ACEesが継承する“王道のアイドル”のきらめき CDデビュー前の『Mステ』出演、経験に裏打ちされた実力に迫る

オリジナル楽曲「PROLOGUE」から感じるACEesの覚悟

ACEes【PROLOGUE】Arena Tour 2025 PROLOGUEより

 「幼い頃描いた あの夢も僕らなら」から始まる「PROLOGUE」は、まさに彼らの現在地を映す楽曲だ。歌い出しを担うのは作間。クールな印象とは裏腹に、ドライブ旅動画では率先してハンドルを握る面倒見の良さを見せる。自撮りを競い合う企画であっても、「メンバーを撮るほうが楽しい」とカメラを向ける姿も。そんなギャップを包み込むような甘い歌声も、実に心地よい。

 続く、深田は2018年に入所したグループのなかでも後輩である愛されキャラ。動物カフェを訪れたYouTube企画ではヘビを前に思わず那須の後ろに隠れるなど、臆病な一面も。しかし、最後にはしっかりとヘビを手で持つところが頼もしい。加えて、足は謎のステップを踏むというオチもつけてくれるのも微笑ましい部分だ。そんな深田がステージ上では一転、堂々とした歌唱で存在感を放ち、メンバーへ向ける自然な視線が胸を打つ。

 そうしてまばゆく光る彼らのパフォーマンスをより引き締めるのが、那須の織りなすラップパート。那須のラップは力強くも、キラキラなアイドルソングのカラーに溶け込んでいるのが見事だ。それも、那須自身が持つ品の良さが大きく影響しているのだろう。温和な性格ゆえに、いつもメンバーを、そしてファンを繋いできた。「きみとならどんな壁も超え進もう」と指をさす笑顔に、デビューという夢を掴みに行こうと気持ちよく誘われる気分だ。

 また、先述したように浮所の表情は、どの瞬間も隙がない。だからつい目で追ってしまう楽しさがある。「翌日の分までエネルギーを出し切ってしまった」と、ツアー直後に撮影された旅動画では、なかなか起きられない姿を見せていたが、それも納得してしまうほどステージ上での集中力が伝わってくるのだ。この歌の核を担う「この手広げて未来を迎えに行こう」のパートを歌い上げる姿は、アイドルとしての覚悟そのもの。その眩しい笑顔と瞳に宿る芯の強さに、心が熱くなる。

 そして、サビ前の「高く舞い上がれ」を決めてくれるのが、佐藤だ。ナイトルーティン動画では1時間以上にも及ぶハードな筋トレ風景を披露。かと思えば、風呂上がりに「何のパックをしようかなっていうのがめっちゃ楽しい」と柔らかに微笑むなど、Vlog動画で見せるまるで大型犬のような佐藤が、ステージ上では眩しいほどに王子様オーラを纏う。その変身っぷりがたまらない。そして、強いフィジカルに支えられた胸がすくような伸びのあるロングトーンは、間違いなくACEesの華だ。

 キラキラしたものを前に、胸がいっぱいになる――。そんな感覚を知っている人なら、ACEesのステージは間違いなく心を揺さぶるはずだ。ともすれば、大きな変革を迎え、このまま消えていってしまうのではないかとファンが寂しく思っていた事務所のイズムを継承し、“王道のアイドル”を背負った5人。もはや、デビューすらその通過点だと感じさせることもあるほど。そんな彼らの2025年、今この瞬間だからこそほとばしるきらめきを、ぜひお茶の間から見届けてほしい。

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