヴォイスで鍛え上げられたAirA(Vo)とユウキ サダ(Ba/Vo)の歌声。エッジーで強烈なドライブ感を湛えたAirAと、パキッとした歌唱の中にかわいらしさを含んだユウキ サダによって、矢継ぎ早に放られるリリックはスリリングな展開を繰り広げていく。

 とはいえ、フィジカルに陶酔した野性的なバンドだと決めつけるのは早計。むしろSOI ANFIVER(Gt/Comp/Trackmaker)の視線は、数多のコンテンツが浮き沈みを繰り返す現代社会と、時代を問わず残存し続けてきたエバーグリーンな名作たちを同じ世界線で明確に捉えている。〈色は匂えど散りぬるを でしょ?〉〈バリ3がアンビリカルそうじゃない?〉(「東京ゴッドストリートボーイズ」)とデジタルネイティブなワードと古語をごちゃ混ぜにした詞世界や、「初期のほうがよかった」と語られがちな風潮を「初期である今、揶揄してやろうと思って」(※1)付けられたという1st EP『THE GOLDEN PROTOTYPE.』の表題からも垣間見えるように、彼らは古今東西の音楽を喰らって、アップデートしようとしているようだ。

 2月に渋谷WWW Xにて初ワンマンを終えたばかりながら、そのエネルギーに満ちた歌たちはすでにアリーナ級のスケールを誇るものもある。バンドにとっても大きなステージと対峙することになるこの春、結成3年目を迎えるOddRe:の旋風は吹き荒れるだろう。

名誉伝説

名誉伝説 - remember(Music Video)

 Spotify「RADAR: Early Noise 2026」にOddRe:とともに選出されたのが、“グッドミュージック製造バンド”を称する名誉伝説である。2023年5月の始動後、2024年3月に開催されたTeleとPEOPLE 1による対バンイベントをスタートダッシュにライブシーンへ本格的に繰り出した彼らは、2025年6月から2人組バンドとしての活動を開始。微かに鼻にかかったこたに(Vo)の発声と愛くるしくもセンシュアルな旋律をシンボルマークとする楽曲を産み落としている。

 名誉伝説のディスコグラフィには、〈私は何色/美しいと思った横顔/どんな色でも素敵よ〉と着飾らない姿を肯定する「remember」を筆頭に、作詞作曲を担うけっさく(Gt)の不完全なままの姿を愛そうとする姿勢が滲む。今年に入ってから届けられた「DIY」と「What is ×?」は、そんなふたりのアティチュードが顕著に表れたナンバーだ。双方にモチーフとして登場するミロのヴィーナスは、腕を失ったことによって神秘性を宿した美術品であり、「欠陥や欠落は悪くないものだ」という名誉伝説の信念を見事に代弁している存在でもあるのだろう。彼らは完璧ではない人間の生き様を抱きしめることで、本心を引っ張りだそうとしているのかもしれない。

 4月に東京キネマ倶楽部にて1stワンマンライブを開催し、6月に大阪での追加公演を控えている名誉伝説。春フェスのステージでも、胸をキュンとさせる愛情に満ちたミュージックを振りまいてくれるに違いない。

Nikoん

Nikoん - mouton(Official Music Video)

 2025年9月よりFACTらを輩出したレーベル・maximum10からメジャーシーンへ躍り出た2人組・Nikoん。彼らは2ndアルバム『fragile Report』をリリースしたのち、全49公演のツアーを開催。さらには追加でいくつものツアーを完走し、昨年10月から先月までの半年の主催イベントだけを数えても、その数は実に70公演超えという、正真正銘のライブバンドと言えよう。

