Ms.OOJA 15周年インタビューVol.1 百貨店店員からプロシンガーへーーヒットと実力不足のギャップに悩んだデビュー期
2026年2月16日、Ms.OOJAがデビュー15周年を迎える。一度耳にすれば心を奪われるその歌声は、時に優しくそっと包み込み、時に背中を押すように、リスナーたちの胸に寄り添い続けてきた。歌声に救われ、励まされ、癒された人は数え切れないほどいるだろう。そして、彼女の魅力は歌声だけでなく、その人間性にも宿っている。この15年、Ms.OOJAはどんな想いでステージに立ち、歌に魂を込めてきたのだろうか。(高橋梓)
歌声と人間性で魅了し続けてきた15年
ーーこの15年間を振り返って、どんな時間だったと感じますか。
Ms.OOJA:10周年の時は「もう10年かぁ」という気持ちだったのですが、15周年となると時の長さを感じますね。10周年以降、コロナ禍などいろんなことがあったり、15年前に私の歌を聴いてくれていた人が今30代になっていたり。その重みを感じています。
ーー『最終回』の時のインタビューで15周年を迎えた心境をお聞きした時は、「『15年かぁ』、ですね」とおっしゃっていて。
Ms.OOJA:そう(笑)! 『最終回』の時はそれくらいの感覚だったのですが、15周年に向けて動き始めてからデビュー当時を彷彿させる忙しさやチーム感が出てきて。徐々に「この感覚を15年目でまた感じられるのが嬉しい」という気持ちが出てきました。でも、改めて振り返ると楽しくて幸せな15年でしたね。たとえば、自分自身が危うかった時や、間違えそうになった時に周りにすごく支えてもらって。助けられ続けた15年だと思いますし、周りの人に恵まれていたから今私はここにいるんだなと思います。
ーーお話を聞くたび、「周りやファンに感謝」というような言葉をお聞きしている気がして。もともと感謝を大切にしているタイプだったのでしょうか。
Ms.OOJA:感謝の気持ちはもちろん持っていましたが、年を重ねるにつれて周りやファンの方への感謝をより実感していると思います。若い頃は周りがあまり見えていなかった気がするし、自分のことで精一杯だったんですよね。20代、30代、40代と振り返ると、自分でも訳がわからない時期もあって(笑)。それを乗り越えつつ、徐々に「人に助けられているな」と強く感じるようになりました。
ーーそんなMs.OOJAさんが、15年の中でターニングポイントだと思うのは?
Ms.OOJA:10周年の時は「Be...」だったんですよね。でも、今だったら2022年に行った武道館ライブかな。今まで見たことがない景色が見えたんです。ステージから見た客席という意味もありますし、武道館ライブに向けていろんな準備をしたり、葛藤と向き合ったり、今までやったことがないチャレンジをして知らない自分を見ることもできました。それは私の中ですごく大きな経験。武道館ライブを経て得られた自信やファンの方との繋がりもあるので、ターニングポイントになったと思います。
ーー武道館ライブでも感じましたが、今改めてデビュー当時の楽曲を聴いても歌声が変わっていないですよね。
Ms.OOJA:そうなんです。私の中では歌い方も発声方法も変わっていると思うのですが、声があんまり変わっていないですよね。どうやって維持しているんだろうと自分でも考えてみたのですが、30代後半くらいからちゃんとトレーニングをするようになったことが一つ挙げられるのかなって。ボイストレーニングというよりは身体全体のトレーニング。私、アーティストってアスリートだと思っているんです。ワンマンライブの後なんかは、体がボロボロになっちゃうんですけど、30代半ばくらいまではそこまでケアしていませんでした。でも、30代後半くらいから気をつけるようにしていて。これから40代後半、50代になるとまた違う感覚が出てくると思うので、トレーニングやケアを怠らなければこの先も声質は変わらないんじゃないかなと思っています。
ーーちなみに、ご自身ではどのように歌い方や発声が変わったと思いますか?
Ms.OOJA:変わったというか、体の使い方を知ってより良い方向に進化している感覚です。10年前くらいは完全にパワーで歌っていたんですね。技術的なところはまったくわからない状態で、とにかく歌っていた。それが今は体の中の筋肉を使うようになりました。感覚的なものなので言語化するのが難しいのですが、「ここから声を出すとより効率的に、少ないパワーで同じような声が出せる」というのを発見して。
ーーなんだかスポーツ科学のようなお話ですね。
Ms.OOJA:自分の体内の感覚なので誰かに教えることはできないのですが、ライブをやるたびに「こうしたらこうなるんだ」、「こうやったらいいんだ」と新しい発見があるんです。なので、昔よりもライブをしても体がボロボロにならなくなった気がしています。といっても、バッキバキになっちゃうんですけどね(笑)。ライブ後にマッサージに行くと、「交通事故に遭った人の体です」と言われてしまって。よっぽどひどいんでしょうね。でも、それくらい全身で歌っている証拠なんだなと思うようにしています。