晋平太「ボコボコのMIC」バイラル首位 HIPHOPとMCバトルを牽引した功績、心の中で生き続けるメッセージ

Viral Chart Focus

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの11月12日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:晋平太「ボコボコのMIC」
2位:ロザリア&ビョーク&イヴ・トゥモア「Berghain」
3位:ザビャン「トゥントゥントゥンサフールに恋している」
4位:M!LK「好きすぎて滅!」
5位:Hazbin Hotel, Jessica Vosk, Alex Brightman, Sam Haft, Andrew Underberg「Gravity」
6位:Torbahed「YOSHO HAI MONTAGEM」
7位:TREASURE「PARADISE -JP Ver.-」
8位:KIM CHAEWON「告白 (Confession) [Japanese Version]」
9位:Mega Shinnosuke「ごはん食べヨ」
10位:Travis Japan「Disco Baby」

 先週と比べてトップの顔ぶれが大きく変化した最新のSpotifyバイラルチャート。今週新たに首位を獲得したのは晋平太「ボコボコのMIC」。そして2位には、初登場となるロザリア、ビョーク、イヴ・トゥモアのコラボ曲「Berghain」がランクインする結果となった。

【十万人突破記念公開MV】晋平太 - ボコボコのマイク 【Official Music Video】

 今週最も注目すべきは、バイラル首位となった晋平太「ボコボコのMIC」である。この楽曲がチャート圏外からジャンプアップして突如トップに躍り出たのは、他でもなく、晋平太本人の早すぎる死のニュースによるものだ。彼の訃報はラッパー仲間のSNS投稿で広まり始め、11月8日に親族が公式X(旧Twitter)で死去を正式発表した。享年42、葬儀は近親者のみで執り行われたとのこと。本件について当初は遺族の意向で非公表にしていたが、多くの心配の声を受け報告に至ったという。声明では「晋平太はHIPHOPを愛し、これに全力を注ぎ、生き抜いた人生でした」(※2)と故人の生涯を振り返り、関係各所、そしてファンへの感謝が綴られている。公式発表後、追悼の思いも込めて彼の代表曲が次々と再生され、本曲は瞬く間にバイラルチャートを駆け上がったのだ。

 「ボコボコのMIC」は、文字通り“ボコボコになったマイク”を指すタイトルで、ラッパーの商売道具であるマイクをモチーフに自らの半生を投影したセルフストーリーの意味合いが強い一曲だ。晋平太は、自身の体験や想いを率直に綴り、社会へのメッセージを発信するリリシストとして知られていた。本作でも、成功と挫折を繰り返しながらマイク一本で道を切り拓いてきた生き様をリアルに表現している。歌詞で、晋平太は〈自分の人生生きてるか?/その人生好きですか?〉と問いかけ、訃報後にはSNS上で「この曲を聴いて涙が出た」「晋平太の音楽は今も生きている」といった声が相次いだ。

 晋平太は日本語HIPHOP、とりわけフリースタイルMCバトルの黎明期からシーンを牽引してきた先駆者だ。2000年代初頭より精力的にバトルへ参戦し、2005年には日本最大級の大会『B-BOY PARK MC BATTLE』で優勝した。その後、2010年、2011年には『ULTIMATE MC BATTLE』(『UMB』)で史上初の2連覇を達成し、2012年開催の『戦極MC BATTLE』でも頂点に立った。さらに2017年、『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)に挑戦者し番組史上初の完全制覇を成し遂げ、一躍その名を全国に知らしめることとなった。この偉業は今でも語り草となり、彼は「フリースタイル界のレジェンド」として不動の地位を築いた。

 バトルでのタイトル獲得に留まらず、生涯を通じHIPHOP文化の発展にも尽力した晋平太。2019年のMCバトル引退後は、YouTubeや全国各地でのラップ講座を通じてシーンの裾野拡大に努め、2020年9月には一般社団法人日本ラップ協会を自ら設立して理事長に就任した。生前は同世代ラッパーとの親交も深く、訃報に際して多くの仲間がSNSで追悼メッセージを寄せ、シーン全体が大きな喪失感に包まれた。晋平太が日本のHIPHOPシーンに残した功績は計り知れず、その存在感は今週のバイラルチャートにも表れている。

 遺族は「彼が紡いだ言葉と想いが、皆さまの心に少しでも残ってくれたなら」(※2)と綴っていたが、ファンは彼の音楽を通じてまさにその思いを受け取っている。晋平太の「ボコボコのMIC」がバイラル首位したという現象は、彼のメッセージが人々の心で生き続けることの証と言えるだろう。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-11-12
※2:https://x.com/shinpeita/status/1987040457491440075

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