乃木坂46は“選抜”だけが主役じゃない 五百城茉央、金川紗耶、冨里奈央らが体現するアンダーの底力

 乃木坂46が11月26日にリリースする40thシングル表題曲「ビリヤニ」では、加入から間もない6期生の瀬戸口心月と矢田萌華がWセンターに抜擢された。デビュー1年目のメンバーが表題曲の先頭に立つという構図は、乃木坂46が今“新しい物語の章”を開いたことを告げている。

金川紗耶、林瑠奈、冨里奈央、奥田いろは……40thシングル アンダーの力強さ

 その一方で、アンダーの存在感もまた強度を増しているのが今作の特徴だ。アンダーはもうひとつの主戦力として、グループの厚みと説得力を担う存在。そして、今作のアンダーには、“次のチャンスを待つ場所”という意味合いだけではなく、“今を示す場所”という役割が託されている。今作でアンダーセンターを務めるのは5期生の五百城茉央。1列目には矢久保美緒と松尾美佑、2列目には田村真佑、林瑠奈、冨里奈央、金川紗耶、3列目には伊藤理々杏、佐藤璃果、柴田柚菜、奥田いろは、黒見明香、岩本蓮加・吉田綾乃クリスティーが並ぶ。

乃木坂46 40thシングル アンダーフォーメーション発表

 “今を示す場所”としての役割を最も雄弁に証明したのが、39thシングル期間のアンダーライブだったと思う。座長を務めた金川はMCで「どんなに悔しくても、笑顔でステージに立たなくてはいけません」と語り、続けて「努力している過程が大事なんです。その過程をいちばん見れるのがこのアンダーライブです」と言い切った(※1)。この言葉は、アンダーの在り方を凝縮している。アンダーとは、歩いてきた道のりそのものが価値になる場所と言えるだろう。だから彼女たちのライブは、完成形を見せる場所ではなく、積み重ねを現在進行形で照らす場所になるのだ。

乃木坂46『不道徳な夏』MUSIC VIDEO

 こうしたアンダーの厚みを生んでいるのは、個々の歩みがすでにひとつの物語として確立しているからだと言える。たとえば、林はクールな印象の裏に強度のある歌声を持つメンバーだ。歌唱企画やライブでのコーラスワークで存在感を発揮し、表現領域を確実に拡張してきた。冨里は、昨年リリースの37thシングルのアンダーライブで初の座長を務め、今年はドラマ『ふたりエスケープ』(テレビ大阪)で岩本とともにW主演に抜擢されるなど、表現の幅をさらに広げている。

乃木坂46『それまでの猶予』

 奥田は、グループ内でも唯一無二の歌唱力を武器に2024年にはミュージカル『ロミオ&ジュリエット』ではジュリエット役を務め、今年上演された『1789 -バスティーユの恋人たち-』ではヒロインのオランプ役として出演。透明感や可憐さだけではなく、舞台で鍛えられた表現の芯が歌と芝居の双方に宿っていた。こうした多彩なメンバーが中心にいるからこそ、アンダーはそこでしか見られない温度と熱量が噴き上がるもうひとつの主舞台になっている。

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