今後の目標は、新たな作家性の開花　「YRD Leoらしさをブラさずに進んでいきたい」

ーーアルバム終盤の「River」「love letter」については、どちらもこれまでのイメージに近いサウンドとなっています。

YRD Leo：このふたつとも新曲で、ジャグさん、dodoさんとの楽曲を作り終えた後に「また自分のフィールドに戻って勝負してみよう」と思ったのが制作のきっかけでした。「River」の方は弾き語りのような作り方をしていて。kitが鳴らすギターに乗せて、僕が感情をぽろっと吐いて、その言葉を拾っていく。全体的なトーンとしては、既存曲「orange」に近い冷たさを感じてもらえるんじゃないかな。

ーー「River」はいわゆる失恋ソング。こうしたテーマはリリックを書き込むにあたり、自身の苦い経験を呼び起こす必要もあるかと思います。身も蓋もない質問ですが、辛くないですか？

YRD Leo：むしろ別の部分に辛さ、というか難しさがあって。リリックは僕の実体験、あとは友人から聞いた話などからインスピレーションを受けつつ、そうしたパーソナルな話を書くだけでは上手く伝わらないし、かといって万人に伝えようと意識しすぎると、今度は楽曲として面白みがなくなるし。みんなに解釈の余白をどのくらい持ってもらうか、バランス調整をするのがすごく難しいです。

ーー正解がない作業ですからね。「love letter」についてもお話をお願いします。

YRD Leo：「love letter」も新たな挑戦曲で、珍しくラブソングを書いてみました。アルバムの最後に相応しく、かつ僕の親世代など、幅広い方々に聴いてもらえるような曲になったと思っています。

ーー〈気づいたけどさそれ俺のパーカー〉〈“You know what I’m sayin’”君がやる俺の真似〉など、日常の光景が思い浮かぶ歌詞にグッときてしまいました。ラッパーは固有名詞を操る生き物ですが、YRD Leoさんの場合はこうした描写がそれに近いなと。

YRD Leo：このあたりの表現はSALUさんがすごく得意で、僕自身も影響を受けている節がありそうです。リリックは「Bye」と同じ感覚で作りました。書いては消してを繰り返す……本当のラブレターを書くときみたいですよね（笑）。

ーー順番は前後するものの、こちらの2曲に近い曲調ながら、3曲目「Angel」や4曲目「Over」はラップよりも歌に重点を置いていますよね。なにか理由はありますか？

YRD Leo：「Angel」と「Over」ではあまり韻を意識せず、どちらかというと感想を伝えたいままに伝える、みたいな。それこそ「GIRL」を制作したとき、曲調も相まってチョけるというか、少しチャラさを意識して体言止めで韻を踏んだ方がカッコいいと感じたんです。〈ジャリボーイ〉も、このワードで1ラインを終えるようにしたり。

ーーなんたってアフロビートですから。

YRD Leo：このあたりのコツを掴んだ上で「River」や「love letter」にも臨んだんですけど、「Angel」と「Over」の2曲は「GIRL」以前に制作したもので。歌とラップのバランス感をこの4曲の間で違って感じられるのは、そのあたりが理由だと思います。

ーーいわば、「GIRL」以降は“最新系のYRD Leo”によるものと。

YRD Leo：誰だったかを忘れちゃったんですけど、「GIRL」や「scroll」を聴いてくれた人が「YRD Leoは、なにをしたってYRD Leoらしくなるよな」って褒めてくれることがあって。僕自身、新しい自分を模索しながら、どんな楽曲を作っていても「YRD Leoらしさをブラさずに進んでいきたい」って、常々考えているんです。だから、あの言葉はめちゃめちゃうれしかったな。

ーーちなみに、ご自身の活動名義に登場する“YRD”は、“Young Rich Drama”の略だとか。とはいえ、恋愛や失恋を歌った楽曲のなかに、あまり“FLEX”の影を感じないことについては……。

YRD Leo：この名義、本当にノリで付けたので（笑）。僕が音楽を始めたとき、ラッパーの間で名前の最初にアルファベット3文字を入れるのが流行ってて。たとえば、YBN Cordae（現名義：Cordae）とか。

ーーPnB Rock、YFN Lucciなども然り。

YRD Leo：そうそう。若いときは誰しもFLEX文化に憧れるし、僕自身も最初の頃はドレッドヘアでトラップのビートでラップしていて。“YRD”にちなんだ見せ方をしていたんです。が、次第に気づいた「やっぱり合わないな、これ」という本心。でも、この名前自体は気に入っているし、後付けだとしても本来とは違う意味でリッチを目指して、FLEXができるラッパーになりたいです。

ーー“人生の充実”もFLEXの一種になり得ますからね。そうした目標を叶えるべく、来年以降はどのように活動していきましょう。

YRD Leo：最大の目標は、ヒップホップをまったく知らない人にまで楽曲を届けること。そのためにもコンスタントにリリースを重ねていきたいし、恋愛ソング以外にも、自分の葛藤や人生におけるストラグルを歌った楽曲を制作してみたいです。『COLORFUL』と同じく、今後も新しい一面をどんどんと見せていけたらいいな。

■リリース情報
New Digital Single「love letter」
2025年11月26日（水）配信リリース

1st Digital Album『COLORFUL』
2025年12月10日（水）配信リリース
https://yrdleo.lnk.to/colorful

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