トゲナシトゲアリ、初の全国ツアーで培った経験が爆発 新たな挑戦がバンドにもたらした三者三様の成長

トゲナシトゲアリ、初のZeppツアーレポ

 アニメ『ガールズバンドクライ』プロジェクトから生まれたガールズロックバンド・トゲナシトゲアリ(略称:トゲトゲ)が、キャリア初となる全国ツアー『トゲナシトゲアリ Zepp Tour 2026 “拍動の未来”』を開催。2月11日の神奈川・KT Zepp Yokohamaを皮切りに、全国6都市で7公演を行ったこのツアーが3月14日、東京・Zepp DiverCity(TOKYO)にて千秋楽を迎えた。

 2023年9月14日、キャリア初のライブ『トゲナシトゲアリ修行中 公開練習ライブ』(※1)から約2年半。フェス出演を除けば、これまで関東圏のみで国内単独公演を開催してきたトゲトゲだが、昨年9月に念願の初日本武道館公演『トゲナシトゲアリ LIVE in 日本武道館 “奏檄の叫”』(※2)を達成させたことを機に、2026年は全国ツアーという新たな挑戦へと一歩踏み出すこととなった。

 Suspended 4th「97.9hz」が爆音で流れる中、サポートメンバー(Dr&Key)とともに理名(Vo/井芹仁菜役)、夕莉(Gt/河原木桃香役)、朱李(Ba/ルパ役)がステージに登場すると、満員の場内は大歓声に包まれる。オーディエンスに手を振ったり笑顔を振り撒いたりと、リラックスモードでセッティングをする姿は、この約1カ月間で彼女たちがどれだけの経験を積んだのか、そしてそれが力に繋がっているのかが伺える。そんな緩やかな空気を引き裂くように、ライブは突如「雑踏、僕らの街」から勢いよくスタート。聴き手にガツンとした衝撃を与える音の塊と、息の合ったグルーヴ感は、ツアーを経てより密なものになっていることが伝わった。特にこの日は、前日の3月13日にも同会場でライブを行っていることもあってか、あるいは約1カ月におよぶ各地での熱演ぶりもあってか、いつも以上にアグレッシブさと前のめり感が強調された演奏であり、観客との距離感が近いことも影響し、より豪快さが際立つパフォーマンスで観る者を圧倒していく。

 最初のMCで理名が「しょっぱなから飛ばしがちなので、乗り遅れ注意ですよ!」とちゃめっ気たっぷりに話したが、その言葉通りのステージがこのあとも展開されていく。本ツアーでライブ初披露となった「蜃気楼ニ問フ」、2024年リリースの「闇に溶けてく」と、彼女たちが次々に繰り出すサウンドからは音源以上に迫力とスピード感が伝わり、デビューからの短期間でライブバンドとしてめきめきと実力と経験値が高まり続けているその姿には目を見張るものがある。ライブを観るたびにそう強く実感させる要因に、ドラマーとともにバンドの軸となるグルーヴを生み出す朱李のベースと、テクニックはもちろんのこと、それ以上に深みのある表現力が常に向上している夕莉のギタープレイがあることを断言しておきたい。

 「空白とカタルシス」冒頭でのカオティックなベースソロは言うまでもなく、多くの場面で楽曲の地盤を的確な演奏で支え、隙あらば主張の強いフレーズを織り交ぜていく朱李。MCでは野球オタクぶりを遺憾なく発揮し、ほかのメンバーが止めに入るまでマシンガントークを続ける様子とのギャップ含め、プレイヤーとしても、ひとりの人間としても、誰にも真似できない個性を確立させた。そして夕莉も、メンバー最年長らしい落ち着いた普段の雰囲気とは相反し、ギターを手にすれば時にアグレッシブに、時にムーディーに、そして時にはブルージーにと、変幻自在のサウンドでトゲトゲの楽曲に彩りを与える。同じ曲でもライブのたびにどこかしらの変化や進化も見つけられるあたりも、彼女のプレイヤーとしての貪欲さが窺える。

 そして、バンドの顔として真ん中に立ち、今や堂々とした佇まいでパワフルさと繊細さを併せ持つボーカルを響かせる理名も、その小さな体と18歳という年齢からは想像できないほどのエネルギーと説得力で、会場にいる者すべてを魅了。活動初期には長丁場のライブを完遂するまでの持久力がもう少し必要かな、と感じる場面も時々見受けられたが、今やそんな心配はまったく無用で、この日も約2時間におよぶステージを最良の状態で駆け抜け、ライブ後半に向かうにつれて伸びやかな声により艶が感じられる瞬間も多々あった。年齢的にもまだまだ伸び代があることを考えると、改めて末恐ろしい存在だと思わざるを得ない。

 『ガールズバンドクライ』という作品と並走しながらも、いざというときにはぐいぐいと前を突っ走るくらいの勢いが魅力でもあり、今回のZepp公演も我々の期待を大幅に上回るほどのステージングで、高い満足感を得ることができた。活動初期からもっとも演奏されてきたのではないかと思われる「名もなき何もかも」や「爆ぜて咲く」といった『ガールズバンドクライ』放送前からのキラーチューンが、今もなお輝きを増し続けていること、昨年公開された『劇場版総集編 ガールズバンドクライ』「前編後編」のOP&ED主題歌といった最新のナンバーが早くも従来の楽曲に並ぶほどバンドに馴染んでいることなど、長く見続けているファンにとっては発見も多いツアー千秋楽だったのではないだろうか。

 各地Zeppでのツアーはこの日に幕を下ろしたが、5月1日には東京ガーデンシアターでの追加公演も新たに決定した。「運命の華」や「最期の禱り」といった楽曲でメンバーが見せた、自信に満ち溢れた表情と観る者に幸福感を与える強く温かみのあるバンドアンサンブルを、早くもまた味わえる事実はありがたい限りだ。その追加公演が行われるまでにも、トゲトゲは香港での『CON-CON HONG KONG 2026』(4月4日)に出演し、韓国でのワンマンライブ『TOGENASHI TOGEARI Live in SEOUL “凛音の理”』(4月18日、19日)公演も控えている。充実の2025年を経て、トゲトゲが今年どんな変化および進化を遂げるのか。ここからが楽しみでならない。

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※1:https://realsound.jp/2023/09/post-1440171.html
※2:https://realsound.jp/2025/10/post-2179794.html

セットリスト
01. 雑踏、僕らの街
02. ダレモ
03. 蜃気楼ニ問フ
04. 闇に溶けてく
05. 空の箱
06. 理想的パラドクスとは
07. 吹き消した灯火
08. 黎明を穿つ
09. 薄采ディスプレイ
10. もう何もいらない未来
11. 命をくれよ
12. 名もなき何もかも
13. 空白とカタルシス
14. 爆ぜて咲く
15. 極私的極彩色アンサー
16. 無知のち私
17. 渇く、憂う
18. 声なき魚
19. 運命の華

アンコール
EN1. 誰にもなれない私だから
EN2. 最期の禱り

はるかぜに告ぐ とんず、KANA-BOONやRADWIMPSらに目覚めた青春時代 邦ロック好き芸人がトゲナシトゲアリに受けた衝撃

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トゲナシトゲアリ、迫り来る運命の日! Fear, and Loathing in Las Vegasから学んだ、日本武道館ライブへの心得

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