今のOfficial髭男dismだからこそ辿り着いた純度 『スターダスト/エルダーフラワー』で説く愛の“衝突”と”継承”

Official髭男dismが新曲で説く二つの“愛”

 受け取った想いを次へ繋ぐバラード「エルダーフラワー」

 2曲目の「エルダーフラワー」は、現在公開中の映画『人はなぜラブレターを書くのか』の主題歌として書き下ろされた。2000年に発生した地下鉄線脱線事故で亡くなった男子高校生の元に、20年後、一通のラブレターが――そんなドラマティックな実話に感化された石井裕也監督が、オリジナルの脚本をもとに映画化したのが本作だ。愛が時を超えて、さまざまな形で受け渡されていく様子が描かれている。

『人はなぜラブレターを書くのか』主題歌コラボスペシャルPV

 実話を基にした作品だけに、観客はそこに自分の人生を重ねながら想いを巡らせることになるだろう。エンドロールで流れる「エルダーフラワー」は、観る人それぞれが抱えて帰る感情をそっと包み込み、温かな余韻をもたらしてくれるバラードだ。私は試写で初めてこの曲を聴いたが、歌い出しがあまりにも優しく、不意に涙腺が緩んだことを覚えている。

 藤原は、主演の綾瀬はるかとの対談動画で、映画の感想を語っている。歳を重ねるごとに“この世界を愛せる理由”を見つけるのが難しくなっているが、作品を通して、「生きるに値する美しさと愛が、決してなくならずに存在する」と学んだそうだ(※1)。その感覚は、音像にも表れている。打ち込みのビートとシンセベースは歩調のように刻まれ、ギターがそこに光と彩りを差し込む。一方で、歪み系の音色もしっかり鳴っていて、生ドラムとベースが大地を揺らす瞬間もある。やわらかさと泥臭さ、両極の質感が共存するサウンドに、世界の残酷さや理不尽に触れてもなお、人の温かさを信じようとする藤原の実感が滲んでいる。

Official髭男dism - エルダーフラワー [Official Video]

 楽曲のモチーフであるエルダーフラワーは、藤原にとって「人を思う心の象徴」。その背景には、声帯ポリープを発症し不安を抱えていた時期に、行きつけのレストランの店員が、静かにエルダーフラワーのハーブティーを差し出してくれた記憶がある(※2)。

 受け取ったものを、別の誰かに渡す。自分がレストラン店員の優しさに救われたからこそ、音楽を通してリスナーへ同じものを贈ろうと筆を執る。その連鎖が楽曲の主題であり、歌詞やメロディもこの主題に沿って設計されている。例えば、サビの〈物語が〉〈進むに連れて〉〈続くに連れて〉〈実る想いは〉は、ほぼ同型のメロディだ。一見冗長とも思える4度の繰り返しは、続くこと自体の重さを体感させるための意図的な引き延ばしだろう。さらにDメロで〈私からあなたへ〉というボーカルに〈あなたから誰かへ〉とコーラスが応答し、愛が次の誰かへと渡っていく瞬間が、声によって表現されている。

 転調後のラスサビでは〈続いていくだけで〉〈輝きをまとって〉という言葉が加わり、繰り返しの回数はさらに増える。それまでは“続く”という事実のみ歌われていたが、〈輝き〉という単語の登場と、より高音域に到達するメロディの変化によって、明確に希望のニュアンスが付与されている。そして、ラストの〈ただ永遠に愛〉という一節。〈ただ永遠に〉でメロディが解決したあと、ファルセットで〈愛〉の一語だけ宙に浮かせるこの選択は、終わりの先でも持続する愛というものを、音そのもので提示する決定的な表現だ。

 出会いと衝突の「スターダスト」に、喪失と継承の「エルダーフラワー」。両者を貫くのは、“あなたがいなければ今の私はない”という認識だ。それは同時に、Official髭男dismの現在地でもある。ミュージシャンとしてさまざまな夢を叶え、昨年、スタジアムに立った彼らは、リスナーに「あなたの人生がヒゲダンを強くさせていることを忘れないでほしい」と伝えた(※3)。今の自分たちは、聴き手とともにある。その確信が作品と共振したからこそ、純度の高い2曲が生まれたのだろう。『スターダスト/エルダーフラワー』は、Official髭男dismとリスナーがこれからもともに歩んでいくための新たな出発点である。

