PiKi「Kawaii Kaiwai」バイラル初登場首位 現代的でありながらも普遍的な“かわいい”の新風

Viral Chart Focus

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの7月23日付のTOP10は以下の通り(※1)。

1位:PiKi「Kawaii Kaiwai」
2位:ディエゴ・マイター「To the Infinity Castle - Muzan vs Hashira Theme (from "Demon Slayer")」
3位:HUNTR/X・EJAE・AUDREY NUNA・REI AMI・KPop Demon Hunters Cast「Golden」
4位:琳子「中華料理屋の酢豚が食べたい」
5位:MÁME「Not Puppy Love」
6位:SKY「恋におちたら」
7位:ドン・ミゲロ「Y Que Fue?」
8位:オジー・オズボーン「Crazy Train」
9位:SixTONES「Stargaze」
10位:オジー・オズボーン「Mama, I'm Coming Home」

 先週のSpotifyバイラルチャートでは、JO1のメンバーセルフYouTubeコンテンツ「PLANJ」から生まれた楽曲であるSKY「恋におちたら」が首位を飾り、MÁME「Not Puppy Love」が続くなど、国内の新進アーティストたちが上位を占めていた。しかし今週は一転、チャートの顔ぶれが大きく様変わりしている。先週トップだったSKYの楽曲は6位に後退。そして、MÁMEの楽曲も5位へと順位を落としており、PiKi「Kawaii Kaiwai」やTikTokを中心に盛り上がりを見せている琳子「中華料理屋の酢豚が食べたい」がトップ5にランクインするなど、勢力図が塗り替えられた。この新陳代謝の動きで最も注目すべきは、PiKi「Kawaii Kaiwai」が初登場でいきなり1位を獲得した点だ。

【MV】PiKi「Kawaii Kaiwai」

 今週、堂々の1位に輝いた「Kawaii Kaiwai」を歌うPiKiは、アソビシステムが手がけるアイドルプロジェクト「KAWAII LAB.」発の新ユニットである。メンバーは、FRUITS ZIPPERの松本かれんと、CUTIE STREETの桜庭遥花の2名。「KAWAII LAB.」の2グループから兼任される形で誕生したPiKiは、今年2025年6月に沖縄アリーナで開催された大型ファッションイベント『OKINAWA COLLECTION 2025』の場で結成をサプライズ発表され、デビュー曲となる「Kawaii Kaiwai」を初パフォーマンス。まさに鳴り物入りで登場した彼女たちだが、その期待に違わずデビュー直後からティーンを中心に大きな話題を呼んでおり、今回バイラルチャート首位という形で早くも結果を示した。

 「Kawaii Kaiwai」は、タイトルの〈Kawaii Kaiwai〉を繰り返したキャッチーな響きが特徴的な楽曲だ。実際に、曲も歌詞も徹底して“かわいい”に振り切っており、アイドルソングの王道を行く仕上がりである。制作を手掛けたのは日本のエレクトロポップ界を牽引する中田ヤスタカ(CAPSULE)であり、作詞と作編曲のすべてを担っている。

 中田ならではの磨き抜かれたポップサウンドと、そこに“かわいい”と“レトロ”を融合させるというPiKiのコンセプトが絶妙にマッチし、現代的なエレクトロサウンドの中にもどこか懐かしいテイストを感じさせる楽曲となっている。軽快なシンセサウンドに乗せて、サビでは〈Kawaii Kaiwai〉と歌われる耳に残るメロディが展開され、一度聴けば思わず口ずさんでしまう中毒性を備えている。

 歌詞の面でも〈鏡の中の 笑顔の私/昨日とは違う 輝いてる〉〈新しい服で 新しい私/心も着替えて New New New New〉といったフレーズに象徴されるように、かわいくおしゃれをして、生まれ変わった自分で大好きな人に思いを伝えたいという前向きなときめきがまっすぐ綴られている。随所に散りばめられた〈Doki Doki〉や〈Suki Suki〉といったフレーズも印象的で、現代の王道アイドルソングらしい幸福感に満ちたリリックだ。

 映像面でも「Kawaii Kaiwai」の世界観は遺憾なく発揮されている。7月11日に公開された公式MVでは、PiKiの2人がピンク一色に彩られた“四季の部屋”に迷い込むというファンタジックな設定が描かれる。オルゴールを回す描写から始まり、春夏秋冬それぞれをテーマにした部屋ごとに、さまざまな衣装を身にまとって登場する演出は、「四季は巡る」というフレーズにかけた遊び心を感じさせる。PiKiの持つポップでキュートな魅力を凝縮した映像作品に仕上がっており、公開直後からSNS上でも「衣装が全部可愛い」「世界観が夢みたい」といった反響が多数投稿された。

 このように「Kawaii Kaiwai」はサウンド、歌詞、ビジュアルの全方位で“かわいい”エッセンスを極めた正統派アイドルポップでありながら、洗練された音作り、そして世界観を振り切った映像によって現代的なヒット要素をしっかり押さえている。このキャッチーさは、世代を問わずに受け入れられる普遍性を持ち、実際に幅広い世代のリスナーを巻き込みながらバイラルヒットに至ったことが今回のチャート1位という形で証明されたと言えるだろう。

 思えば、同じく「KAWAII LAB.」所属のFRUITS ZIPPERもデビュー曲「わたしの一番かわいいところ」でバイラルヒットを飛ばし、今に至る“かわいい”ソングの火付け役の一つとなった経緯がある。PiKiの快進撃は、まさにその“かわいい”路線の強さを改めて示すものではないだろうか。「KAWAII LAB.」のなかで、日本発の“かわいい”カルチャーを体現するユニットとして早くも飛躍を遂げたPiKi。彼女たちが放つキャッチーな王道アイドルソングが、“かわいい”を武器にして日本の音楽シーンに新風を吹き込んでいるのだ。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2025-07-23

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