スピッツは初のTVアニメ書き下ろし 星野源、Official髭男dism……『SPY×FAMILY』主題歌の奥深さ

Offcial髭男dism「SOULSOUP」、星野源「光の跡」が彩った『CODE: White』

 『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』にOfficial髭男dismが書き下ろしたのは「SOULSOUP」。イントロから鳴り響くホーンセクションがフォージャー一家の冒険を後押しし、ソウルフルに躍動するリズムがその旅路を盛り上げる。サビかと聴き紛うほどの熱量と解放感を帯びたBメロから、その臨界点をさらに超えた爆発を見せるサビへ移り変わる展開に、これでもかというOfficial髭男dismの情熱の発露を感じさせる。

Official髭男dism - SOULSOUP [Official Video]

 劇場版作品で描かれるフォージャー一家の冒険やピンチをベースとした歌詞が展開される「SOULSOUP」の中でも特筆したいのは、サビ明けのフレーズ〈独りきりで生きてた時より大盛りになったな〉だろう。そうして過去を振り返りながらも、〈あなたとの日々を欠かしたくないの〉と家族として互いがかけがえのない存在になりつつある3人の心模様を鮮やかに描いている。

 劇場版のもうひとつの主題歌が星野源「光の跡」だ。今年リリースされた星野の6thアルバム『Gen』には「Why」と改題されている。同曲は、打ち込みを使用したHIPHOP調のビートとR&B調のミディアムバラードが調和したサウンドが、アニメ作品の主題歌としては前衛的に響く楽曲。〈人はやがて/消え去るの〉という衝撃的な導入は、サビの〈消えてゆくのに なぜ/ただ 忘れたくない思い出を/増やすのだろう〉というフレーズに連なるピース。生命はやがて息絶えるもので、それは『SPY×FAMILY』のキャラクターにも同じことが言える。

星野源 - Why / 光の跡 (Official Video)

 ロイドがスパイとして所属する西国・ウェスタリスと東国・オスタニアは冷戦下であり、彼がスパイとして暗躍することで東西の平和が保たれている。そして、ヨルも常に殺し屋稼業を続ける中で常に生命の危機に晒されている。明るくポップな作風の『SPY×FAMILY』という作品でも“死”は決して遠いものではない。劇場版でも一家はそれぞれに生命の危機にさらされることとなる。それでもー家の3人が時に自分の身を挺して互いを護るために奔走するのは、それぞれの利害関係が一致しているからという理由だけでなく、3人が“思い出を増やす”ことで本当の意味での家族になりつつあるからなのだ。

 ここまで取り上げたアーティスト以外にもBUMP OF CHICKENやVaundy、Adoといった錚々たるアーティストたちが『SPY×FAMILY』の主題歌を担当してきた。Season 3のエンディング主題歌は、YOASOBIでikuraとしても活躍する幾田りらが担当する。魅力的なストーリーやキャラクターで幅広い世代に支持される『SPY×FAMILY』だからこそ、今後も世代を超えたアーティストたちが主題歌を歌い継いでいくだろう。

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