Snow Man 佐久間大介は“ファン”から“表現者”へ アニメ道のさらなる深みへ至った2025年を振り返る
アイドルとしてのグループでの活動、映画への出演といった俳優業に加えて、アニメ作品やアニメ関連番組出演と話題に事欠かないSnow Man 佐久間大介。今年1月に開設したInstagramをはじめ、SNSのプロフィールには「Snow Man」より前に「アニメオタク」と記すほどのアニメ好きとして知られるが、2025年はそのアニメ愛によって彼が大きく羽ばたいた一年だったと言えるのではないだろうか。
彼がひときわ強い個性を放っているのは周知の事実だが、今年は特にアニメファン、Snow Manファンのみならずお茶の間にもその強烈なキャラクターと才能を示した。
まず、アニメ好きのアイドルとして、そしてバラエティタレントとしての実力とパーソナルな魅力を存分に発揮していたのが、TV番組『アニソン大百科』(TBS系)でのMC業だ。ゴールデン番組で初単独MCとなったこの番組で、佐久間はさまざまなアニメ作品と作品を彩るアニメ音楽を幅広く紹介した。自身の作品愛/アニメ愛を随所ににじませながらの語り口は、色鮮やかなアニソンの世界を多くの人に伝える役割を完璧に担っていたと言えるだろう。アニメ好きとしてもその真摯な姿は観ていて共感し得るものであったし、Snow Manのファンにとってもアニメ作品と音楽の深い関係性をディープに知る絶好の機会となったのではないだろうか。
声優業での活躍もめざましいものがある。
今年いちばんの大きなトピックは、歴史あるプリキュアシリーズの最新作『キミとアイドルプリキュア♪』(ABCテレビ/テレビ朝日系)への出演だろう。佐久間の起用は発表時から大きな話題となった。
主人公の憧れでもあるレジェンドアイドル・響カイトというキャラクターを、トップアイドルである佐久間が誰よりもリアリティをもって表現し、アニメ声優として高い演技力で魅せ続けている。この響カイトは、42話でプリキュアに変身。シリーズを通しても“青年キャラクター”の変身は異例である。長きにわたる『プリキュア』の歴史のなかでも、特別なキャラクターとなった響カイト。そんな存在に命を吹き込む役割を任せられたのは、佐久間の確かな演技力と作品へのリスペクトが認められたからだろう。
キャラクター設定からしてハマり役であること以上に筆者が驚いたのは、キャラクターソング「キミからのEcho」における歌唱だ。Snow Manの佐久間大介という”アイドル”が歌唱している楽曲とはまったく違うアプローチながら、きちんと“アイドル”であり、大切なメッセージを歌に乗せる響カイトの楽曲として表現されており、その繊細さに声優としての確かな実力を再確認させられた。
来年1月からスタートする『ハイスクール!奇面組』(フジテレビ系)の再アニメ化は、アニメ好きのみならず幅広い層に驚きのニュースとして話題となったが、ここでも佐久間は切出翔役を務めることが発表されている。人気/実力ともにトップクラスの声優陣がキャスティングされているなかでの起用だが、声質や演技力、表現力の面でもキャラクターとの親和性には違和感がなく、活躍に期待が高まる。
さらに、演劇集団キャラメルボックスの成井豊が脚本を担当し、くるりの岸田繁(Vo/Gt)が音楽を担当するという話題のオリジナルTVアニメーション『風を継ぐもの』で、TVアニメ初主演が決定している。各方面から期待が集まる話題作で主演を務めるということは、佐久間にとってとても大きな意味を持つだろう。
来年1月に公開予定の中国のアニメ映画『白蛇:浮生』の吹き替え版でも、前作に引き続き三森すずことのダブル主演が決まっている。筆者が初めて彼の声優業に触れたのは、まさに前作の『白蛇:縁起』での吹き替えで、瑞々しく天真爛漫で純粋なヒーロー・宣を生き生きと演じていたのが印象的だった。佐久間が持つ天性の声の魅力や、表現者としての才能を存分に活かした演技だったと思う。声優業をはじめて約5年間のさまざまな経験を通じて培われた技術や新たに獲得した表現が、続編にどう反映されているのかも楽しみにしたいところだ。
佐久間は“オタクキャラ”のアイドル、という枠にはとどまらない。アイドルとしての佐久間のファンにとっては、彼を形作ってきたアニメにポジティブな気持ちで触れることができるし、アニメファンにとっても同じ目線で作品を楽しみ、その思いを広く共有してくれる彼の存在は魅力的に映ると思う。
彼の誠実なアニメ愛が積み上げてきた信頼、コツコツと声優としての実力をつけ、確かな歩みを進めてきた努力。その両方が実を結び、今年の活躍に繋がったように思う。声優として、アニメファンのエンターテイナーとして、その才能と愛をどのように発展させていくのだろうか。来年以降の彼の活躍にも期待したい。