Devil ANTHEM.、新メンバー加入で見えた変化の肯定と“今”を超える力 『a story beyond』制作の想いに迫る

「a story beyond」で紡ぐデビアンとファンとの関係性、揺るがない信念

ーー大丈夫ですよ、今回もわからなかったら素直にそう言っていただいて(笑)。では、ここからはニューアルバム『a story beyond』についてお話を伺っていきます。新体制が動き出した2025年を総括するような1枚になったと思いますが、アルバムコンセプトについてはどのような説明を受けましたか?

竹越:『a story beyond』には「物語のその先へ」っていう意味が込められている、あと「beyond」という言葉には「今を超えていく」という意味があるんだよ、とプロデューサーさん(佐藤海人氏)がおっしゃっていて。6人のデビアンを始める時は「ゼロから頑張って、新しく作り上げていこう」という気持ちだったんですけど、やっぱりスタート直後はよくても、途中が本当に大変だなっていうことを実感した1年でした。最初はみんな「おかえり!」と喜んでくれるものの、そこからが……どうしても昨年までの5人時代と比較されちゃうじゃないですか。

ーーどうしてもそうなりますよね。

竹越:私たちも「5人時代を絶対に超えなくちゃいけない」と意気込んでいたものの、上手くいかない時はどうしても5人時代のよかったことを思い出したり比べてしまったりして。そうこうしているうちに、昨年までいたファンの方の数が半分ぐらいになってしまったライブがあったり、今を受け入れられないファンの方の声も耳にするようになった。だけど、それでも受け入れて応援しようと決めてくれたファンの人の声も聞いていくうちに、私たち自身も次第に「過去を受け入れて、まったく別モノにしようとせずに物語を進めていこう」という気持ちに変化していったんです。

 そして、ファンの皆さんに対して「私たちは何かと過去と今を比べてしまっていたけれど、それは悪いことではない。5人時代を受け入れて、そこを絶対に超えると約束します」と公言してからは心も楽になりましたし、6人のデビアンへの向き合い方も定まってきた感じがありました。なので、改めて「物語のその先へ」「今を超えていく」というコンセプトを聞いたときは嬉しかったのと同時に、プロデューサーさんやスタッフさんも同じ気持ちだったんだなと実感できました。

ーーその思いがこのアルバムタイトルや、オープニングを飾るタイトルトラック「a story beyond」に表現されているわけですね。そのタイトルトラック「a story beyond」を聴いて、皆さんはどう感じましたか?

竹越:「a story beyond」はメジャーデビューシングル「ar」(2023年)を手掛けたIMAKISASAさん(作詞・作曲)とAILIさん(編曲)が書き下ろしてくださった曲なんですが、私たちの節目にはお二人が楽曲を提供してくださるんですよ。今回もお二人が私たちのことを考えて作ってくださった、まるでラブレターのような曲だと思っています。私は節目節目に長くて熱い文章を投稿したりするんですけど(笑)、「そういえば昔、こんなこと言ったような気がするな」って言葉がサビの歌詞に含まれているんです。「私たちとファンの人たちとの出会いは必然であってほしいな」っていうのが私の願いなんですけど、出会うべくして出会う人に出会うべきタイミングに出会うはずだと信じているので、6人になったデビアンを応援してくれる、信じてくれている人がいるっていうことが本当に嬉しいし、〈君と僕等で証明しよう 瞬間の輝きを〉というフレーズはそんなデビアンとファンとの関係性や揺るがない信念が表現されていると思うので、これからもずっと歌い続けたい曲だなと思いました。

塩崎:私はこの曲を聴いたり歌うのを繰り返していく中で、1サビの〈だからこそ出逢えた君の手を離したりはしない〉と2サビの〈だからこそ出逢えた僕の手を離したりしないで〉に「君の手を離したりはしないから、僕の手を離したりしないで」とかけているような印象を受けて。私はアイドルになって初めてファンという存在ができたんですけど、いろんな場面で「めいさちゃんに支えられているよ、ありがとう」と言ってもらえることが増えて、そのたびに「こちらこそいつも支えてもらっているし、こちらこそありがとうだよ」って本当に思うんです。今、私が頑張れている原動力は間違いなくデビアンという存在とファンの存在であって、そんな大切なファンに向けて何かをすることが私の存在意義にもなっている。そういう私の思いがこの歌詞にすべて込められているなと思うし、これからどんどんアイドルを続けていくにつれて、この歌詞がより刺さっていくんだろうなと思っています。

