Official髭男dism、TOMOO、Kroi……IRORI Recordsの2025年を総まとめ 大型ライブや海外展開で存在感を示した1年

 2025年は新たにS.A.R.をレーベルの仲間に加え、11組を擁するレーベルとなったIRORI Records。Official髭男dism初のスタジアムライブや、TOMOO初の日本武道館ライブなど各アーティストが躍進し、イギリスの音楽フェス『The Great Escape 2025』では、Kroi、go!go!vanillas、a子、Bialystocksが出演するレーベル名を冠した無料ショーケースイベントを開催するなど、海外にもレーベルの存在感を示す発端を作った。

Official髭男dism

 Official髭男dismの2025年は初のスタジアムワンマン、『SUMMER SONIC』へのリベンジ出演と、巨大な会場でも“らしさ”を表明する挑戦の1年だった。5月17日よりバンド初のスタジアムツアー『OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025』を開催。大阪・ヤンマースタジアム長居と神奈川・日産スタジアム、合計4公演で25万人を動員したこのライブは、演奏の良さやパフォーマーとしてのフィジカルの強さはもちろん、さまざまなファンの人生に寄り添う楽曲を作り続けるOfficial髭男dismらしさが爆発。

Official髭男dism - 50% [Official Live Video]

 また、10月からは日産スタジアム公演の模様を収録した『劇場版 OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025』を全国の映画館で上映、10月11日・12日にはお台場の新しい多目的アリーナ、TOYOTA ARENA TOKYOのこけら落とし公演を開催、さらに、12月10日からはメンバー4人のみで巡るZeppツアー『OFFICIAL HIGE DANDISM one-man tour FOUR-RE:ISM』をスタートさせるなど、多様なライブのあり方を追求する1年だった。

[本予告] 劇場版 OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE at STADIUM 2025

 楽曲においては、劇場アニメ『ひゃくえむ。』の主題歌として書き下ろした「らしさ」を8月にリリース。同曲は、陸上競技の100m走をテーマにした原作に沿う、彼らには珍しいBPM速めの言わばギターロックとなっている。また、12月に発売した約7年ぶりのノンタイアップシングル「Sanitizer」は、今バンドが届けたいサウンドが表現されたミディアムロックが新鮮なナンバーだ。さらに、12月29日には1月から放送のTVアニメ『ダーウィン事変』(テレビ東京系)オープニング主題歌「Make Me Wonder」のリリースが決定している。

Official髭男dism「らしさ」✕ 劇場アニメ「ひゃくえむ。」コラボレーションMV
Official髭男dism - Sanitizer [Official Video]

 数々の新曲を生み出している中、12月にはBillboard Japanの独自集計の結果、全楽曲での国内累計ストリーミング数が100億回を超える2組目のアーティストとなったことが発表された。そして、2026年4月からはホールとアリーナを巡る全国ツアー『OFFICIAL HIGE DANDISM one-man tour 2026』もスタートする。

TOMOO

 5月に初の日本武道館ワンマンライブ『TOMOO Live at 日本武道館』を行い、シンガーソングライターとしてひとつの集大成を見せたTOMOO。“武道館スペシャルバンド”として、なんと総勢21名のサポートメンバーが参加し、この日ならではのライブアレンジを実現してくれた。

TOMOO - Ginger (Live at 日本武道館 , 2025)

 また、7月の『FUJI ROCK FESTIVAL '25』に初出演したのも今年の特筆事項だろう。シングルリリースもコンスタントに行い、1月にはTVアニメ『アオのハコ』(TBS系)第2クールエンディングテーマ「コントラスト」、7月には京都アニメーション6年ぶりの新作アニメ『CITY THE ANIMATION』(TOKYO MXほか)エンディング主題歌「LUCKY」、そして10月にはサウンドプロデュースにBREIMENの高木祥太を迎えた「餃子」をリリース。そして11月には、これらの楽曲や、レーベルメイトのBialystocksの菊池剛がサウンドプロデュースとアレンジを手掛けた「Lip Noise」などを含むニューアルバム『DEAR MYSTERIES』を発売した。アルバム前半のシングル曲に代表されるポップネスと、後半の「Lip Noise」に代表される静謐でパーソナルな両面にTOMOOの今を実感できる。

TOMOO - コントラスト【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
TOMOO - LUCKY【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
TOMOO - Lip Noise【OFFICIAL MUSIC VIDEO】

 さらに、来年1月から放送されるテレビTVアニメ『違国日記』(TOKYO MXほか)オープニングテーマに新曲の「ソナーレ」が起用されるほか、“盟友”BREIMENが1月にリリースする「ファンキースパイスfeat.TOMOO」への参加も話題に。目下、キャリア史上最長のホールツアー『HALL TOUR 2025-2026 “DEAR MYSTERIES”』の真っ最中で、ライブにおいても表現の深化を見せている。

