s**t kingz、セクシー3部作を経てさらなる表現の新境地へ! 2度目の武道館公演前に振り返る“4つの転機”

s**t kingzが大事にしたかった“自由度”

shoji

――ある意味、苦戦したからこそs**t kingzの魅力が詰まった仕上がりになったのではないでしょうか。

Oguri:味わい深い大人の色気は出せたかなあ。

NOPPO:4人とも同じ振りを踊っているけど、ちょっと方向性が違うとかね。

kazuki:実は揃ってないんだよね。

NOPPO:そうだね。表情や力強さも違っていたり。

Oguri:今の年齢だからこそ出る雰囲気が踊りに乗っかっているといいな、という感覚はありますね。

NOPPO:波やムラがあるけど空気感は一緒、みたいなね。

shoji:力を抜いた色気だよね。そのままスッと人として立っているだけで出る色気みたいなものがあるといいなと思います……(徐々に小声になっていく)。

kazuki:さっきからずっと自信ないじゃん(笑)。

shoji:いやあ、この曲はねえ。ドキドキする。

kazuki:緊張感あるもんね。繊細すぎて、ちょっとでもヨロッとするとバレちゃうんです。ずっとふわ〜っとしているから、ちょっとでもコテッとなると角ができちゃうんですよね。それすら許されないという。

――逆に筋肉が必要な振りですよね。

kazuki:そうなんです。「力を抜いている」と言っても、抜いていないんです。すごく神経を使ってコントロールしていて。

Oguri:じわ〜っと汗をかく感じ。

kazuki:力を入れていないように見せるために、力を使っている。だから、ライブだと舞い上がっちゃいそうで怖いです。

NOPPO:目線も気にしているので、そういう表情も見せられるかも。自分に陶酔している感じだけど、「実は君のために踊っているよ」みたいな目線をしているというか。押し引きです。

NOPPO

――そういうポイントでMVを観ても楽しめそうですね。そして2曲目はclaquepotさんとの「Biotope」です。

Oguri:最初は、気持ちがいいけどまっすぐなシティポップ寄りの楽曲を作るつもりだったんです。でも、「Spinship」ができた時に「2曲目の雰囲気をガラッと変えたい」という思いが出てきて。シティポップはclaquepotにいちばんハマる曲調だし、声の感じも合っているし。

shoji:先ほど言った“献身”というワードにもハマるもんね。

NOPPO:アーティスト的にもミステリアスだから「そこもいいよね」って。

kazuki:でも、もしかすると「Spinship」と似てしまう可能性もあるかもとも思ったんです。仕事で大阪にいたタイミングで、飲みに行く時にOguriとタクシーの中で「もっと露骨に差をつけないと3部作として成り立たないよね」と話をしていたんです。で、飲んでいる最中に急に真面目な会議が始まって(笑)。

Oguri:みんな酔っ払って、顔が赤くなっている時にね。

kazuki:で、次の日にclaquepotに電話をして「ごめんなんだけど、音楽の方向性を変えたくて……」と伝えました。彼も「いいですね!」と快く引き受けてくれて、アイデアも出してくれて。「ピアノとかいいかも」という話があって、ガラッと変わりました。

Oguri:claquepotとは長い間友達だし、近いコミュニティにいるので共通言語みたいなものがあるんですよ。だから、言いたいことはすぐに伝わる。そもそも対応力が高い人なので。めちゃめちゃスムーズに進んで、上がってきた曲も最高でした。

shoji:もともと「s**t kingzの曲をいつか作りたい」と言ってくれていたんです。それで、今回「これはclaquepotだ!」というタイミングだったので、お願いしました。

s**t kingz / Biotope feat. claquepot -Performance Video-

――なるほど。一聴した時にclaquepotさんにしては珍しいタイプの楽曲だなと感じたのですが、そういう背景があったんですね。

shoji:そうなんです。でも、claquepotのファンの方々が喜んでくれているみたいで。「普段のクラポじゃ聴けない曲が、シッキンと組んだことで聴けた」って。すごく嬉しいです。いい化学反応が起こりましたよね。

――MVは美しくも力強いダンスと、構成が素敵だなと思いました。

全員:ありがとうございます!

shoji:このMVも最高です! 「Spinship」と同じ場所で撮っているんですよ。

kazuki:めちゃくちゃ踊ってます。はっきりした振り付けなのと、みんなで集まって何かをするというシーンが多いんです。

kazuki

――植物などの生命が生い茂るようなイメージの振りも多いですよね。

kazuki:そうですね。claquepotがそういう歌詞を書いてくれたのも大きいです。

shoji:どんどん広がっていくようなイメージ。

kazuki:これ、パフォーマンスする時緊張するよね。

shoji・NOPPO・Oguri:する!

kazuki:MVの撮影より前に『CDTV ライブ! ライブ!』(TBS系)で初めてパフォーマンスしたんですけど、めちゃくちゃ緊張しました。それを経てのMV撮影だったので、MVはいい感じにパフォーマンスできていると思います。いっぱい観てください!

――ツアーも8月23日からスタートします(取材は7月に実施)。

kazuki:はい。『シッキンフェス』(『s**t kingz Fes 2024 ももたろう』)や舞台『See』など、ここのところストーリー性のあるステージをやっていたので、いつもより僕らが自由にのびのびとパフォーマンスできるライブにするつもりでいます。『S**p』というタイトルは、3部作の会議の中でOguriが出してくれたワードなのですが、「friendship」、「relationship」、「skin ship」など、人と人との関係値を表すさまざまな言葉に使われますよね。“広い意味で使われるワード”=“自由度が高い”に繋がるのかなと思ってタイトルとして採用することにしました。

NOPPO:自由度に関してはすごくこだわっていて。いろんなアイデアが出たのですが、『s**p』がいちばんしっくりくるという話になりました。

――ツアー後には2度目の武道館公演も控えています。

Oguri:今回は2日間あるので、より一層土台をしっかり固めておかないといけないと思っています。勢いだけでは乗り切れないですから。そのために準備を入念にしていこうと思っています。

shoji:前回は「ダンサーが日本武道館でワンマンライブをやる」というだけでお祝いムードだったんですよね。でも、今回はそうはいかない。2回も武道館に立たせていただけるありがたさを感じていますし、また観にきてくださるお客さんがいることにも感謝しています。だからこそ、「前回を超えるものを見せなくちゃ」という責任感とプレッシャーもあって。そのぶん、メンバー全員心の中に熱いものが燃えている感じがします。

Oguri

関連記事