飛び抜けた歌唱力とメロディの強さ――ネクストブレイクバンド・wapiti、「ロックスター」で光る無二のセンス
2023年に結成し、現在急速に人気を拡大中のwapitiがメジャーデビューを果たした。
織田龍紀(Vo)、工藤健介(Dr)、吉村瑠莉(Pf)、ハーマン・チャン(Vn)の4人からなるこのバンドは、昨年1月にリリースしたアルバム『Theatrical』の収録曲「僕は愛を知らない」がTikTokを中心としたSNS上でヒットし、同曲を使用した投稿が急増。累計再生数は1000万回を突破した。現在も投稿は増加中で、「これから絶対くるバンド」と注目されている。その歌唱力の高さやメロディのインパクトからsumikaやMrs. GREEN APPLEを引き合いに出す声も多く、ネクストブレイクアーティストとして話題沸騰中だ。
彼らの魅力は、なんといってもメロディのよさ。彼らの紡ぐメロディは、思わず口に出して歌いたくなるような、美しい旋律を描く楽曲が多い。たとえば、先述した「僕は愛を知らない」は、一筆書きのように流れる美メロが印象的。とりわけ〈なぜ巡り巡る時の中〉から始まるサビの一連のフレーズは感動的で、歌の世界が一気に広がるようなドラマチックな展開に聴き惚れる。高らかに飛翔するそのメロディを難なく歌い切る織田の歌唱力も特筆すべきもので、強度のあるそのメロディセンスと、多くの人を魅了できる高いパフォーマンス力を併せ持つバンドだと言える。
wapitiのバンド結成は、「最初は本当にご飯会の延長みたいな感じだった」という。メンバーは全員ハーマンの友達で、彼を中心とした繋がりからバンドが生まれた。「ざっくりいうとサークルみたいな。最初は月イチで集まれたらいいなという感じでしたね」とハーマンは当初のwapitiを振り返る。4人はランチやセッションを重ねていくうちに意気投合し、バンドを結成。その一年後に初ライブを渋谷のライブハウスにて開催した。最初は“ご飯会の延長”だったwapitiだが、この頃から織田が「(自分は将来)何がやりたいんだろう?」と考えるようになる。ある日、織田がハーマンに「内定を蹴って、音楽をやりたい」と相談したことで、wapitiの音楽活動は本格化。そしてバンド結成から約2年が経った今年8月、晴れてメジャーデビューを果たすこととなった。
そんなwapitiのメンバーの音楽的ルーツは、バラバラだという。吉村は4歳からクラシックピアノをしており、香港出身のハーマンはC-POPや広東ポップで育った。工藤は80年代ハードロックなどの洋楽がルーツにあるという。ボーカルの織田はテレビの音楽番組をよく観ていたことからJ-POPや歌謡曲に親しみ、サザンオールスターズの熱心なファンであった父の影響でその音楽にもどっぷり浸かっていたそう。
こうした多様なルーツはwapitiの音楽性にも表れている。「僕は愛を知らない」のAメロや「夜に、」などにおけるピアノとストリングスによる繊細なアレンジは、クラシックをバックグラウンドに持つから生まれたのにほかならない。また、「鬼さんこちら」や「エンドレスゲーム」といったアップテンポな楽曲で見せるパワフルかつ疾走感のあるリズムは、洋楽ポップスやJ-POPをルーツに持つメンバーのセンスあってこそのものと言える。
織田のボーカルについても、突き抜けるようなハイトーンボイスや感情表現豊かで多彩な歌い分け、癖のない聴き取りやすい発声法、あるいは正確なピッチコントロールは、彼自身のルーツに由来するものと思われる。彼のこのずば抜けた歌唱力があるからこそwapitiの楽曲は多くの人に伝わり、リスナーの心を震わせるのだろう。
メジャーデビュー曲「ロックスター」は、そうした彼らの特徴が存分に発揮された楽曲。軽快かつパワフルなドラミング、主人公の心の不安や孤独感を演出する緻密なキーボードとストリングスのアレンジ、サビでドラマチックに飛び立つ情熱的なボーカルワークなど、それぞれの個性がぶつかり合っている。
メンバー曰く「一日を応援できるような曲」「背中を押してあげられるような楽曲」だというこの作品。「昔は熱を持てた自分がいたのに、生活とか仕事とかいろんなことに追われて、いつのまにかその熱が冷めてきたり、燃やし方がわからなかったり……この曲で、その熱を再燃させてほしい」と織田は言う。
その言葉の通り、歌詞では、淡々とした〈暇つぶし〉の毎日から、〈暗闇を照らす一等星〉を目指して立ち上がるまで、主人公が自らの心を奮い立たせるような描写が印象深い。その心情表現は丁寧で共感しやすく、夢を追う人や、これから新しい世界へと飛び立とうとしている人に強く刺さりそうだ。
wapitiとしても、初めてストリングスにアレンジャーを迎えたり、これまでの楽曲と比べて速いテンポのリズムに挑んでみたりと、「ロックスター」では多くの点で新しい取り組みにトライしている。何よりこの曲でメジャーデビューするということが、何にも増して大きな挑戦だろう。
結成してすぐに注目を集め、何かに導かれていくように駆け上がっているwapiti。「必ずしもトップは目指さなくていい。自分の熱を自分らしく表現してほしい」と織田はこの曲に込めた思いを語る。〈まだ響けロックスター〉と力強く歌う彼らの姿が、多くの人々の挑戦を後押しするはずだ。
■リリース情報
Digital Single『ロックスター』
配信中
配信URL:https://lnk.to/wapiti_Rockstar
■公演情報
『wapiti live 2025 -The First-』
2025年10月4日(土)OPEN 17:30/START 18:00
SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
チケット価格:2,500円(ドリンク代込み/税込)
チケット先行受付(抽選):8月6日(水)8:00~8月17日(日)23:59
チケット申し込み URL:https://w.pia.jp/t/wapiti2025/
※先行抽選特典あり
オフィシャルサイト:https://wapiti-official.com/
X(旧Twitter):https://x.com/wapiti_official
Instagram:https://www.instagram.com/wapiti.official/
TikTok:https://www.tiktok.com/@wapiti.official
YouTube:https://www.youtube.com/@wapiti_official