サバシスター、パンクへの憧れとポップな歌心が炸裂! 頼もしい進化を遂げたバンド史上最長のツアーファイナル

開演前のBGMがやたらと刺さってきた。Hi-STANDARD「FIGHTING FISTS, ANGRY SOUL」、The Get Up Kids「Holiday」、Rancid「Ruby Soho」などなど、すべて90’sパンクの大名曲。自然と浮かぶのはKen Yokoyamaが1年半前に出したカバーアルバム『The Golden Age Of Punk Rock』であり、PIZZA OF DEATH社長、なち(Vo/Gt)にとって憧れだった横山健の背中を、今私たちも必死で追いかけているんだ、という宣言のようにも思えてくる。


全国34本、サバシスターにとって最長となる『JUST PUNK ROCK TOUR』ファイナル、4月3日のZepp DiverCity(TOKYO)公演。これだけ長期ツアーを回ればチームの連帯や演奏力はさらに底上げされるのだろう。メンバー全員のボトムと同様、市松模様に彩られた“ステージ上に設置されたステージ”に立つ4人(サポートメンバー含む)は、初日公演にSEとして使っていた「JUST PUNK ROCK!!」を紗幕越しにプレイするところからライブをスタートさせる。先ほどまで流れていたBGMよりもよほどガツンと来る生演奏。一気に引き込まれるスピード感。あれ? もっとホンワカしたバンドじゃなかったか? という記憶は、紗幕が落ちた瞬間の、4人の余裕の表情によってかき消えていくのだった。びっくりするくらいタフになっている……!


最新アルバム『たかがパンクロック!』の楽曲を主軸に進む前半。原曲にはないイントロをたっぷり用意して手拍子を巻き起こした「台風」のように、ツアーの中で育っていった演出やアレンジが光る。盛り上がるところをさらに磨き、間髪入れずに次へ次へ。無駄も迷いもない進行はとにかく小気味がいい。市松模様のステージは、小柄ななちとるみなす(Gt/Cho)を大きく見せる効果があるが、そこからぴょんと飛び降り、なちがハンドマイクで最前列に寄っていけばフロアはさらに盛り上がる。笑顔と身のこなしを見ながらつくづく思う。昨年10月の初日、「あと33本もある。このツアーでは泣かないことが目標」だと語っていた女の子はどこに行ったのだろう? と。
もはや見守られる健気なガールではなく、皆を引っ張る頼もしきフロントマン。そうあろうと頑張っている、のではない。すっかり彼女に引っ張られ、心身共にどんどんハイになっていく自分を自覚し、うわ、なちすげぇな、と感服するばかり。もちろん彼女ひとりの成長ではない。ボーカルのやりやすさはリズムによって決まると聞くが、ごうけ(Dr/Cho)とDくん(Ba/サトウコウヘイ)のプレイが驚くほど引き締まっていたことも特筆すべきだろう。鋭くタイト、攻撃性よりも軽やかさが際立つビート。動きやすいのは当然で、なちとるみなすが交代でお立ち台に立っていく。

「今日でついにツアーが終わっちゃう」となちが語ればフロアからは「えー?」の声。「寂しいですか?」「うん」というやりとりにメンバーからツッコミが入るのはご愛嬌。もともとサバシスターは止まったら死んでしまう回遊魚のようなツアーバンドを目指していたわけではないだろう。ライブハウスも大事だが、自分の生活だって同じくらい大事。日常に起きる少しの悲しみや悔しさをポップな歌に変換していくことが、まずは最初のやりがいだったはずである。
だから重要なのは、アコギを持って歌う「生活」「今日のごはんはなんだろな」などが続いた中盤のポップスゾーンだ。日々ステージでジャンプの高さを競い合ってきたバンドには出せない実感と説得力がある。夢(もしくはバンドマン縦社会)のためなら生活を顧みないような価値観で走らない。マイペースな柔らかさがなんとも魅力的だし、なちによるピアニカの演奏シーンにもサバシスターらしさが光っていた。話は飛ぶが、アンコールで披露された新曲「朝がきて」が、やはり日常をベースにしたポップソングであるところも非常によかった。



そういう元来の独創性がひとつの軸だとして、PIZZA OF DEATHがマネジメントを申し出、最初になちと心を通わせたことが、今はもうひとつの軸を作っている。最初はどう転がっていくのか未知数だった。スタッフチームと対話を重ね、現場で経験を重ねていくことが、まだ若いメンバーをどれほど飛躍させていくのかをうまく想像できなかった、と書くのが正解かもしれない。
それが花開いていたのが後半。1分に満たない「テキトー」や「My way」などショートチューンが続くパンクゾーンだ。白眉はバージョン違いを連続で畳み掛けた「My girlfriend is PIZZA OF DEATH」。自分たちのことを〈彼女〉という三人称にしたのは見事としか言いようがなく、繰り返される〈か!の!じょ!は!ピザオブデス!〉のフレーズは、ライブになるとメンバーの手を離れた怒涛のシンガロングを巻き起こすのだ。これぞみんなの歌! という盛り上がりは90’sパンクシーンの美しい継承であり、ホモソーシャルなノリが一切ないところが実に現代的である。

冒頭、BGMに触れて、横山健の背中を必死に追いかけている宣言と書いたが、目の前の光景を見ると考えを改めざるを得ない。PIZZA OF DEATHが築いてきたファミリーツリーを、今、サバシスターはリアルに更新している最中なのだろう。最初は横山健となち、2人の物語だった。しかし互いの共振は次第に周囲を巻き込む輪となって、バンドをZepp DiverCityへと導いた。もちろんこれがゴールだとは思わない。まだまだ広がる景色がある。アンコールも含めた全25曲を90分でスカッと終えたあと、間髪入れずに流れ出したBGMはKen Yokoyamaの「Punk Rock Dream」。なんて美しい流れを作るんだろうと笑いがこぼれる。この夢の継ぎ方にこそ、PIZZA OF DEATHのマインドを見た思いだ。

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JUST PUNK ROCK!!
才能
ナイスなガール
ドゥルーピーアイズ
あかるくかるく
台風
デービゴ!
ポテサラ
最後のラブレター
生活
きょうのごはんはなんだろな
テキトー
my way
My girlfriend is PIZZA OF DEATH
My girlfriend is PIZZA OF DEATH Ⅱ
覚悟を決めろ!
!
ステージ
作戦会議
ミュージックプリズナー
タイムセール逃してくれ
ハッピーなんて
サバカン
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朝がきて
サバシスター's THEME

























