THE ALFEE、51年目もさらなる熱狂で突き進む 高見沢俊彦「命尽きるまで夢追いかけようぜ!」
2024年のデビュー50周年イヤーを駆け抜けた高見沢俊彦(Vo/Gt)、坂崎幸之助(Vo/Gt/Per)、桜井 賢(Vo/Ba)によるロックバンド、THE ALFEE。その総仕上げは、実に41年ぶりの出場となった大晦日の『第75回NHK紅白歌合戦』だった。その安定した演奏と歌唱はもちろんのことだが、どのコーナーでも目立つ場所に配置され、ベテランながら積極的に番組に参加するその一挙手一投足が注目されて、SNSや元旦のTV番組などを賑わしたのも記憶に新しい。そして始まった2025年、恒例の春ツアー『THE ALFEE 51st Anniversary Spring Celebration』の中盤、NHKホールで2日間行ったコンサートの2日目、5月25日をレポートする。
2月放映のバラエティ番組『しゃべくり007』(日本テレビ系)、日本コカ・コーラのWEB CM「綾鷹 濃い緑茶」出演などが評判を呼び、50周年の熱狂は落ち着くどころか、ますます注目される事態になっているTHE ALFEE。そんな彼らの真骨頂とも言えるコンサートは、当然のごとく全国どの会場もチケットが入手困難に。中でもこのNHKホールは、最も激戦だったのではないだろうか。
1970年代の洋楽が流れる会場のステージには3人のマイクスタンドが置かれ、赤い幕が降りている。開演5分前のブザーが鳴りアナウンスが流れると、会場から手拍子が始まり、その音がだんだんと大きくなっていく。ドラムの音から始まるオープニングSEが流れ、客電が下りて、幕が上がっていく。照明が煌めくステージ中央から白い衣装の3人がそれぞれの楽器を抱えて登場すると、客席からは割れんばかりの拍手と歓声が起こる。
オープニングはまさかの「星空のディスタンス」。通常はコンサート中盤〜終盤で披露されることの多いこの代表曲をトップに持ってくるというのは、なかなかのレアケース。
一気に熱くなった会場の照明は鮮やかなブルーに変わり、美しいピアノが響き「STARSHIP —光を求めて—」が始まる。イントロでは3人そろってギターヘッドを上に掲げてポーズを決め、幻想的な世界へと誘う。
情熱的な赤の照明に染まったステージに続くのは、ハンドマイクの坂崎がメインボーカルを取る「恋の炎」。坂崎が左右に動き回っての高見沢、桜井とのからみも満載で目が離せない。曲が終わった時点でセンターにいた高見沢がこぶしを振り上げ、続いたのがTHE ALFEEの楽曲の中で最もハードな「鋼鉄の巨人」。スピーディーなナンバーに合わせて、客席もこぶしを振り続けてついていく。
ステージ下方からスモークが上がり、照明が赤、青、シルバーの「ウルトラマン」配色に変わり、『新ウルトラマン列伝』『ウルトラマンギンガS』主題歌となった「英雄の詩」へ。桜井の艶やかな歌声、坂崎はパーカッションを担当、飛んで跳ねて動き回る高見沢の全力パフォーマンスの情熱的なナンバーの後に、高見沢がステージ中央に歩み出て「二人のSEASON」へ。ステージ中央に3人が集まりそろいのキメポーズで頭を振り激しいナンバーが終わると、高見沢の「休憩!」の声で、赤い幕が下がっていく。ライブ定番曲6曲をノンストップで披露して本編第一部が終了。
THE ALFEEの名曲の数々が流れる休憩タイム終盤にブザーが響き、1980年のアルバム『讃集詩』からのナンバー「やすらぎをもとめて」が流れる中、再び赤い幕が上がっていく。地方公演ではメンバーによるご当地の方言を使ったMCがあったようだが、この日はなし。観客が着席したままの会場に高見沢と桜井はブルー、坂崎はシックなグレーのスーツで再登場し、本編第二部がスタート。会場によって演目に変更があったパートだけに、「どの曲がくるのか?」という緊張で静まり返る会場に「恋人達のペイヴメント」のピアノのイントロが流れると、客席からはため息がもれる。
ロマンティックなナンバーの後はブルージーなSEが流れ、照明がムーディーなオレンジに変わり「Manhattan Blues」へ。ブルースやジャズの雰囲気を持つこんな曲もレパートリーもあって、さりげなくセットリストに入れ込んでくるのはTHE ALFEEならでは。高見沢、桜井が一旦ステージを去り、残った坂崎がMCを担当。メンバー紹介や「生まれて初めてTHE ALFEEのライブに参加する人」の客席アンケート、地毛に関する自虐トーク、『紅白』のネタから、リンボーダンス、高見沢の投げたお菓子を坂崎、桜井が口でキャッチするパフォーマンスも織り交ぜたグッズ販売促進営業部長・桜井によるグッズ紹介と展開していく。
「このツアーでは初めての演奏になる」という、坂崎がメインボーカルを取るシングル曲「人間だから悲しいんだ」。坂崎と高見沢が向かい合って、アコギを激しくかき鳴らすと観客は皆一斉に立ち上がる。そこから続くのは、スローテンポでサビ部分から始まる「メリーアン」。昨年の50周年は“音頭”で盛り上がったものの、オリジナルバージョンは久々。3人が一旦ステージを去り、高見沢が戻ってきて、51年前にデビューしたTHE ALFEEの“進化”についてトーク。「著しく変化したのは衣装」などと話しているところに、坂崎と桜井もステージに戻ってくる。続いて“世間に負けて”桜井がついに購入したというスマートフォンのエピソードなどで盛り上がった後に、「でも一番の“進化”は楽曲だ」と断言し、「進化論B」へ。サポートメンバーも含めて奏でる5声の厚いハーモニー、次々に展開するリズムとメロディーのファンタジックなナンバーに客席も戸惑うことなくついていく。
続くのはこの曲に負けず劣らずプログレッシブな「THE AGES」。厚いコーラスはもちろん、それぞれの歌唱の見せ場もあり、約40年前にこんな曲を発表していたことに改めて驚かされる。そしてシンフォニックなキーボードが響き、哀愁の漂うメロディーを桜井と高見沢が交互にボーカルを取って激しく歌い上げる「無情の愛 X」へ。鐘の音が鳴り響き、高見沢のエンジェルギターが点灯、坂崎もダブルネックギターに持ち替え、再びステージがスモークに包まれる中、壮大で長尺なナンバー「明日の鐘」が演奏され、本編2部が終了。サポートメンバーと共にステージに並び頭を下げ、客席に手を振ってステージを後にする。