SMAP、解散から10年の節目に寄せて 変わらぬファンの熱量と開拓者としての姿勢が導くすごさ
2026年は、SMAPが解散して10年という節目となる。昨年11月30日、都内で開催された『“応援のチカラ” プロジェクト』のキックオフイベントに登壇した稲垣吾郎は、「解散して10年というのはこんなに経ったのかなと思ったんですけれども、これからもふたりには力を貸してもらって、僕も少しでもふたりの力になれるように、この3人の絆を信じながら、これからも新しい地図を広げていきたい」(※1)と語っていた。
この10年を振り返ると、5人の歩みはそれぞれ異なる道を辿ってきた。しかし、その根底に流れているものには、“開拓者“であリ続けた確かな共通項がある。
新しい地図を広げ、ベストフレンドとの再会を果たした稲垣吾郎&草彅剛&香取慎吾
2016年8月に解散を発表し、12月31日にグループとしての歴史に幕を下ろしたSMAP。直後は、“SMAP”という名前を出すことすらはばかられるような、異様な空気が漂っていた。2017年9月、稲垣、草彅剛、香取慎吾が“新しい地図”を立ち上げると、次々と彼らのレギュラー番組が終了し、地上波テレビで姿を見る機会は急速に失われていった。
そうした閉塞感を打ち破ったのは、ほかならぬ3人自身だった。この10年で大きく変化したことのひとつに、アイドルの活動領域がSNSやネットへと広がった点が挙げられる。その転換期に、国民的トップスターである彼らがネットに軸足を移したことの意味は小さくない。
2017年に3人が挑んだ『72時間ホンネテレビ』(ABEMA)。72時間の生放送という破格の番組であることに加えて、Twitter(現X)、ブログ、Instagramと次々にSNSアカウントを開設。香取が「#教えて世界」というハッシュタグで使い方をファンに問いかける様子は、SNSを使いこなしていこうとするドキュメンタリーのようで、ワクワクした記憶が今も残っている。
なかでも大きなトピックとなったのは、“ユーチューバー 草彅”の誕生だ。今でこそ芸能人がYouTubeチャンネルを持つことは当たり前だが、当時はテレビスターである草彅がYouTubeの王道企画に挑戦する姿が多くの視聴者を驚かせた。テレビでの活躍が叶わないならばと、ネットへと舵を切る柔軟さ。「持ち歌ゼロ」「必死です」と語りながら、がむしゃらにリスタートする姿からは、彼らの持つ強さが浮かび上がった。
そして、かつてのメンバー・森且行との再会もあった。森がグループを離れてから21年ぶりの共演。それは、「もうテレビでは観られない」と誰もが思っていた光景だった。ためらわれていた“SMAP”を名を出すトークも、稲垣が涼やかに口にしたことで、少しずつ空気が変わっていった。その軽やかなトークスキルは生放送のレギュラーラジオ番組のパーソナリティという新たな場でも鮮やかに花ひらいた。やがて香取はソロアーティストとして主演ドラマの主題歌を歌い、音楽特番にも出演。草彅は『第44回日本アカデミー賞』最優秀主演男優賞を獲得するなど、それぞれのフィールドで確かな存在感を示してきたことは、あらためて言うまでもないだろう。
どんなに状況が変わっても、変わらなかったファンの熱量
新たな世界へと歩みを進めた3人に対し、木村拓哉は事務所に残る道を選択した。歌手としてはもちろん、俳優、バラエティタレントとしても活躍し、SMAPが切り拓いてきた“アイドル像”を更新し続けてきた。後輩アイドルたちの現場へ率先して足を運ぶ姿も最近は多く見られるようになった。
なかでも、『タイプロ』ことtimeleszの新メンバーオーディション番組『timelesz project -AUDITION-』(Netflix)で語った「今のこの状態のプロダクションに対する偏見もあるとは思うけど、よくそうやって意識を向けてくれたなっていう風に思う」(※2)という言葉は、後輩や候補生たちを包み込む器の大きさを感じさせ、ファンの心を熱くした。また、「水は用意されて当たり前と思っちゃうともったいない」と語るなど、レジェンドでありながら周囲への配慮を忘れない姿勢にも称賛が集まった。近年では木村の男気あふれる過去の言動が、ネット上で再評価される場面も多い。
一方、解散後も地上波テレビの第一線に立ち続けた中居正広は、2020年2月に個人事務所を設立。後輩たちの独立ラッシュに先駆ける動きでもあった。2022年の体調不良による休養を経て、2023年4月放送の『まつもtoなかい』(フジテレビ系)初回オンエアで、香取慎吾と6年ぶりの再会を果たす。闘病中の中居に香取が毎日19時台に連絡を続けていたこと、香取のソロライブに中居が足を運んでいたこと――。このタイミングでなければ語られることはなかったであろう。
幼少期からテレビの世界で生きてきた彼らは、“語ること”と“語らないこと”の境界線を明確に引いている。10年前の解散騒動も、その延長線上にあったのだろう。どれほど憶測が飛び交っても、沈黙という選択が、ひとつの意思として静かに伝わってくる。
毎週月曜22時――。かつて『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)が放送されていた時間になると、今もなお、SMAPが続けてきた復興支援の思いをつなぐ投稿を目にする。解散から10年が経った今も、SMAPという存在が語られ続けるのは、記憶を手放さないファンがいるからにほかならない。この10年で、何より変わらなかったのは、もしかするとファンの熱量だったのではないだろうか。
それぞれが活躍するほど、SMAPというグループが活躍していた瞬間をしみじみと思い出さずにいられないのがファン心だ。そうして語られ続けるほどに、「SMAPのすごさをリアルタイムで体感したかった」という若い世代もいるのではないだろうか。
願わくば、いつか「もう叶うわけがない」と思っていた光景が見られる瞬間が訪れてほしい。森と3人の共演が21年ぶりに実現したように。その場所は、もはやテレビでもネットでもない、私たちがまだ知らない新たなメディアかもしれない。それほどに時代が流れ、状況が変わろうとも、SMAPを恋しく思う声が途切れることはない。その事実だけは、これからも変わらずにあり続けるのだろう。
※1:https://realsound.jp/2025/12/post-2235574.html
※2:https://realsound.jp/2025/02/post-1923730.html