矢吹:この曲は初めてデモ音源を聴いた時から曲調が好みだったんですけど、特に歌詞については2人が言ったように本当に素敵で。ここ最近はアルバムのインタビューをいくつか受けていて、そのたびに何度もアルバムを聴き返したんですね。そうしているうちに、特に「a story beyond」は歌詞をしっかり読みながら聴いていたら、自然と涙が溢れてきちゃって。それぐらい素敵な歌詞です。特にめいさちゃんも言ったサビの〈だからこそ出逢えた君の手を離したりはしない〉は自分を応援してくれるファンの方の目を見て、ちゃんとこの曲を届けたいなって思いました。今(※取材は10月中旬に実施)はまだこの曲をパフォーマンスできていないんですけど、どうしたらファンの方に思いが伝わるかなとか研究して、この曲の良さをしっかり届けたいなと思います。

Devil ANTHEM./「a story beyond」MV

ーーサビには〈いつか約束の場所へと〉というフレーズもありますが、今のデビアンにとっての「約束の場所」ってどこですか?

竹越:これまで詳しくは言ってないとは思うんですけど、今までデビアンとして一番大きなライブ会場って9周年(2023年)と10周年(2024年)でライブをしたTOKYO DOME CITY HALL(現・Kanadevia Hall)なので、この6人で絶対にまた立ちたいと思っていて。ファンの人からも「応援しててよかったと思えるくらい、めちゃくちゃ輝いてたよ!」と言ってもらえましたし、普段の特典会でも「またあの会場でやりたいよね」とか話しているんですよ。そういう、ふとした時に交わした約束を守れたらいいなと思いますし、でもそれがゴールじゃなくて通過点になるくらい頑張りたいなとも思っているので、いずれまたTOKYO DOME CITY HALLに立ちたいですね。

ーー今回収録された新曲3曲のうち、「Unleash」はサウンド含めとても新鮮でした。

竹越:これまでいろんなタイプの楽曲を歌ってきましたけど、まだまだ知らないジャンルがあるんだなと実感した、歌うのがすごく難しかった1曲です。私的にも、ボーカルのレコーディングに珍しく時間がかかったんですよ。メンバーが6人いるので、一人ひとりにそんな時間をかけちゃいけないんですけど、気付いたら2時間経ってましたから(笑)。(作詞・作曲・編曲を手掛けた)阿坂亮平さん(ex. Mr.ふぉるて)さんもこの曲に対するこだわりがすごく強くて、レコーディング中も「こういうふうに歌っていただきたいです」「この文字はこういうふうに発音してほしいです」とか細かく指導してくださって、すごく勉強になりました。

塩崎:私は最初に聴いた時に、小さい頃に好きだった『プリキュア』みたいに最強の女の子が浮かんできて……すごく好きだなと思ったんですけど、いざ歌ってみるとメロディがすごく切ないことに気付きました。歌詞に関しても、この半年ちょっとのことを思い出すようなフレーズばかりで、それでいて「アイドルじゃなかった頃も報われない夜はいっぱいあったな」とかアイドルになる前の自分のことも含めて、人生丸ごと抱きしめてくれるような内容で。それに、ファンの人たちもアイドルとか関係なく、それぞれいろんな人生を歩んでいると思うんですけど、みんなが自分の人生を誇りに思えるような曲だと思うので、早く皆さんに届いてほしいです。

矢吹:前向きな言葉だけが並んでいるわけじゃなくて、〈揺れる未来が 怖くても/僕らだから いけそうな気がした〉とか〈報われない夜を/僕ら何度超えてきた?〉とか、ちょっとうまくいかないこととか自分の心にある不安とかそういうものを受け止めた上で、前に進んでいく歌詞がすごく素敵だなと思いました。

関連記事