堂本光一は一流のエンターテイナーだーー現実を生きる力になる“夢の時間”、『RAISE』で魅せた至高のショー

トークも一流、ユーモアも兼ね備えた“人間・堂本光一”の魅力
前アルバム『PLAYFUL』の楽曲も披露された。自らのシグニチャーカラーである赤のライトスティックが広がる前で、「最高の夜にしましょう!」と口にした堂本。バンドが躍動し、ストリングスが入り、スリルが高まっていく中、爆竹の音が鳴った。〈もう迷わない We’ve better go on〉という決意を歌い上げた「Time to go」。花道を歩きながら、オーディエンスに近い距離で〈愛したい 愛せない 離せない このまま そばにいてGive me your heart〉というまっすぐな思いを歌ったしっとりとしたラブソング「I Want Your Love」。ベースの低音がうなりを上げ、ヘヴィなドラムが聞こえ、堂本が上着を脱いで華麗に投げた。セクシーな魅力を放った「Foxy Dominator」。楽曲の世界観ごとに違う表現で魅せ、30年以上にわたってエンタメシーンの最前線で活躍してきたポップスターぶりを見せつけた。

楽曲パフォーマンスだけでなく、トーク力も一流だ。初めて自分のライブに来たオーディエンスが意外と多いということを目の当たりにし、「いいんですか? 寺西(拓人/timelesz)くんじゃなくて。あいつも急に見つかって、急に事務所の対応変わったからね(笑)。こういうことを言うと、あとからまた『そういうこと言わないでよ』と言われちゃう(笑)」と、『SHOCK』シリーズに複数回出演経験のある後輩に堂本らしいやり方でエールを送りつつ、笑いを誘った。ライブに直接関係のない話題も交えたトークでオーディエンスを楽しませつつ、しっかりと曲に繋げるのがさすがだ。
『RAISE』のボーナストラックとして収録されている「I」は2003年にリリースされたKinKi Kids「薄荷キャンディー」のカップリング曲で、堂本が作詞曲を手掛けているという話の中で、「なぜか知らないが人気がある曲で。20代そこそこでよくあんな曲を書いたなと自分で自分を褒めてあげたい(笑)。(ツアーの1カ所目の)名古屋で『なんでこの曲が好きなんですか?』と(オーディエンスに)問いかけて、『こういう恋がしたいと思ってるんですか?』と聞いたらシーンとなって驚いた」というエピソードで笑わせた後、「40代後半になった私が、20代で作った曲をどう表現するか。『I』聴いてください」という曲振りに繋げるという流麗さ。46歳の堂本が歌う「I」は、さまざまな苦楽を経たからこその奥行きがある切なさと甘さが滲んでいた。
最後は、「夢の空間だったでしょ? 外を歩いても夢心地で歩いていたら何があるかわからないので、気を付けて現実に戻っていただければと思います。またこの夢の世界を皆さんと作れたらいいなと思ってます」と伝えてライブを締め括った。一流のエンターテイナーとしての責務を果たし、約1万5000人のオーディエンスに夢の時間を贈った堂本。エンターテインメントがあることで、現実を生きられる人が多くいることを知っているからこそだ。
























