増田貴久、玉井詩織、大原櫻子……豪華コラボも交えてジブリの名曲を彩った『ジブリをうたう その2』レポ

 スタジオジブリの音楽を、多彩なアーティストたちがそれぞれの個性で歌い継ぐトリビュートライブ『ジブリをうたう その2』が、3月13日に東京国際フォーラム ホールAで開催された。

 本公演は、キーボーディスト/アレンジャーとして数多くの現場を支え、音楽プロデューサーとしても厚い信頼を集める武部聡志が全面プロデュースした、スタジオジブリのトリビュートアルバム第2弾『ジブリをうたう その2』のリリースを記念して行われたもの。コンサートとしても第2弾となる今回は、大原櫻子、Kalafina、GLIM SPANKY、浪岡真太郎・大島真帆(Penthouse)、森崎ウィン、前回に引き続き出演となった玉井詩織(ももいろクローバーZ)ら、アルバム参加アーティストに加えて、増田貴久(NEWS)や、オリジナルシンガーである加藤登紀子も登場。ジブリの名曲群を軸にしながらも、世代もキャリアも異なる歌い手たちが一堂に会する贅沢な一夜となった。

 渡辺裕太(Gt)、五十嵐宏治(Key)、浜崎賢太(Ba)、河村吉宏(Dr)という腕利きのバンドメンバーを従え、まずステージに現れたのは武部聡志。彼は一昨年に『ジブリをうたう』をリリースし、その後コンサートを開催した際、観客もアーティストも本当に楽しそうにしていたことが強く印象に残ったと振り返り、「絶対に続編をやりたい」と思っていたと語る。その願いが実を結び、『ジブリをうたう その2』のリリース、そしてこのコンサートの開催にまでつながったことへの喜びと感謝が伝えられると、客席からは大きな拍手が送られた。

武部聡志

 アルバムジャケットには前作に続き、武部の朋友でもある宮崎吾朗の描き下ろしイラストを起用。ライブ中は、演奏にあわせてスタジオジブリ作品の名場面も映し出されることが告げられる。「音楽を聴きながら、映画のワンシーンを思い出すのもよし、アーティストたちの名演奏に酔いしれるのもよし。今夜は思い思いの方法で、ジブリを愛するアーティストとお客さんが一緒に楽しめるものにしたい」と武部が呼びかけると、会場全体にこれから始まる特別な時間への期待が満ちていく。

 そんな一夜の幕開けを飾ったのは、大原櫻子による「風になる」だ。つじあやのが歌った『猫の恩返し』主題歌を、武部のピアノも加わったスペシャルバンドの演奏で軽やかに響かせていく。客席では8ビートにあわせて自然発生的にハンドクラップが沸き起こり、春らしい装いで現れた大原は、笑顔のまままっすぐでのびやかな歌声をホールいっぱいに広げてみせた。続く「ひとりぼっちはやめた」は、『ホーホケキョ となりの山田くん』の主題歌。矢野顕子が作詞作曲を手がけたこの曲を、大原は一音一音を確かめるように丁寧に歌い上げていく。

大原櫻子

 『ジブリをうたう』の魅力のひとつは、キュレーターである武部ならではの視点で組まれたコラボレーションにある。最初のコラボは大原とGLIM SPANKYの二人による「さよならの夏〜コクリコ坂から〜」だ。手嶌葵が歌った『コクリコ坂から』主題歌を、亀本寛貴(Gt)のアコギ、松尾レミと大原のツインボーカルで披露。異なる声質を持つふたりだからこそ、そのハーモニーは深く豊かに響く。セクションごとに上声と下声を入れ替えながら、さまざまなニュアンスをまとい客席を魅了した。

大原櫻子・GLIM SPANKY

 大原がステージを去ると、ここからはGLIM SPANKYのターン。披露されたのは『アーヤと魔女』主題歌「Don’t Disturb Me」。うねるオルガンに効いたディストーションギターが絡み合う、ヘヴィかつ骨太なロックナンバーだ。ジブリ作品の楽曲群のなかでも異彩を放つこの曲は、GLIM SPANKYにとってはまさにお手のもの。松尾は水を得た魚のように、唯一無二の歌声を響かせ会場の空気を一気に塗り替えていく。続く「ひこうき雲」では、荒井由実が紡いだ繊細で洗練されたメロディに松尾が情感をたっぷりと込め、会場からは大きな拍手が湧き起こった。

GLIM SPANKY

 続いて登場したのは、ミャンマー生まれのシンガー、森崎ウィン。アルバム『ジブリをうたう その2』にも収録されている「世界の約束」を、甘くやわらかな歌声で披露する。そこから『かぐや姫の物語』主題歌として知られる「いのちの記憶」へ。唱歌のように簡潔で、それでいて不思議な懐かしさをたたえた旋律が、聴くものの胸に染み渡る。

森崎ウィン

 ここでコラボレーション第2弾。森崎ウィンとKalafinaによる「いつも何度でも」は、『千と千尋の神隠し』の主題歌として世代を超えて愛され続けている楽曲だ。精緻で気品ある四重唱が会場を駆け巡ると、客席からは大きな拍手が送られた。

森崎ウィン・Kalafina

 そしてその余韻を受け継ぐように、Kalafinaは『ゲド戦記』から「時の歌」、さらに『借りぐらしのアリエッティ』主題歌「Arrietty’s Song」を披露する。とりわけ「Arrietty’s Song」に漂う、どこかアイリッシュな響きは彼女たちの声質とも相性がよく、幻想的でありながら芯のあるアンサンブルが、作品の世界観を鮮やかに浮かび上がらせていた。

Kalafina

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