※1 https://www.youtube.com/watch?v=qI-_zPwvt_o
※2 https://www.youtube.com/watch?v=oPBpqo9xmL0
※3 https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/150220/2

Official髭男dism『スターダスト/エルダーフラワー』ジャケット写真
『スターダスト/エルダーフラワー』

■リリース情報
『スターダスト/エルダーフラワー』
2026年4月22日(水)リリース
特設サイト:stardust-elderflower.ponycanyon.co.jp

[BD/DVD Digest]Official髭男dism
『one-man tour FOUR-RE:ISM selected from Zepp Nagoya(2026.01.22)』
URL:https://youtu.be/-HlybtZvqd4

Official髭男dism「エルダーフラワー」ジャケット写真
「エルダーフラワー」

「エルダーフラワー」
2026年3月30日(月)配信リリース
配信URL:https://HGDN.lnk.to/ElderFlower
ミュージックビデオ:https://youtu.be/upLTD7DFtng

Official髭男dism「スターダスト」ジャケット写真
「スターダスト」

「スターダスト」
2026年4月13日(月)配信リリース
配信URL:https://hgdn.lnk.to/Stardust
ミュージックビデオ:https://youtu.be/O4fFTWQzXVE

■番組概要
タイトル:日曜劇場『GIFT』
放送日時:4月スタート 毎週日曜よる9:00~9:54

<出演者>
伍鉄文人:堤真一
宮下涼:山田裕貴
霧山人香:有村架純
朝谷圭二郎:本田響矢
立川夏彦:細田善彦
谷口聡一:細田佳央太
君島キャサリン秋子:円井わん
坂東拓也:越山敬達
中山好太郎:八村倫太郎
竹松健治:やす(ずん)
李武臣:水間ロン
嬉里弥生:冨手麻妙
久保田一信:ノボせもんなべ
西陣誠子:真飛聖
宗像桜:宮﨑優
宮下君代:麻生祐未
宮下達也:菅原大吉
日野雅美:吉瀬美智子
国見明保:安田顕

<スタッフ>
製作著作:TBS
脚本:金沢知樹
主題歌:「スターダスト」Official髭男dism(IRORI Records/PONY CANYON)
企画/演出:平野俊一
演出:加藤尚樹 伊藤弘晃
プロデューサー:宮﨑真佐子 内川祐紀
協力プロデューサー:中澤美波
監修・協力:一般社団法人日本車いすラグビー連盟

■関連リンク
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/GIFT_tbs/
公式X:@gift_tbs
公式Instagram:gift_tbs
公式TikTok:@gift_tbs

■作品概要
タイトル:『人はなぜラブレターを書くのか』
公開:2026年4月17日(金)
監督・脚本・編集:石井裕也(『舟を編む』、『バンクーバーの朝日』、『月』)

<出演者>
綾瀬はるか 當真あみ 細田佳央太/妻夫木聡
音尾琢真 富田望生 西川愛莉/菅田将暉
笠原秀幸 津田寛治 原日出子
佐藤浩市

主題歌:Official髭男dism「エルダーフラワー」(IRORI Records/PONY CANYON)
製作幹事:日本テレビ放送網
制作プロダクション:フィルムメイカーズ
配給:東宝
コピーライト:©2026 映画「人はなぜラブレターを書くのか」製作委員会

■関連リンク
公式サイト:loveletter.toho-movie.jp
公式X:https://x.com/loveletter_mov
公式Instagram:https://www.instagram.com/loveletter_mov/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@loveletter_mov

■Official髭男dism 関連リンク
公式サイト:https://higedan.com/
公式X:https://x.com/officialhige
公式Instagram:https://www.instagram.com/officialhigedandism/
公式YouTube Channel:https://www.youtube.com/@officialhigedandism
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@official_hige_dandism

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