倉木麻衣、原点回帰の“R&B”で輝く歌声 時代に求められる新曲「リラック素」のメッセージ

デビュー以来、音楽と向き合い続けている倉木麻衣。デビューから25年たった今も、その優しく、美しい歌声は色褪せることがない。
デビュー早々に大ヒットを記録した倉木麻衣
倉木は1999年12月に『Love, Day After Tomorrow』でデビュー。R&Bを感じる洗練されたサウンドと17歳とは思えない透明感溢れる歌声は瞬く間に人々の心を掴んだ。さらに、当時高校生で学業との両立のために「テレビ出演をしない」というミステリアスな存在だったこともあり、リスナーの想像をより一層掻き立てていた。結果、同曲は累計売上枚数138.5万枚を記録し、オリコン週間ランキング2位にもランクイン。一気に“平成の歌姫”としての地位を築き、J-R&Bを象徴するアーティストの一人となった。
その後リリースした2ndシングル『Stay by my side』はオリコン週間ランキングで1位を獲得。同曲は、「Love, Day After Tomorrow」とは違った側面からR&Bにアプローチしたミディアムバラードだ。「Love, Day After Tomorrow」ではどちらかと言えばクリスタルボイスが印象的だったが、芯の通った歌声を披露。倉木の美しい歌声がより一層引き立っているとともに、歌手としての幅の広さを見せつけた楽曲でもあった。
そして、2000年6月に満を持してリリースした1stアルバム『delicious way』は、初動の売上枚数が221万枚という記録を樹立。そこからもセールスは伸び続け、最終的には350万枚を突破する大ヒットとなった。続く6thシングル表題曲「Reach for the sky」では、ボーカリストとしてさらなる可能性を発揮。R&Bの土台を活かしつつ、J-POPの魅力もふんだんに取り入れた爽やかな楽曲かつ、懐かしさを覚えるようなサウンド感もあり、老若男女に受け入れられていったのだ。ちなみに、同曲が連続テレビ小説『オードリー』(NHK総合)の主題歌になったことも、こうした楽曲の変化につながっていたのかもしれない。
徐々にJ-POPのキャッチーさを含む楽曲にアプローチし始めた倉木。加えて、「Secret of my heart」以降、アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)の主題歌を担当し続けており、倉木と『名探偵コナン』は切っても切り離せない存在になっていた。そして「Start in my life」以降は、より一層作品に歩み寄った楽曲になっているように感じる。とはいえ、同曲でも倉木が持つR&B色が活かされている。ボーカルで出ているグルーヴ、英語のフレーズの使い方、バックコーラスワークなど、J-POPの中に巧みにR&B要素を組み込み、「倉木麻衣らしい音楽」を築き上げたのである。
こうしてR&B×J-POPを融合し、R&Bをより身近なものへと昇華してきた倉木の強みといえば、やはり透明感溢れる歌声だろう。洋と邦をミックスさせている歌声は新しさの象徴にもなっていたはずだ。とはいえ、あまりにも洋楽を意識しすぎると歌詞が聞き取れないということもしばしば。しかし、倉木の歌にはそれがない。グルーヴィーでありつつも歌詞がしっかり聞き取れ、ある種の親しみを感じる歌い方であることは、幅広い層から支持された理由の一つと言えるだろう。





















