木村拓哉は“カッコいい男”の代名詞であり続ける どんな悩みも相談したくなる絶対的な信頼感
木村拓哉のラジオ番組『木村拓哉 Flow』(TOKYO FM)では、豪華ゲストを迎えてのマンスリートークが人気を集めているが、月1回のお便り回もリスナーにとっては特別な時間となっている。
リスナーから寄せられるのは、放送を聴いた感想や、木村が出演したライブや作品を受けての思い出話、さらには個人的な悩み相談まで、実にさまざま。8月3日放送回では、「好きな人と距離を縮める方法を教えてほしい」という14歳の少女からのピュアな恋愛相談があったかと思えば、不登校の息子との接し方に悩む47歳の母親から「車の中でひとりメッセージを打っています」と泣きながら寄せられた切実な声もあった。
もちろん、木村自身は14歳の少女でも47歳の母親でもないため、同じ立場に立って「わかるよ」と共感できるわけではない。それでも木村に思いの丈を打ち明けたくなるリスナーが後を絶たないのは、“木村拓哉なら受け止めてくれる”という、絶対的な信頼に近い“確信”があるからではないか。
長きにわたり国民的スターとして光を浴びてきた木村。活躍の影では、さまざまな声が届いてきたに違いない。それでも屈せず走り続けてきた彼の姿を、私たちはずっと見てきた。どんなに逆風の中でも「木村拓哉」として存在感を示し続けたその生き様に、強く生きる希望を見出しているのだ。
そんな木村自身がソロで歌う「ここにいる」(2024年)には、〈愛がわからず 迷う日もあったな/暴れる感情に 飲み込まれもしたっけな/でも 相変わらず 僕は僕でいる〉という歌詞がある。そこから感じるのは、自分であり続けた木村拓哉の“覚悟”。そして〈違う 僕でいさせてくれた あなたに歌ってる〉とも。
その覚悟が揺るがなかったのは、自分だけの力ではなく、他でもないファンがいてくれたから。〈向かうから風は強いけど わかってる ありがとう〉と、厳しい現実を木村自身が受け入れ、それでも走り続けられたのはファンへの感謝があったからこそだと伝えているようだ。
同時に、〈いつでも隣にいるわけじゃないけど 追い風になれやしないかと 願ってる〉と、木村もファンの背中を押し続ける存在でありたいと願う。ひとりであっても、独りではない。少なくとも、木村がファンの幸せを願う気持ちは、これからも変わらずにあり続ける。〈想ってる人がいる/僕がいる〉〈ずっと ここにいる〉と。
「ここにいる」のMVでは、木村自身がファンの笑顔を撮影するというのも、この歌らしい粋な企画だった。スタジオ入りしたファンたちにファーストネームを聞き出し、一気に距離を縮めていく木村。カメラを向けられて緊張するファンに、「知り合いに会った感じで」とリラックスさせて笑顔を引き出す。目の前には、ずっとメディアで見てきた木村がいる。もちろん「知っている」顔ではあるものの、そこには人としての器の大きさを感じずにはいられない、圧倒的なオーラがある。
そんな安心感と緊張感が入り混じるメイキング映像を見ながら、7月6日放送のラジオを思い出した。リスナーから「男の子が最初に憧れるものってなんだと思いますか?」と聞かれた木村が、「活躍したいですよね。それが人助けなのか。変身してオートバイに乗って『トゥッ!』ってジャンプして、ヒーローなのか……」と答えていたのだ。そんな木村だからこそ、ファンは困っているときや苦しいときに、その存在を思い出さずにはいられないのかもしれない。
先述の放送で泣きながらメッセージを送ってきたリスナーに、木村は「〈気持ちちょっと軌道修正〉っていうワードが出てくるんですけど。わりと僕はこの曲にも支えられたことがあるんで、“処方”させていただきます」と語り、「One Chance!」(2014年、/SMAPのアルバム『Mr. S』収録)を流した。
この「One Chance!」は、森山直太朗と御徒町凧が作詞作曲を担当した木村のソロ曲。2019年には、ネットバラエティ番組『木村さ〜〜ん!』で森山のプライベートスタジオを訪問した際、2人で弾き語りを披露してくれたことがあった。スタッフからの無茶振りとも言える急なリクエストだったが、「そういう番組じゃないんだよね」とそっけない態度を見せながらも、最終的には真剣にその願いを叶えてくれた。このカメラの先に、木村の歌を待っている人たちがいるのだと感じたのかもしれない。
ここぞというときに、必ず動いてくれる。そう信じられるからこそ、木村はファンたちのヒーローであり続ける。男として、親として、表現者として、そして人として。激動の時代に「カッコいい男」の代名詞であり続けた木村拓哉なら、これからもその凛とした生き様で多くの人を勇気づけてくれるはずだ、と期待を寄せずにはいられない。