KOTORI 横山優也×さよならポエジー オサキアユ 音楽で追求する自分自身、バンドに懸けるロマンーー『LOCAL MATCH』対談
「自問自答をした時間が長い人たちに惹かれてきた」(オサキ)
横山:この間、若いバンドと対バンしたときに、「今日のライブを見て、目指したいボーカル像が決まりました」って、俺を目指すと言ってくれた子がいて。ちゃんと自分に合う人を見つけたほうがいいよとは思ったんですけど、思えば、自分もそういう「この人みたいになりたい」って思う先輩の姿を見よう見まねでやってるだけなんですよね。
オサキ:よこちんって、確かに大好きな人の影響を受けてきたんだろうなと思うけど、たくさん真似てきた結果、オリジナリティになっていると思う。僕は本当に「誰みたいになりたい」というのはなくて。それよりももっと自分のことを突き詰めたいというか。もっと自分になりたいし、そんな自分を愛してほしいと思っていて。
横山:すごいですよね。
オサキ:なんというか、自分が好きな先輩は、そういう人なんです。少なくとも僕からはそう見える。bachoの(北畑)欽也さんとかLOSTAGEの五味(岳久)さんとか。自問自答をした時間が長い人たちなんじゃないかって思うし、そういうところに自分も惹かれてきたのかなって。
横山:うんうん。
オサキ:だから自分は、そういう人たちをカッコいいと思ってきたんやったら、せめてオサキアユというものを突き詰めて、オサキアユという人をわかってもらうほうがいいなと思った。
横山:話をしていて、アユくんは目に見えない憧れがあって、俺は目に見える部分に憧れがあるんだなって思った。
オサキ:だから僕はよこちんのことを羨ましいと思うんですよ。そもそも音楽って譜面上で見たら模倣されやすいものじゃないですか。だけど、そこにどんな魂が乗るかでバンドの価値って変わってくる。その魂の部分で、よこちんがデタラメにやっていたら、つまらない音楽や消費されて終わるだけの音楽になっていくんだろうけど、よこちんはそうじゃない。そのバランスがすごく上手だなって思う。憧れの人のことをちゃんと見つめて「これ、自分でもやってみたいな。俺だったら、こういうふうに置き換えよう」ってちゃんとわかっている。つまり、よこちんがやっていることは模倣じゃなくて、本当の自分を見つける作業なんですよ。それはたぶん、KOTORIを好きな人もわかっていると思う。
横山:むしろ僕は「好きなものをわかってほしい」という気持ちもあって。音楽ってやれても60歳くらいまでじゃないですか。
オサキ:なんなら40歳までには固めたいよな。
横山:そうそう。そう考えたら、それまでの20年間でできることって、「俺、これ好きなんだよね」を繋げていくことなのかなと思っていて。古いものをまた新しいシーンで繋いでいくというか。
オサキ:ロケット鉛筆みたいな。
横山:それができるのが芸術だと思う。その中で自分は架け橋でしかないと思っていて。いいものはいいからわかってほしいし、その入り口が俺たちであったらいいなって。その考えは俺の中ではずっと変わらない。だから、この先どうなっていきたいかという目標もなくて。「今の感じがずっとできたらいいな」くらい。ただ、100年後のCDショップに……って100年後にCDショップがあるかはわからないけど、そこに自分たちのCDか、CDじゃなくても何か音源が並んでいたらいいなと思う。もうロマンの世界ですけどね。それが俺の音楽をやる意味なのかなって思っている。
オサキ:わかる! 自分のいなくなったあと、自分たちの音楽がどう地球に埋まっていくのかは気になる。でも「いい音楽をやり続けていたら、いつか誰かが掘り起こしてくれる」っていうロマンはあるよな。
横山優也&オサキアユ、衝撃を受けた音楽体験
横山:100年後でも、一人くらいは絶対にブッ刺さるヤツいるだろって。SuiseiNoboAzがコロナ禍に「3020」という曲を出したんですが、まさにそういうことを歌っていたんですよね。コロナ禍ってライブができなくて、正直「もうバンドをやめてもいいかな」くらい思っていたんですけど、そんなときにSuiseiNoboAzは1000年後を歌っていて。それを聴いて「俺は何をやっているんだ」って思った。初めて音楽で涙が出ました。
オサキ:それで言うと、僕はamazarashiがその思想を持っていると思っていて。「千年幸福論」もそうだし、僕が一番印象に残っているのは『爆弾の作り方』(2010年)の帯のコメント。「一生消えない一行を。」というフレーズがあって。
横山:はっ、「ランドマークス」!
オサキ:そう。ずっと「一生消えない一行を。」が頭に残っていて、でも同じ言葉は使えないから、自分の言葉にしたのが「ランドマークス」の〈一生消えない 一小節を成す〉という歌詞で。
横山:アユくんから最初に「ランドマークス」の音源を送ってもらったとき、「〈一生消えない 一小節を成す〉がいい」って言ったんですよ。
オサキ:そう。それはamazarashiから来てる。
横山:うわ〜。しかもこれって、本当にさっき話した1000年後の話と同じことだもんな。
オサキ:そうそう。
横山:っていうかアユくんがamazarashiを好きなの、めっちゃわかる!
オサキ:amazarashiに「ポエジー」って曲があって。その曲の最後の歌詞は〈僕は僕を愛したい〉なんだけど、その歌詞と出会ったときに、自分が頑張る意味を見出したという感覚があって。「さよならポエジー」というバンド名は語感で決めたんだけど、「ポエジー」という言葉を使おうと思ったのはamazarashiからの影響だと思う。
横山:えーっ! そうだったんだ。知らなかった。
オサキ:実は言葉の書き方などはamazarashiから学んでるよ。言うのは避けていたけど。別に好きなことを隠したいということじゃなくて、気づく人は気づくだろうなって思っていたから。
横山:そうだったんだ。今、めっちゃ激アツな話してますね。
ーーそんな激アツなエピソードも飛び出したところで、2組が対バンする『LOCAL MATCH』北海道公演への意気込みを聞かせてください。
横山:さよならポエジーのライブ中、ステージ上でアユくんが笑う瞬間があって。そのときマジで心が震えるくらい感動するんです。その瞬間に音楽の素晴らしさを感じる。それを北海道で見たい……っていうか、俺らがそういう場所を作ります!
オサキ:さよならポエジーは、ライブ一本一本に対してのマニフェストがなくて。「さよならポエジーをやるぞ」っていう気持ちと、あとはタイミングをくれた人への感謝の気持ちでライブをするだけ。だから今回も、KOTORIに対して「誘ってくれてありがとう」という気持ちを込めてライブします。あとは、さよならポエジーが北海道に来るのを待ち望んでくれていた人もいると思うので、そういう人たちの前でちゃんとした演奏したいし、その結果「いいライブができたね」って言いながら打ち上げができたら。
◾️ライブ情報
KOTORI pre.『LOCAL MATCH 2026』
<企画/制作:small indies table × WESS>
w/さよならポエジー
2026年2月19日(木)北海道・札幌 SPiCE. / O.A Tattletale
2026年2月21日(土)北海道・旭川 CASINO DRIVE / O.A Tattletale
2026年2月22日(日)北海道・苫小牧 ELLCUBE / O.A Tattletale