 そのライブの土壌を築いているのは、ソングライターと歌い手を限定しない作品たちだ。後藤正文(ASIAN KUNG-FU GENERATION)が設立した『APPLE VINEGAR -Music Award-』第8回にて特別賞を受賞した1stアルバム『public melodies』は、厭世的な質感を声に宿したオオスカ(Gt/Vo)の存在を核に据えたものだったが、2025年9月にドロップされた『fragile Report』は歌謡曲やクワイアコーラス的な要素を含んだマナミオーガキ(Ba/Vo)の澄んだ歌唱が主軸に。性格の異なる2人のボーカリストが交互に曲を交わし合うことによって、彼らは止揚へ至らんとしている。3月末に開催されたワンマンライブのタイトル『ふたり。』は、Nikoんの関係性――互いを食い合い、引っ張り合い、そして補い合う――をドンピシャで言い表したスローガンだった。

 津々浦々を巡り、可能性と出会いを模索し、「Nikoんとは“ふたり”だ」と再定義した今、Nikoんは確実にタフになっている。毎日ステージを踏みしめている彼らは、今日も明日もバンド像を更新している。フェスの舞台でも、まさにその瞬間を目撃できるはずだ。

PK shampoo

【MV】天使になるかもしれない/PK shampoo

 同じ大学サークル出身のメンバーによって2018年に結成され、2021年に日本コロムビアからメジャーシーンへ乗り込んだ4ピースバンドがPK shampooだ。ヤマトパンクス(Gt/Vo)が自称するに「30分くらいでガーッと書いて、そこにメロディをつけてできた曲」(※2)だという「天使になるかもしれない」の〈水谷がゲロ吐いてその辺からはもうめちゃくちゃ〉という歌詞のとおり、彼らが送る日常はアルコールに浸され乱れている。

 しかし、その人間くささにまみれた言葉の数々は、チューニングも二の次になるほどに掻き鳴らされるギターと随所に登場する“星”や“天使”といったキーワードによって、どこか神聖な響きを帯びていく。「実体験とか、見たものとか、聞いたものをわけがわからんくらい『宇宙がどうとか』っていう話に落とし込んでいく――みたいなのが、僕がよくやることで」と本人も語っているが(※3)、決してドラマチックではない365日を、ロマンチシズムを詰め込んだリリックと絶唱を通じて昇華するのが、PK shampooの手腕なのだ。

 2023年11月にサーキットフェス『PSYCHIC FES』を立ち上げて以降、「仲間と好きなことをしたい」という思いは強くなっているはず。だからこそ、今回の初出演フェスの場で、4人が繰り広げてくれるであろう“ハチャメチャ”に期待したい。

Lavt

サイレン - Siren / Lavt [MUSIC VIDEO]

 2023年に活動を開始したLavtは、Spotify「RADAR: Early Noise 2025」への選出をはじめ、ベタ踏みのアクセルで加速し続けているシンガーソングライターだ。2026年1月から行った2ndワンマンツアーは、東京・渋谷クラブクアトロを含む東名阪の会場すべてでチケットがソールドアウト。

 自身の強みを「色んな曲が作れる」ことだと語っているように(※4)、その筆使いはカラフル。ルーツであるASIAN KUNG-FU GENERATIONの血統を継ぐようなオルタナティブロックやギターロックを根幹に、パワーポップやハイパーポップ、ネットミュージックまでを咀嚼した一曲一曲は、普遍性を備えている。僅かに擦り切れた語尾処理然り、スウィートな高音然り、そのアプローチも実に多彩だ。

 一見すると、顔を明かさないその匿名性の高い活動スタイルは、ややもすれば無機質で無愛想に思えるかもしれない。しかし、ダイレクトな交歓の場たるライブで披露されるバラエティに富んだ楽曲は、さながらプリズムのようにLavtのありとあらゆる表情を暴いてくれるのではないだろうか。今こそ彼の真髄が露わになる時だ。

※1:https://rollingstonejapan.com/articles/detail/44028/3/1/1
※2:https://beavoiceweb.com/interview/25666/
※3:https://rockinon.com/interview/detail/212509?page=1
※4:https://www.instagram.com/p/DVfzcuSAcUa

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