ストリートピアニスト Friqtao、ジブリやアヴィーチーからの影響 デビューEP『Lifestream』へと繋がった夜の出来事も明かす

Friqtao、ジブリ映画などからの影響

ジブリ作品からのインスピレーションで生まれた「Woke up in Japan」

Friqtao

ーー新作EP『Lifestream』には、スタジオジブリからの影響もあるそうですね。

Friqtao:ジブリ作品は、子どもの頃から本当に大好きでした。映像の美しさや独特の雰囲気、そして何より音楽にすごく惹かれていたんです。久石譲さんの音楽って、感情を押しつけすぎず、それでいて確かに心を揺さぶるバランスがありますよね。あの“ちょうどよさ”が本当に好きで。だから今回のEPでも、そういう感覚を大切にしたいと思ったんです。

 3曲目の「Woke up in Japan」はジブリ作品からのインスピレーションで作った曲。“もし自分がジブリの世界の中で朝を迎えたら”どんな気持ちになるんだろう、という想像から生まれた曲なんです。ジブリ作品って、どれもトーンやテーマは違うけれど、“現実と幻想のあいだにある静けさ”のような空気がありますよね。その中に自分が入り込んだような感覚ーーその“目覚めの瞬間”を音で描いてみたかったんです。

ーー今回の来日は、「Woke up in Japan」のMVを撮影するのが目的だとお聞きしました。

Friqtao:そうなんです。実は僕、今回が人生で初めてのアジア旅行なんですよ。子どもの頃からジブリ映画や日本のアニメ、サッカーなどを通じてアジアの文化にはずっと触れてきましたが、実際に訪れるのは初めて。日本だけじゃなく、インドや中国、韓国、ベトナム、タイなど、いろんな国に興味はあったのですが、リアルに体験するのはこれが初めてです。

 なのでMVでは、「もし本当に日本で目を覚ましたら、僕はどんな気持ちになるんだろう?」というコンセプトで撮影しました。物語としては、僕が日本でふと目を覚まし、東京の街や郊外を歩きながら、その景色や空気を全身で感じるという、とてもシンプルな内容です。映像には、夜のネオン街や神社、電車のホーム、ラーメンを食べているシーンなど、“初めて日本を体験する外国人の視点”が素直に映し出されています。まるで日本の観光映画のようでもありますが、それこそがリアルな僕の感情なんです。

 日本人の皆さんが見たらベタに映る景色ばかりかもしれないけど(笑)、でも日本のみなさんが初めてパリを訪れたら、きっとエッフェル塔を見て感動すると思うんです。それと同じだと思ってもらえたら。僕にとっての日本は、ずっとスクリーンの中にあった場所で、それが今、現実として目の前に広がっている。その感覚をMVで表現したかったんです。

ーー(Friqtaoに編集前の映像をスマートフォンで見せてもらいながら)まるで映画『ロスト・イン・トランスレーション』のようですね。

Friqtao:まさに! あの映画の雰囲気、すごく分かります。あれって“異国の孤独”と“発見の瞬間”が同時に存在していて、すごく詩的ですよね。僕のMVにも、少しそんなムードがあると思います。

friqtao - Woke up in Japan (Official Music Video)

ーーEPの中で、特に印象に残っている曲は?

Friqtao:冒頭のタイトル曲ですね。実はEPの制作を始めたとき、一番悩んだのが「どう始めればいいか」だったんです。最初の1曲目って特別ですよね。いきなり派手に始めるべきなのか、静かに始めるのか……どの音から出せばいいのかすら分からなくなってしまって。

 そんなある夜ーーというか早朝の5時くらいだったんですがーー部屋でひとり、少しワインを飲みながらピアノの前に座っていたんです。ちょっと酔っていたこともあって、「なんで何も浮かばないんだ!」とイライラしていました。そのとき、ふと頭の中に“5歳の自分”の姿が浮かんだんです。ピアノを始めたばかりの頃の自分が部屋に入ってきて、僕を見ながらこう言うんです。「そんなに難しく考えないで。ほら、やってみせるよ」って。そして小さな自分がピアノの前に座って、何のルールもなく鍵盤を押し始めた。

ーー冒頭で話し合った、「子どもがピアノに『触る』意義」に通じるお話ですね。

Friqtao:おっしゃるとおりです。その“子どもが適当に弾いているような音”から、「Lifestream」のイントロが生まれました。ランダムな音の連なりから少しずつ構造が加わって、やがて複雑で立体的な音楽へと展開していく……。まるで、成長そのものを音でたどるような構成になっています。だからこの曲は、“プロジェクトの始まり”であると同時に、“自分の音楽人生の原点”でもあるんです。ピアノに初めて触れたあの日の僕が、20年後の僕に「これが君の始まりだよ」と教えてくれたような気がしました。赤ワインのおかげかもしれないけど(笑)、あの夜がなければ『Lifestream』の物語は始まっていなかったと思いますね。

Friqtao
『Lifestream』

■リリース情報
EP『Lifestream』配信中
配信リンク:https://orcd.co/lifestreamep
レーベル:Avant Garden

■関連リンク
TikTok:https://www.tiktok.com/@friqtao
Instagram:https://www.instagram.com/friqtao/
YouTube:https://www.youtube.com/@friqtao

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