Kroi

 アリーナ、アコースティックライブ、ホールツアー、アジアツアー、ライブハウスと、ライブバンドとしてのポテンシャルを見せた2025年のKroi。2月に横浜・ぴあアリーナMMで開催した初のアリーナ公演は、オーディエンスをライブハウス同様のノリで沸かせ、早くも2026年に初のアリーナツアーを開催することを発表した。6月、7月には初のアコースティックライブツアーに挑戦、8月からはこちらも初となる全国ホールツアーを開催し、短い期間に多様なバンドアンサンブルに挑んだ。シングルも話題作が続き、テレビアニメ『SAKAMOTO DAYS』(テレビ東京系ほか)第2クールのオープニングテーマ「Method」、映画『九龍ジェネリックロマンス』主題歌「HAZE」と、異なるタイプながら今年のバンドのベクトルを示唆する楽曲をリリース。

#Kroi - Method [Official Video] #SAKAMOTODAYS
#Kroi - HAZE [Official Video] #九龍ジェネリックロマンス

 今年後半は11月に初のアジアツアーをソウル、台北、バンコクで実施し、同時期に突如、詳細不明のライブハウス公演を発表。ファン狂喜のプレミアムなライブが12月15日に大阪・Shangri-La、22日に東京・LUSHで行われ、インディーズ時代のレパートリーで構成されたレアな内容となった。そして、12月16日にはインディーズ時代からの楽曲6曲をリアレンジ、音源化したEP『Polyester(Custum Deluxe)』を配信リリース。ライブはその伏線でもあったわけだ。なお、このEPのCD盤は2026年1月開催のアリーナツアーの会場限定で販売される。

go!go!vanillas

 昨年から続いてきたライブハウス、ホール、アリーナ3形態で巡る全国ツアー『go!go!vanillas Lab. TOUR 2024-2025』を、4月の大阪城ホール公演で締めくくったgo!go!vanillas。2025年は国内外のフェスやイベントに多数出演し、ライブバンドの本領を発揮した。5月には韓国でのワンマンライブ、9月には韓国を代表するロックフェス『Busan International Rock Festival 2025』に出演。イギリスやフランスの音楽フェスにも出演し、さらに9月にはMUSEの対バンアクトに抜擢され、大阪公演に挑んだ。

go!go!vanillas - SCARY MONSTER [Music Video]
go!go!vanillas - ダンデライオン [Music Video]

 楽曲面では、ファンクやソウル、アイリッシュフォークなど彼らの特徴を集約した『SCARY MONSTERS EP』を9月にリリース。TVアニメ『SAKAMOTO DAYS』(テレビ東京系ほか)第2クールエンディングテーマ「ダンデライオン」、アルバム『Lab.』に続きロンドンの名門「メトロポリス・スタジオ」でレコーディングされた新曲、柳沢進太郎(Gt)作詞作曲の「正体」など5曲を収録している。今年の経験を携え、目下バンド史上最大規模のホール&アリーナツアー『SCARY MONSTERS TOUR 2025-2026』も進行中だ。

Bialystocks

 今年は甫木元空(Vo)と菊池剛(Key)の2人編成で長期のツアーを回るなど、ライブで音を届ける活動に注力していたBialystocks。4月にはキャリア最大キャパとなる東京国際フォーラム ホールAで『Bialystocks 単独公演 2025』を開催し、昨年リリースのアルバム『Songs for the Cryptids』までの集大成を見せた。

Bialystocks - 雨宿り【Live Video】
Bialystocks - フーテン【Live Video】

 その後、6月には韓国・仁川の『Asian Pop Festival』に出演。アジアのインディーズバンドやファンとの親和性の高さを窺わせた。そして今年の大半を占める2人編成の全国ツアー『Bialystocks 二人編成ツアー 2025』を8月の東京・Bunkamuraオーチャードホールから11月の沖縄・桜坂劇場ホールAまで、映画館や能楽堂などユニークな会場も含めた19カ所で実施。チケットの一次販売の反響を受け、13会場で昼公演が追加されるなど大きな注目を集めた。その後、サポートメンバーを加えた7人編成で東名阪3会場を回るZeppツアー『Bialystocks 2+5 ツアー』も開催。また、新曲の「言伝」が2026年1月より放送されるTVアニメ『違国日記』(TOKYO MXほか)のエンディングテーマに決定。Bialystocksとアニメ作品のコラボレーションに期待したい。

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